応用物理ⅡB

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 応用物理ⅡB
科目番号 0035 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 教科書:「物理学」 原 康夫 著 学術図書出版  その他: 自製プリントの配布
担当教員 上田 学

到達目標

1.単振動・減衰振動・共振の現象とその運動方程式に対応する微分方程式との関係を理解できる。
2.保存力が作用する場において,質点の運動方程式から力学的エネルギー保存則を導ける。
3.等速円運動などの角運動量を計算できる。角運動量保存則が理解でき,物理の問題に応用できる。
4.質点系の重心がどのような運動をするか理解できる。
5.剛体の運動方程式を立て,剛体の運動の諸量を求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1減衰振動や共振の現象と微分方程式との関係を理解でき,数的処理をもって説明できる。減衰振動や共振の現象と微分方程式との関係を理解できる。減衰振動や共振の現象と微分方程式との関係を理解できない。
評価項目2独力で,質点の運動方程式から力学的エネルギー保存則を導くことができる誘導付きで,質点の運動方程式から力学的エネルギー保存則を導くことができる。誘導付きでも質点の運動方程式から力学的エネルギー保存則を導くことができない。
評価項目3角運動量保存則を理解できる。また,それを利用して運動の諸量を求めることができる。角運動量を計算できる。さらに,角運動量保存則を理解できる。角運動量を計算できない。もしくは,角運動量保存則を理解できない
評価項目4質点系の重心がどのような運動をするか数的処理をもって説明できる。質点系の重心がどのような運動をするか理解できる質点系の重心がどのような運動をするか理解できない。
評価項目5標準的問題や応用問題においても,剛体の運動方程式を立て,剛体の運動の諸量を求めることができる基本問題において,剛体の運動方程式を立て,剛体の運動の諸量を求めることができる。剛体の運動方程式を立てられない。もしくは,剛体の運動の諸量を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
工学一般の基礎となる物理学の力学分野において,ベクトル及び微積分を用いて力学の法則とその概念を正確に理解する。さらに,物理学を実際の問題の発見と解決に応用できる力を養う。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。必要に応じて適宜小テストを実施し,また,演習課題・宿題を課す。試験結果が合格点に達しない場合,再試験を行うことがある。
注意点:
各中間の成績は,その到達度試験 (中間) 結果をもって成績とする。
各期末成績は到達度試験 (中間) 結果 40 %, 到達度試験 (期末) 結果 40 %,および平素の成績 (小テスト・宿題・演習課題の総合成績) を 20 % で評価する。
  各期末成績 = 0.4×到達度試験 (中間) 結果+0.4×到達度試験 (期末) 結果 + (小テスト・宿題・演習課題の総合成績 20 点満点) 学年総合成績 = 0.5 × (前期末成績+後期末成績)
学年総合成績は,前期末成績と後期末成績の平均とする。合格点は学年総合成績で60点である。
特に,提出物が未提出の場合,単位取得が困難となるので注意すること。

講義中で使用することはないが,これまで物理Ⅰ・Ⅱ,及び応用物理Ⅰで用いてきた以下の教科書・問題集は本講義の予習・復習などの自学自習の参考となりうる。
・高専テキストシリーズ「物理 (上) 力学・波動 / (下) 熱・電磁気・原子」 潮 秀樹 監修,大野秀樹 他 編集, 森北出版
・高専テキストシリーズ「物理問題集」 潮 秀樹 監修,大野秀樹 他 編集, 森北出版

より深く理解したい者及び難関大学への編入を考えている者は,教科書の例題・問題以外にも,自学自習として市販の大学教養程度の問題集等を利用した解法と計算の継続的な訓練を心がけてほしい。
市販の問題集として以下のものを例として挙げるが,まずは図書館等で自分に合う問題集・参考書を探してほしい。
・「基礎物理学演習Ⅰ」永田一清 編 サイエンス社 ・「大学演習 力学」山内恭彦・末岡清市 編 裳華房
・「詳解 力学演習」後藤憲一・山本邦夫・神吉健 著 共立出版

(講義を受ける前)
まずは物理量の定義をしっかり把握すること。授業の前に,その日に習う範囲に目を通し,大事なところ及びわかりにくいところがどこかをチェックしておくこと。

(講義を受けた後)
物理学の概念や法則はいろいろな物理現象に適用していくうちに内容が豊かになり,理解が深まっていく。
この意味において,物理学に「慣れる」ことが重要であり,例えば,章末問題や市販の大学教養程度の問題集などを利用した解法と計算の継続的な訓練が習得のポイントとなる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス
「I. 質点の力学」 1. 速度と加速度
授業の進め方と評価の仕方について説明する。
位置・速度・加速度の関係を説明できる。
2週 1. 速度と加速度 平面極座標において速度・加速度を表現できる。
3週 2. 単振動 -単振り子- 単振動と微分方程式の関係を理解できる。
4週 3. 減衰振動 その 1 減衰振動と微分方程式の関係を理解できる。
5週 3. 減衰振動 その 2 過減衰、臨界減衰がどのような現象が理解できる。
6週 4. 仕事とエネルギー その 1 仕事および仕事率を計算できる。
7週 4. 仕事とエネルギー その 2 保存力と位置エネルギーの関係を理解できる。
8週 到達度試験 (前期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
2ndQ
9週 試験の解説と解答
4. 仕事とエネルギー その 3
到達度試験の解説と解答
重力,弾性力等のいろいろな保存力や中心力の位置エネルギーを計算できる。
10週 5. 力学的エネルギー保存則 運動方程式から力学的エネルギー保存則を導くことができる。
力学的エネルギーを利用して運動の物理量を求めることができる。
11週 6. 見かけの力 その 1 見かけの力が発現するメカニズムを理解できる。
12週 6. 見かけの力 その 2 回転座標系においてコリオリ力などの見かけの力が発現することがわかる。
13週 7. 角運動量 その 1 質点の角運動量を求めることができる。
14週 7. 角運動量 その 2 角運動量保存則を利用して,運動の諸物理量を求めることができる。
15週 到達度試験 (前期末) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
16週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答
後期
3rdQ
1週 7. 角運動量 その 3 角運動量が保存する場において,エネルギーの観点から質点の運動を説明できる。
2週 「II. 質点系・剛体の力学」
8. 重心の運動 その 1
重心の定義がわかる。
ベクトルを用いて重心の位置を計算することができる。
3週 8. 重心の運動 その 2 質点系の全運動量や重心の運動がどのようになるか理解できる。
4週 8. 重心の運動 その 3 二体系において,重心の運動と相対運動に分離できる。慣性質量を理解できる。
5週 9. 衝突・運動量保存則 その 1 運動量保存則や反発係数を用いて質点系の衝突や分離を記述できる。
6週 9. 衝突・運動量保存則 その 2 運動量保存則を用いてロケットの運動を記述できる。
7週 10. 質点系の角運動量 質点系の角運動量を重心の角運動量と重心のまわりの角運動量に分解できる。
8週 到達度試験 (後期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
4thQ
9週 試験の解説と解答 
11. 剛体
到達度試験の解説と解答
剛体およびその運動の特性を理解できる。
10週 12. 固定軸のある剛体の運動 その 1 基本的な形の剛体に対して,その中心軸に対する慣性モーメントを計算できる。
平行軸の定理を理解し,応用できる。
11週 12. 固定軸のある剛体の運動  その 2 剛体振り子の運動方程式を立て,その周期等を計算できる。
12週 13. 剛体の平面運動 その 1 斜面をすべらずに転がり落ちる剛体の運動を記述できる。
13週 13. 剛体の平面運動 その 2 ヨーヨーなどの身近な玩具を剛体とみなして,その運動を記述できる。
14週 14. こまの歳差運動 こまの歳差運動がどのようにして起こるかがわかる。
15週 到達度試験 (後期末) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
16週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。2
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
物体に作用する力を図示することができる。2
力の合成と分解をすることができる。2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。2
慣性の法則について説明できる。2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2
運動方程式を用いた計算ができる。2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。2
運動の法則について説明できる。2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2
最大摩擦力に関する計算ができる。2
動摩擦力に関する計算ができる。2
仕事と仕事率に関する計算ができる。2
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。2
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.2
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力のモーメントを求めることができる。2
角運動量を求めることができる。2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。2
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。2
重心に関する計算ができる。2
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。2
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。2

評価割合

到達度試験小テスト・宿題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
知識の基本的な理解5010000060
思考・推論・創造への適用力105000015
汎用的技能205000025