到達目標
1. 様々な物理変化や化学変化のエンタルピーを理解し,未知の反応のそれを計算できる.
2. エントロピーと熱力学法則の概念を理解できる.
3. 基本的な反応速度論の概念を理解し,速度定数等を計算できる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | エントロピーによって,反応の自発性,可逆性等を議論できる. | 化学変化のエントロピー変化を計算できる. | 化学変化のエントロピー変化を計算できない. |
評価項目2 | 分光学などの実験により化学反応の速度式を見出すイメージができる. | 素反応の速度式をたて,中間反応物の定常状態近似などの概念を用いて速度定数を計算できる. | 素反応の速度式をたて,中間反応物の定常状態近似などの概念を用いて速度定数を計算できない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
物質の熱力学的な平衡状態およびこれに至る過程・速度を理解する.このために,エントロピー変化から反応の自発性,可逆・不可逆性を知るという化学熱力学の初歩を学ぶ.さらに,平衡状態へ至るまでの反応速度,活性化エネルギー,律速段階などの概念により,平衡状態へ至る過程を知る.これらは.物質の性質理解と合成技術の基盤となる専門的概念である.
授業の進め方・方法:
講義形式で行う.
概念理解のための演習問題のレポート提出を求める.
試験結果の平均点が合格点に達しない場合,再試験を行うことがある.
注意点:
到達度試験の結果を80%,レポート課題を20%の比率で評価する,
総合評価 =(到達度試験(後期中間)評価点+到達度試験(後期末)評価点)/2 合格点は50点である.
(授業を受ける前)学習内容に関連する,基礎的な物理学概念(エネルギー、仕事等)および微分・積分の数学の知識を復習していることが望ましい.
(授業を受けた後)授業をとおして,上記内容を理解する.物質の巨視的な状態量と電子のエネルギー量子を考えることで,物質の性質と変化を議論するという方法論を身に着け,化学熱力学,固体化学,反応工学等の各々の学修内容に有機的に接続できるように意識することを望む.このためには.教科書の例題等の演習問題を有効に活用する.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
熱力学第二法則と第三法則(1)熱力学第一法則の限界 |
第一法則からは反応の自発性を議論できないことが説明できる.
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2週 |
熱力学第二法則と第三法則(2)カルノーサイクルと熱効率 |
カルノーによる熱機関の各段階の定義と熱効率を説明できる.
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3週 |
熱力学第二法則と第三法則(3)エントロピーと熱力学第二法則 |
等温過程における可逆過程,不可逆過程,自発過程をエントロピーによって表現できる.
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4週 |
熱力学第二法則と第三法則(3)エントロピーと熱力学第二法則 |
等温過程でない場合,断熱過程をエントロピーによって表現できる.
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5週 |
熱力学第二法則と第三法則(4)系の秩序と熱力学第三法則 |
系の秩序(状態数)とエントロピーの関係を説明できる.
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6週 |
熱力学第二法則と第三法則(5)化学反応のエントロピー |
種々の化学変化におけるエントロピー変化を計算できる.
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7週 |
反応速度論(1)反応速度と速度式 |
反応がどのように進むかを定量的に表現できる.
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8週 |
到達度試験(後期中間) |
上記項目について学習した内容の理解度を確認する.
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4thQ |
9週 |
試験の解説と解答 |
到達度試験の解説と解答
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10週 |
反応速度論(2)初速度式 |
濃度変化から簡単な速度式を導ける.複雑な速度式の単純化を行える.
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11週 |
反応速度論(3)平衡反応,並発反応,逐次反応 |
平衡反応等の速度式を理解できる.
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12週 |
反応速度論(4)反応の温度依存性 |
反応の温度変化から熱力学と速度論の関係を説明できる.
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13週 |
反応速度論(5)反応機構と素過程 |
気相反応の反応機構を素過程から説明できる.
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14週 |
反応速度論(6)定常状態近似 |
定常状態近似の原理を理解し,酵素反応に適用できる.
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15週 |
到達度試験(後期末) |
上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
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16週 |
試験の解説と解答,授業アンケート |
到達度試験の解説と解答,および授業アンケート
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 4 | |
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。 | 4 | |
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
純物質の絶対エントロピーを計算できる。 | 4 | |
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。 | 4 | |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 4 | |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。 | 4 | |
平衡定数の温度依存性を計算できる。 | 4 | |
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。 | 4 | |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | |
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。 | 4 | |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 4 | |
評価割合
| 到達度試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
知識の基本的な理解 | 60 | 10 | 70 |
思考・推論・創造への適用力 | 20 | 10 | 30 |
汎用的技能 | 0 | 0 | 0 |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 0 | 0 | 0 |