生物化学工学

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 生物化学工学
科目番号 0001 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科(生物コース) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 自製プリントの配布
担当教員 上松 仁

到達目標

1.解糖系、クエン酸回路、呼吸鎖を異化代謝から説明できる。2.異化代謝と同化代謝の役割を理解して、炭素の流れを別々に説明できる。3.1モルのグルコースから異化代謝で生成されるATPの数を数えることができる。4.微生物の増殖曲線における状態が説明できる。5.回分培養、流加培養、連続培養の特徴が説明できる。6.連続培養の定常状態における菌体収支と物質収支が計算できる。7.培養槽の平衡状態における溶存酸素濃度および酸素移動容量係数を計算することができる。8.好気と嫌気の代謝メカニズムの相違点をエネルギー代謝と増殖反応モデルから説明できる。9.活性汚泥法におけるMLSSおよびBODの物質収支が求められる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1化学反応式、酵素、ATP、電子の流れから説明できる。炭素、ATP、電子の流れから説明できる。異化代謝における炭素の流れを説明できない。
評価項目2異化代謝と同化代謝をエネルギーの共役から説明でいる。炭素の流れを異化代謝と同化代謝で区別できる。炭素の流れを異化代謝と同化代謝で区別できない。
評価項目3基質レベルと酸化的リン酸化でのATPの生成反応を説明できる。大まかにどの反応でいくつのATPが生成するかを説明できる。異化代謝でいくつのATPが生成するかを説明できない。
評価項目4フェーズにおける微生物の状態が説明でき菌体増殖を計算できる。フェーズにおける微生物の状態が説明できる。フェーズにおける微生物の状態が説明できない。
評価項目5回分培養、流加培養、連続培養の特徴と用途が説明できる。回分培養、流加培養、連続培養の特徴が説明できる。回分培養、流加培養、連続培養の特徴が説明できない。
評価項目6連続培養を定常状態で運転する為の条件を導き出せる。連続培養の定常状態における菌体収支と物質収支が計算できる。連続培養の定常状態における菌体収支と物質収支が計算できない。
評価項目7培養槽の平衡状態における溶存酸素濃度および酸素移動容量係数を計算でき、応用できる。培養槽の平衡状態における溶存酸素濃度および酸素移動容量係数を計算することができる。培養槽の平衡状態における溶存酸素濃度および酸素移動容量係数を計算することがでない。
評価項目8好気と嫌気の代謝メカニズムの相違点を例を上げて説明できる。好気と嫌気の代謝メカニズムの相違点を説明できる。好気と嫌気の代謝メカニズムの相違点を説明できる。
評価項目9活性汚泥法におけるMLSSおよびBODの物質収支が求められ、活性汚泥層の設計ができる。活性汚泥法におけるMLSSおよびBODの物質収支が求められる。活性汚泥法におけるMLSSおよびBODの物質収支が求められない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
微生物の培養と微生物を用いた物質生産に必要な基礎的事項を学び、微生物反応を定量的に捉え、工学的な考察ができるようにする。微生物の増殖速度、生産物生産速度、呼吸速度の表し方とこれに応じた培養条件の決め方、微生物反応の制御方法、スケールアップについての考え方を修得する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。適宜、演習を行う。試験結果が合格点に達しない場合、理解度を再確認するための再試験を行うことがある。
注意点:
合格点は60点である。中間試験、期末試験を総合的に判断し、到達度で判断する。
学年総合成績 =(前期中間成績+前期末成績+後期中間成績+学年末成績)/4

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス 授業の進め方と評価の仕方について説明する。
2週 微生物反応のエネルギーの流れ 微生物のエネルギーの流れを異化代謝と同化代謝に分けて理解できる。
3週 物質代謝とエネルギー代謝1 解糖、クエン酸回路、呼吸鎖をエネルギーの代謝から説明できる。
4週 物質代謝とエネルギー代謝2 解糖、クエン酸回路、呼吸鎖をエネルギーの代謝から説明できる。
5週 高エネルギーリン酸化合物 生体におけるATPの役割が理解できる。
6週 増殖収率1 増殖収率とエネルギー効率の関連についての考察ができる。
7週 増殖収率2 各種の増殖収率を求めることができる。
8週 到達度試験(前期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
2ndQ
9週 微生物の増殖反応モデル-回分培養 回分培養の特性を示す式を導くことができる。
10週 微生物の増殖反応モデル-連続培養 連続培養の特性を示す式を導くことができる。
11週 微生物の増殖反応モデル-連続培養 連続培養の特性を示す式を導くことができる。
12週 増殖速度に及ぼす要因について 増殖速度を減少させる要因が説明できる。
13週 溶存酸素濃度と呼吸速度 溶存酸素濃度と呼吸速度の関係式を導くことができる。
14週 酸素移動容量係数(KLa)1 培養槽における酸素収支をKLaと呼吸速度で定量的に説明できる。
15週 酸素移動容量係数(KLa)2 培養槽における溶存酸素濃度とKLaを計算で求めることができる。
16週 到達度試験(前期末) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
後期
3rdQ
1週 通気培養槽のスケールアップ法 スケールアップする際の種々の留意点について説明できる。
2週 モデル化と最適化 数式モデルの分類とその役割を説明できる。
3週 好気培養のメカニズム 好気と嫌気の代謝メカニズムの相違点をエネルギー代謝と増殖反応モデルから説明できる。
4週 嫌気培養のメカニズム 好気と嫌気の代謝メカニズムの相違点をエネルギー代謝と増殖反応モデルから説明できる。
5週 アミノ酸生産のメカニズム アミノ酸生産のメカニズムを説明できる。
6週 抗生物質生産のメカニズム 抗生物質生産のメカニズムを説明できる。
7週 タンパク生産のメカニズム タンパク生産のメカニズムを説明できる。
8週 到達度試験(後期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
4thQ
9週 環境工学の役割 環境浄化における微生物の役割を説明できる。
10週 活性汚泥法の原理 活性汚泥法の原理を説明できる。
11週 活性汚泥法の物質収支 活性汚泥法におけるMLSSおよびBODの物質収支が求められる。
12週 バイオプロセスの構成 バイオプロセスの構成をコスト意識を持って考えられる。
13週 分離プロセス ろ過、遠心分離、膜分離について説明できる。
14週 精製プロセス 溶媒抽出、カラムクロマト、晶析について説明できる。
15週 到達度試験(後期末) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
16週 試験の解説と解答、授業アンケート 到達度試験の解説と解答、本授業のまとめ、および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力700000070
専門的能力200000020
分野横断的能力100000010