無機材料工学

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 無機材料工学
科目番号 0008 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 物性化学 (エキスパート応用化学テキストシリーズ) 古川行夫著 講談社/ (参考書)物質の電磁気学 中山正敏著 岩波書店/(参考書)物質の量子力学 岡崎誠著 岩波書店
担当教員 丸山 耕一

到達目標

1. 格子という概念から結晶構造を説明できる。
2. 固体物性を古典論的現象論から説明できる。
3. 固体物性を量子論から説明できる。
4. 先端材料の特性制御に固体化学の概念を応用できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実格子と逆格子を使い分け、回折現象を逆格子によって説明できる。格子を基本並進べクトルで表現でき、逆格子の概念に接続できる。格子を基本並進べクトルで表現できず、逆格子の概念に接続できない。
評価項目2古典論でも説明できる電子の挙動のイメージをもつことができる。自由電子の電気伝導、誘電体の電気分極等を古典論から説明できる。自由電子の電気伝導、誘電体の電気分極等を古典論から説明できない。
評価項目3電子の波動性から説明できる固体物性をイメージすることができる。電子の状態密度、バンド理論、半導体のバンドギャップ等、量子論、統計論より説明できる。電子の状態密度、バンド理論、半導体のバンドギャップ等、量子論、統計論より説明できない。
評価項目4デバイスの開発に物性化学の概念を応用できる。集積回路、有機ELディスプレー、電界効果トランジスタ等の特性制御を固体物性から説明できる。集積回路、有機ELディスプレー、電界効果トランジスタ等の特性制御を固体物性から説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
近年の材料研究における固体物性の重要性は、化学系・生命科学系の研究者・技術者にも重要となっている。物性は、本来固体物理の範疇であったが、結晶の構造・電子状態・格子振動・電気的性質・誘電体・分子間力・磁気的性質などの概念理解が望まれる。これらの一部はすでに断片的に知識を記憶しているかもしれないが、物理化学の視点からこれらの自然現象をイメージするために、物理量を数式で表し、数式の変形で論理を展開する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。概念理解のための演習問題のレポート提出を求めることがある。試験結果の平均点が合格点に達しない場合、再試験を行うことがある。
注意点:
到達度試験の結果を80%,レポート(欠課措置を含む)を20%の比率で評価する。
総合評価 =(到達度試験(後期中間)評価点+到達度試験(後期末)評価点)/2 合格点は60点である。
(授業を受ける前)無機化学、物理化学(量子論)、固体化学等で学んだ学修内容を復習する。必ずしも必要ではないが、応用物質工学(熱・統計力学)、メカトロニクス(電磁気学)の知識があると、視野の広い総合的な学修ができる。
(授業を受けた後)教科書の格子振動・光物理・磁気的性質を自修した上で、将来新規材料を開発する際には、物性、構造、機能、化学合成などの分野にわたる知識を活用する基盤を形成する姿勢を継続する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス・物性化学の領域 授業の進め方と評価の仕方について説明する。物性化学の学問領域を導入する。
2週 結晶の構造(1) 実格子を基本並進ベクトルによって表現できる。
3週 結晶の構造(2) 逆格子に概念によって回折現象を説明できる。
4週 金属の自由電子(1) 自由電子の量子論を説明できる。
5週 金属の自由電子(2) 自由電子を統計論的に説明できる。
6週 エネルギーバンド(1) 結晶の電子の状態を取り扱うバンド理論を物理モデルから説明できる。
7週 エネルギーバンド(2) 結晶の電子の状態を取り扱うバンド理論を化学モデルから説明できる。
8週 到達度試験(後期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
4thQ
9週 電気伝導(1) 外部からの電場印加による結晶中の電子の動きの古典論的現象論がわかる。
10週 電気伝導(2) 結晶中の電子の波動性から電気伝導を説明できる。
11週 半導体(1) 真性半導体のバンド構造とキャリア密度がわかる。
12週 半導体(2) 無機半導体と有機半導体の「ドーピング」の意味の違いがわかり、電子状態の制御機構を説明できる。
13週 誘電体の電気的特性(1) 誘電体に外部電場を印加した際の電気分極の起源を説明できる。
14週 誘電体の電気的特性(2) 交流電場による誘電率の周波数依存性を考察できる。
15週 到達度試験(後期末) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
16週 試験の解説と解答、授業アンケート 到達度試験の解説と解答、本授業のまとめ、および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート等合計
総合評価割合8020100
知識の基本的な理解501060
思考・推論・創造への適用力10010
汎用的技能20020
総合的な学習経験と創造的思考力01010