量子化学

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 量子化学
科目番号 0037 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科(物質コース) 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「ボール物理化学第2版 上」著 化学同人 参考書:「アトキンス物理化学要論 第6版」Peter Atkins 著 東京化学同人  参考書:「アトキンス基礎物理化学(上)(下)」 Peter Atkins 著 東京化学同人
担当教員 丸山 耕一

到達目標

1.粒子の調和振動や回転運動のエネルギーの量子化を理解できる。
2.水素原子の波動関数から原子軌道の性質をイメージできる。
3.多電子原子や多原子分子の量子論を展開するための近似法を理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1分子の振動や回転を、量子論で議論することができる。粒子の調和振動および回転運動の量子数によってエネルギー量子を表現できる。粒子の調和振動および回転運動の量子数によってエネルギー量子を表現できない。
評価項目2水素原子の電子軌道の形状を量子論と対応してイメージできる。水素原子の波動関数とエネルギー量子を数式で表現できる。水素原子の波動関数とエネルギー量子を数式で表現できない。
評価項目3原子や分子の波動関数を近似する際に、量子論の有効性を洞察できる。多電子原子および他原子分子の波動関数を水素型波動関数から近似できる。多電子原子および他原子分子の波動関数を水素型波動関数から近似できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理化学(4年生)で学習した量子論の基礎の内容を発展させて、水素原子型波動関数を基に多電子原子や他原子分子の波動関数とエネルギー量子の近似の方法の基礎を学習する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。講義の理解を深めるための課題を課す。試験結果の平均点が合格点に達しない場合,再テストを行うことがある。
注意点:
合格点は60点である。各中間,期末の成績は,到達度試験結果を80%,課題の提出状況・理解度を20%で評価する。
学年総合成績 =(後期中間成績+後期末成績)/2
(授業を受ける前)前半の授業内容は、物理化学で導入した量子論を復習しながら、理解する。後半の授業内容は、無機化学や錯体化学等で学んだ概念に対して、より深い洞察を加えるための導入であることを意識する。
(授業を受けた後)分子デバイスやその量子機能を理解するための基礎概念として、必要に応じて、学修した量子論的なイメージを活用する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス
1 量子論の復習(1)古典論と量子論
授業の進め方と評価の仕方について説明する。古典的な原子の描像と量子化の必要性を理解できる。
2週 1 量子論の復習
(2) 調和振動子
調和振動子の量子化とエネルギー準位をイメージできる。
3週 1 量子論の復習
(3) 回転運動の量子化
粒子の回転運動を量子化した際の量子数の意味をイメージできる。
4週 2 水素原子
(1) 角度方向
水素原子を量子力学的に解く手順を理解できる。
5週 2 水素原子
(2) 動径方向
水素原子を量子力学的に解く手順を理解できる。
6週 2 水素原子
(3) 量子数とエネルギー準位
水素原子のエネルギー量子をイメージできる。
7週 2 水素原子
(4) 電子軌道
電子軌道の形を表現できる。
8週 到達度試験(後期中間)
試験の解説と解答
上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
到達度試験(前期中間)の解説と解答
4thQ
9週 3 原子と分子
(1) スピンとヘリウム原子
多電子原子の波動関数を水素型波動関数の積で近似できる。
10週 3 原子と分子
(2) スピン軌道とパウリの原理
原子と分子での量子数の取扱いの違いがわかる。
11週 3 原子と分子
(3) 多原子分子の波動関数
多原子分子の波動関数を水素型波動関数の積で近似できる。
12週 3 原子と分子
(4) 摂動論
縮退のない場合の摂動論を展開できる。
13週 3 原子と分子
(5) 変分理論
波動関数の試行関数に対する変分原理から近似エネルギーを計算できる。
14週 3 原子と分子
(6) 摂動論と変分理論の比較
摂動論と変分理論の適用の有効性と限界を理解できる。
15週 到達度試験(前期末) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
16週 試験の解説と解答、授業アンケート 到達度試験の解説と解答、本授業のまとめ、および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4
イオン結合と共有結合について説明できる。4
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4
金属結合の形成について理解できる。4
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4

評価割合

試験課題の提出状況・理解度合計
総合評価割合8020100
基礎的能力60060
専門的能力101020
分野横断的能力101020