到達目標
1.これまで考えたエントロピーによる反応の自発性を、自由エネルギーから再考する。
2.マクスウェルの関係式から自由エネルギーの温度や圧力依存性がわかる。
3.化学ポテンシァルを自由エネルギーから導入し、平衡定数を記述できる。
4.実在気体や希薄溶液の平衡定数を記述できる。
5.熱力学的な状態数(エントロピー)を統計力学的に扱うことができる。
6.熱力学的な状態関数を統計力学的に導くことができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 反応の自発性を自由エネルギーから議論できる。 | エントロピーと自由エネルギーの関係がわかる。 | エントロピーと自由エネルギーの関係がわからない。 |
評価項目2 | マクスウェルの関係式から、自由エネルギーの温度依存性がわかる。 | マクスウェルの関係式の使い方がわかる。 | マクスウェルの関係式の使い方がわからない。 |
評価項目3 | 平衡定数の表記から、化学的過程をイメージできる。 | 化学平衡を、ギブスの自由エネルギーと化学ポテンシァルで表現できる。 | 化学平衡を、ギブスの自由エネルギーと化学ポテンシァルで表現できない。 |
評価項目4 | 実在気体や希薄溶液の平衡定数がわかる。 | 平衡定数や平衡点における反応進行度への圧力や温度の影響がわかる。 | 平衡定数や平衡点における反応進行度への圧力や温度の影響がわからない。 |
評価項目5 | エントロピーが状態数であるというイメージをもつことができる。 | 熱力学な状態数を統計力学的な概念で表現することができる。 | 熱力学な状態数を統計力学的な概念で表現することができない。 |
評価項目6 | 熱力学的現象論と統計力学的な考察の接点をイメージすることができる。 | 熱力学的な状態量を統計力学的に導くことができる。 | 熱力学的な状態量を統計力学的に導くことができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
エントロピーと自由エネルギーと化学ポテンシァルの個々の状態量の理解と、これらの相関の理解をあわせて、熱力学的平衡の現象論を整理していく。また、これらの現象を統計力学的な視点でもイメージできるようにする。これにより、平衡状態とこれに近い状態の熱力学的な性質を明らかとする。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。演習問題を課題として与える。試験結果の平均点が合格点に達しない場合,再テストを行うことがある。
注意点:
到達度試験の結果を80%,レポート(欠課措置を含む)を20%の比率で評価する。
総合評価 =(到達度試験(前期中間)評価点+到達度試験(前期末)評価点)/2 合格点は60点である。
(授業を受ける前)教科書を閲読し、関係する物理や数学の基礎概念および基礎物理化学(3年次)の学修内容を復習する。
(授業を受けた後)自由エネルギー、化学ポテンシァルの概念を用いて、化学平衡という状態を自由自在に記述できるように整理し、これを物質合成や工業化学、エネルギー変換等へ適用できるようにする。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
授業ガイダンス 熱力学的状態数の復習 |
授業の進め方と評価の仕方について説明する。内部エネルギー、エンタルピー、エントロピーの概念を復習する。
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2週 |
ギブズエネルギーと化学ポテンシャル(1) |
反応の自発性へのエントロピーの適用の限界を理解し、2つの自由エネルギーの導入の意義がわかる。
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3週 |
ギブズエネルギーと化学ポテンシャル(2) |
マクスウェルの関係式とその使い方がわかる。
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4週 |
ギブズエネルギーと化学ポテンシャル(3) |
ギブスエネルギーの温度・圧力依存性がわかる。
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5週 |
ギブズエネルギーと化学ポテンシャル(4) |
物質の化学的形態を考慮した化学ポテンシァルの導入の意義がわかる。
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6週 |
化学平衡(1) |
化学平衡を自由エネルギーから考え、反応進行度、反応比などの概念を理解できる。。
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7週 |
到達度試験(前期中間) |
上記項目について学習した内容の理解度を確認する.
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8週 |
試験の解説と解答
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到達度試験の解説と解答
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2ndQ |
9週 |
化学平衡(2) |
実在気体、希薄溶液などの平衡の考え方を理解できる。
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10週 |
化学平衡(3) |
平衡定数の温度依存性・圧力依存性を考察できる。
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11週 |
統計熱力学(1) |
統計学におけるアンサンブルの扱い方がわかる。
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12週 |
統計熱力学(2) |
マクスウェル・ボルツマン分布の意味がわかる。
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13週 |
統計熱力学(3) |
分配関数から熱力学的な性質を考察できる。
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14週 |
統計熱力学(4) |
熱力学的状態関数を分配関数から導くことができる。
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15週 |
到達度試験(前期末) |
上記項目について学習した内容の理解度を確認する.
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16週 |
試験の解説と解答 |
到達度試 験の解説と解答,および授業アンケート
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | |
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。 | 4 | |
均一および不均一反応の平衡を説明できる。 | 4 | |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 4 | |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。 | 4 | |
平衡定数の温度依存性を計算できる。 | 4 | |
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。 | 4 | |
評価割合
| 到達度試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
知識の基本的な理解 | 50 | 10 | 60 |
思考・推論・創造への適用力 | 10 | 0 | 10 |
汎用的技能 | 20 | 0 | 20 |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 0 | 10 | 10 |