物理化学

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 物理化学
科目番号 0031 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 ボール物理化学第2版 上 DAVID W.BALL著 化学同人/(参考書)量子力学の考え方 砂川重信 著 岩波書店/(参考書)材料科学者のための量子力学入門 志賀正幸著 内田老鶴圃 (参考書)アトキンス 基礎物理化学(上)-分子論的アプローチ- Peter Atkins・Julio de Paula・Ronald Friedman著
担当教員 丸山 耕一

到達目標

1. 古典論における運動エネルギーとポテンシァルエネルギーを数式で表現できる。
2. 古典論が破たんする実験事実とこれを説明するための量子論の確立までの背景を説明できる。 
3. 量子論的粒子の一次元の直線運動や調和振動のエネルギー(固有値)を量子論から説明できる。
4. 固有方程式の固有関数と固有値が観測量を予測できることを3.の例を用いて説明できる。
5. 二次元、三次元の直線運動と回転運動を一次元の運動の波動関数の意味を考えることで類推できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1原子における原子核と電子の相互作用を電磁気学の概念で理解できる。電子の運動エネルギーとポテンシァルエネルギーの数式表現の意味がわかる。電子の運動エネルギーとポテンシァルエネルギーの数式表現の意味がわからない。
評価項目2粒子や光の二重性が実証され量子論が誕生した背景から量子論を概観できる。古典論では説明できない現象を説明するために量子論が必要なことがわかる。古典論では説明できない現象を説明するために量子論が必要なことがわからない。
評価項目3ナノシステムのシュレディンガー方程式の解や固有値問題から量子状態をイメージできる。ナノシステムのシュレディンガー方程式の解や固有値問題を定量的に議論できる。ナノシステムのシュレディンガー方程式の解や固有値問題を定量的に議論できない。
評価項目4波動関数(固有関数)の物理的な意味がわかり、観測量の期待値を量子論から推測できる。波動関数が固有関数である/ない物理量を観測した場合の期待値を計算できる。波動関数が固有関数である/ない物理量を観測した場合の期待値を計算できない。
評価項目5波動関数の意味を考えることで、多次元における粒子の存在様をイメージすることができる。 三次元の直線運動を一次元のそれから類推でき、回転運動における角運動量の量子化ができる。三次元の直線運動を一次元のそれからの類推や、回転運動における角運動量の量子化ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
固体の最小単位である原子の構造は、電子のふるまいによって決定される。これを古典論で解釈すると矛盾が生じる。光や電子などの粒子の二重性(粒子性と波動性)を導入する必要が生じた実験事実とその背景を理解し、エネルギー量子などの物理量の量子化を納得すると、物質の微視的な性質から物質工学・材料工学の理解へと接続される。
授業の進め方と授業内容・方法:
講義形式で行う。演習問題を課題として与える。試験結果の平均点が合格点に達しない場合,再テストを行うことがある。
注意点:
到達度試験の結果を80%,レポート(欠課措置を含む)を20%の比率で評価する。
総合評価 =(到達度試験(前期中間)評価点+到達度試験(前期末)評価点)/2 合格点は60点である。
(授業を受ける前)教科書を閲読し、関係する物理や数学の基礎概念を復習する。
(授業を受けた後)電子などの量子論的な粒子のふるまいは、古典論による記述では限界がある、あるいは矛盾が生じるという意味で、両者の認識を深めるような学習を望む。したがって、式を暗記するのではなく、電子等の挙動をイメージできた上で、それを数学という道具を用いて表現するという、これらのセットによる概念のを理解を心掛ける。

授業計画

授業内容・方法 週ごとの到達目標
前期
1週 授業ガイダンス・量子論の領域 授業の進め方と評価の仕方について説明する。量子論の学問領域をを導入する。
2週 古典論では説明できない現象 原子スペクトル、光電効果などから、電子、光の性質を問い直せる。
3週 古典論の終焉 ボーア理論、ド・ブロイの式から、古典論の終焉の歴史的経緯を科学的に考察できる。
4週 量子論における仮定 電子や原子、分子のふるまいを記述する量子論における仮定を概観し納得できる。
5週 波動関数・オブザーバブル・演算子 オブザーバブルな観測量が波動関数を固有関数とする固有値方程式から推測できることがわかる。
6週 不確定性原理と波動関数の解釈 波動関数を解釈し、シュレーディンガ方程式の意味を考えられる。
7週 自由粒子のシュレーディンガー方程式 1次元井戸型ポテンシァル内の自由粒子の定常状態とエネルギーを記述できる。
8週 到達度試験(前期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
9週 3次元の箱の中の粒子と縮退 3次元の箱の中の自由粒子のエネルギーに縮退があることがわかる。
10週 調和振動子 古典的調和振動子から量子力学的調和振動子のシュレーディンガ方程式を導ける。
11週 量子力学的調和振動子のエネルギー量子と波動関数 トンネル効果について考察できる。
12週 二次元の回転運動 回転する粒子の運動量と角運動量の関係から、角運動量を量子化できる。
13週 三次元の回転運動(1) 球面極座標系におけるシュレーディンガ方程式における波動関数の変数分離により3つの量子数を導入できる。
14週 三次元の回転運動(2) 量子化された角運動量により、粒子の軌道を描くことができる。
15週 到達度試験(前期末) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
16週 試験の解説と解答、授業アンケート 到達度試験の解説と解答、本授業のまとめ、および授業アンケート

評価割合

到達度試験レポート合計
総合評価割合8020100
知識の基本的な理解501060
思考・推論・創造への適用力10010
汎用的技能20020
総合的な学習経験と創造的思考力01010