物性工学

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 物性工学
科目番号 0044 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 教科書: 「電気物性学」酒井善雄、山中俊一 共著 森北出版 その他:自製プリントの配布
担当教員 田中 将樹

到達目標

1.水素原子や原子内の電子配列を量子論的に説明でき,かつ化学結合,結晶構造を理解できる.
2.井戸型ポテンシャル中の電子の運動とブロッホの定理を論理的に完全に説明できる.
3.電気伝導現象、電子放出,超伝導現象を理解でき基本問題が解ける.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1水素原子や原子内の電子配列を量子論的に説明でき,かつ化学結合,結晶構造を理解できる.水素原子や原子内の電子配列、化学結合,結晶構造を理解できる.水素原子や原子内の電子配列、化学結合,結晶構造を理解できない.
評価項目2井戸型ポテンシャル中の電子の運動とブロッホの定理を論理的に完全に説明できる.井戸型ポテンシャル中の電子の運動とブロッホの定理を説明できる.井戸型ポテンシャル中の電子の運動とブロッホの定理を説明できない.
評価項目3電気伝導現象、電子放出,超伝導現象を理解でき基本問題が解ける.電気伝導現象、電子放出,超伝導現象を理解できる.電気伝導現象、電子放出,超伝導現象を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料の電気的振る舞いを電磁気学の基礎概念と量子論的取扱いを基に,電子デバイス応用を修得し,電子物性の基本原理を理解する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う.適宜,小テストの実施や演習問題等のレポートの提出を求める.試験結果が合格点に達しない場合,再試験を行うことがある.
注意点:
(講義を受ける前)半導体工学の内容を確実に理解しておくこと.
(講義を受けた後)課題レポート等により各自で講義内容の理解度をチェックすると共に,物性の本質を理解することを心がけてほしい.
合格点は60点である.試験結果を70%,小テスト,レポート等の結果を30%で評価する.レポート未提出者は単位取得が困難となるので注意すること.試験結果が合格点に達しない場合,再試験を行うことがある.
総合評価=到達度試験(後期中間)評価点+到達度試験(卒業)評価点)/2
この科目は学修単位科目のため,事前・事後学習としてレポートを実施します.
自学自習時間:前期週4時間(合計60時間)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス
1.物質の構造 
(1)水素原子模型
授業の進め方と評価の仕方について説明する。

水素原子模型を量子条件を用いて説明できる。
2週 (2)原子内の電子配列 原子の構造を説明できる。パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。
3週 (3) 化学結合と結晶 化学結合による結晶の分類を説明できる。
4週 2.固体のエネルギーバンド構造
(1) 結晶構造
結晶構造、ミラー指数、ブラッグ条件、逆格子を説明できる。
5週 (2) 金属の自由電子模型 金属の電気的性質、状態密度、井戸型ポテンシャル中の電子の運動とブロッホの定理を説明できる。
6週 (3)エネルギーバンド構造 結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。
7週 (4)真性半導体と不純物半導体、半導体のエネルギーバンド構造、有効質量 真性半導体と不純物半導体、エネルギーバンド図、有効質量を説明できる。
8週 到達度試験(後期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する.
2ndQ
9週 試験の解説と解答
3.電気伝導 
(1)電気伝導現象
到達度試験の解説と解答
電気伝導の基礎と電子の粒子性波動性を説明できる。

定常状態にある系の波動関数と波動方程式を説明できる.
10週 (2)電子放出 各電子放出を説明できる。
11週 (3)超伝導現象 マイスナー効果、BCS理論、超伝導応用について説明できる。
12週 4.誘電体
(1)誘電分極
誘電体の電場に対する応答を定性的に理解できる。
13週 (2)誘電分極の機構 各分極機構について理解できる。
14週 (3)交流電界における誘電体 交流電場による各分極の応答の違いについて理解できる。
15週 到達度試験(卒業) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する.
16週 試験の解説と解答 到達度試験(卒業)の解説と解答,本授業のまとめ,および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3
原子の構造を説明できる。3前2
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3前2
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3前6
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3前5
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3前7
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3前7

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力3000002050
専門的能力3000001040
分野横断的能力100000010