1. 古典論における運動エネルギーとポテンシアルエネルギーを数式で表現できる。
2. 古典論が破たんする実験事実とこれを説明するための量子論の確立までの背景を説明できる。
3. 量子論的粒子の一次元の直線運動や調和振動のエネルギー(固有値)を量子論から説明できる。
4. 固有方程式の固有関数と固有値が観測量を予測できることを3.の例を用いて説明できる。
5. 二次元、三次元の直線運動と回転運動を一次元の運動の波動関数の意味を考えることで類推できる。
概要:
固体の最小単位である原子の構造は、電子のふるまいによって決定される。これを古典論で解釈すると矛盾が生じる。光や電子などの粒子の二重性(粒子性と波動性)を導入する必要が生じた実験事実とその背景を理解し、エネルギー量子などの物理量の量子化を納得すると、物質の微視的な性質から物質工学・材料工学の理解へと接続される。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。演習問題を課題として与える。試験結果の平均点が合格点に達しない場合,再テストを行うことがある。
注意点:
到達度試験の結果を80%,レポート(欠課措置を含む)を20%の比率で評価する。
総合評価 =(到達度試験(前期中間)評価点+到達度試験(前期末)評価点)/2 合格点は60点である。
(授業を受ける前)教科書を閲読し、関係する物理や数学の基礎概念を復習する。
(授業を受けた後)電子などの量子論的な粒子のふるまいは、古典論による記述では限界がある、あるいは矛盾が生じるという意味で、両者の認識を深めるような学習を望む。したがって、式を暗記するのではなく、電子等の挙動をイメージできた上で、それを数学という道具を用いて表現するという、これらのセットによる概念のを理解を心掛ける。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
授業ガイダンス・量子論の領域 |
授業の進め方と評価の仕方について説明する。量子論の学問領域をを導入する。
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2週 |
古典論では説明できない現象 |
原子スペクトル、光電効果などから、電子、光の性質を問い直せる。
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3週 |
古典論の終焉 |
ボーア理論、ド・ブロイの式から、古典論の終焉の歴史的経緯を科学的に考察できる。
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4週 |
量子論における仮定 |
電子や原子、分子のふるまいを記述する量子論における仮定を概観し納得できる。
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5週 |
波動関数・オブザーバブル・演算子 |
オブザーバブルな観測量が波動関数を固有関数とする固有値方程式から推測できることがわかる。
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6週 |
不確定性原理と波動関数の解釈 |
波動関数を解釈し、シュレーディンガ方程式の意味を考えられる。
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7週 |
自由粒子のシュレーディンガー方程式 |
1次元井戸型ポテンシァル内の自由粒子の定常状態とエネルギーを記述できる。
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8週 |
到達度試験(前期中間) |
上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
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2ndQ |
9週 |
3次元の箱の中の粒子と縮退 |
3次元の箱の中の自由粒子のエネルギーに縮退があることがわかる。
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10週 |
調和振動子 |
古典的調和振動子から量子力学的調和振動子のシュレーディンガ方程式を導ける。
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11週 |
量子力学的調和振動子のエネルギー量子と波動関数 |
トンネル効果について考察できる。
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12週 |
二次元の回転運動 |
回転する粒子の運動量と角運動量の関係から、角運動量を量子化できる。
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13週 |
三次元の回転運動(1) |
球面極座標系におけるシュレーディンガ方程式における波動関数の変数分離により3つの量子数を導入できる。
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14週 |
三次元の回転運動(2) |
量子化された角運動量により、粒子の軌道を描くことができる。
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15週 |
到達度試験(前期末) |
上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
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16週 |
試験の解説と解答、授業アンケート |
到達度試験の解説と解答、本授業のまとめ、および授業アンケート
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 4 | |
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 4 | |
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。 | 4 | |
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。 | 4 | |
気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。 | 4 | |
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。 | 4 | |
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。 | 4 | |
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。 | 4 | |
混合気体の分圧の計算ができる。 | 4 | |
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 | 4 | |
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。 | 4 | |
束一的性質を説明できる。 | 4 | |
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | |
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | |
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。 | 4 | |
エンタルピーの温度依存性を計算できる。 | 4 | |
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | |
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。 | 4 | |
均一および不均一反応の平衡を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
純物質の絶対エントロピーを計算できる。 | 4 | |
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。 | 4 | |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 4 | |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。 | 4 | |
平衡定数の温度依存性を計算できる。 | 4 | |
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。 | 4 | |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | |
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。 | 4 | |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 4 | |
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。 | 4 | |