計算力学

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 計算力学
科目番号 0052 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「有限要素法入門改訂版」培風館,三好俊郎著 
担当教員 磯部 浩一

到達目標

1.有限要素法の基本的な知識を身につけ、行列式の計算方法を理解し、行列式で連立一次方程式を解ける。
2.1次元、2次元のバネモデルから剛性マトリックスの算出する方法を理解し、剛性マトリックスを算出できる。
3.簡単なトラス問題について剛性マトリックスを利用して解くことができる。
4.弾性体の支配方程式、仮想仕事の原理および連続体での剛性マトリックス導出方法のおよび有限要素法の解法や有限要素法の解析手法,解析手順について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1差分法や直接差分法等などと有限要素法の差異について説明できる。有限要素法の基本事項を説明できる。行列式で連立一次方程式を解ける。有限要素法の基本事項を説明できない。行列式で連立一次方程式を解けない。
評価項目2種々の2次元のバネモデルからでも剛性マトリックスを算出できる。基本的な1次元、2次元のバネモデルから剛性マトリックスを算出できる。基本的な1次元、2次元のバネモデルから剛性マトリックスを算出できない。
評価項目3より複雑なトラス構造について系全体の剛性マトリックスや剛性方程式を導出し、骨組み構造の変形について解析できる。簡単なトラス問題について剛性マトリックスを利用して解くことができる。簡単なトラス問題について剛性マトリックスを利用して解くことができない。
評価項目4弾性体の支配方程式、仮想仕事の原理を用いて連続体での剛性マトリックスを導出でき、それを用いた有限要素法の解析方法や解析手順について詳しく説明できる。弾性体の支配方程式、仮想仕事の原理および連続体での剛性マトリックス導出方法および有限要素法の解法や有限要素法の解析手法,解析手順について説明できる。弾性体の支配方程式、仮想仕事の原理および連続体での剛性マトリックス導出方法および有限要素法の解法や有限要素法の解析手法について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
コンピュータを利用した応力とひずみの計算法として現在最も多く用いられている有限要素法について、その基本原理と数学的解析手法などを理解する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。適宜演習を行う。試験結果が合格点に達しない場合は、再試験を行うことがある。
注意点:
合格点は60点とする。定期試験成績により評価し、中間試験(a)と前期末試験(b)をそれぞれ50%で評価割合とする。総合評価は(a+b)/2とする。
現在応力,ひずみ解析に欠かせない有限要素法の基本的な動作原理を理解する。それにより、ブラックボックスとならない有意義な活用方法を考えられる技術者を育てる。
自学自習時間:前期週4時間(合計64時間)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス、
1.有限要素法の概要
2. 有限要素法の計算手順
授業の進め方と評価の仕方について説明する 。有限要素法の概要と差分法との違い、有限要素法での計算手順の概要について説明できる。
2週 3.行列式とベクトルの計算法
(1)マトリックスの定義
マトリックスの定義や転置や列ベクトルと行ベクトルの関係について説明できる。
3週 3.行列式とベクトルの計算法
(2)マトリックスの演算、ベクロルとの積
マトリックスの和、差、積やスカラー倍、ベクロルとの積の計算ができる。
4週 3.行列式とベクトルの計算法
(3)行列式と逆マトリックス
逆マトリックスの求めたり、マトリックス法で連立一次方程式を解くことができる。
5週 4.バネモデルと剛性マトリックスの概念  一次元バネモデル(1) バネモデルから剛性マトリックスを算出できる。
6週 4.バネモデルと剛性マトリックスの概念  一次元バネモデル(2) バネモデルから算出した剛性方程式を解いて変位量や各節点に作用する力を算出できる。
7週 4.バネモデルと剛性マトリックスの概念 二次元バネモデル(1) 二次元バネモデルの剛性マトリックスを算出できる。
8週 到達度試験(前期中間) 上記1~6週で学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
2ndQ
9週 試験の解説と解答
到達度試験の解説と解答
10週 4.バネモデルと剛性マトリックスの概念 二次元バネモデル(2) 二次元の組合せバネモデルの系全体の剛性マトリックスを算出できる。
11週 5.弾性体の支配方程式、仮想仕事の原理 弾性体の支配方程式および仮想仕事の原理とその物理的意味について説明できる。
12週 6. トラス問題の解法 簡単なトラス問題についてを剛性マトリックスを利用して解くことができる。
13週 7. 有限要素法の解法 連続体を三角形要素で分割する場合の剛性方程式を導出できる。
14週 8. 有限要素法の解析手法 連続体の有限要素法での変形解析方法を説明できる。
15週 到達度試験(前期末) 上記7 週および10~14週で学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
16週 試験の解説と解答
到達度試験の解説と解答、および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。4
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。4
分数式の加減乗除の計算ができる。4
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。4
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。4
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。4
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。4
簡単な連立方程式を解くことができる。4
無理方程式・分数方程式を解くことができる。4
1次不等式や2次不等式を解くことができる。4
恒等式と方程式の違いを区別できる。4
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。4
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。4
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3
一般角の三角関数の値を求めることができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。3
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。3
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。3
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。3
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。3
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。3
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。3
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。3
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。3
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。3
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。3
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。3
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。3
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。3
仕事の意味を理解し、計算できる。3
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。3
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。3
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。3
動力の意味を理解し、計算できる。3
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。3
運動量および運動量保存の法則を説明できる。3
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。3
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。3
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。3
応力とひずみを説明できる。3
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。3
許容応力と安全率を説明できる。3
両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。3
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。3
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。3
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。3
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。3
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。3
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。3
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。3
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。3
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。3
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。3
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。3
多軸応力の意味を説明できる。3
二軸応力について、任意の斜面上に作用する応力、主応力と主せん断応力をモールの応力円を用いて計算できる。3
部材が引張や圧縮を受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。3
部材が曲げやねじりを受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。3
カスティリアノの定理を理解し、不静定はりの問題などに適用できる。3
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力500000050
分野横断的能力0000000