物質・生物工学概論

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物質・生物工学概論
科目番号 0005 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 創造システム工学科(物質・生物系) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 【前期】教科書:「基本有機化学」 加納航治著 三共出版
【後期】教科書1:「基礎からわかる分析化学」加藤正直,塚原聡 著,森北出版,教科書2:「新版 基礎分析化学演習」菅原正雄 著,三共出版,参考図書1:「分析化学」阿藤質 著,培風館,その他 :自製配布プリント
担当教員 船木 憲治,野中 利瀬弘

到達目標

1.有機化合物の定義と分類を理解できる.
2.化学結合の種類とその本質を理解できる.
3.酸と塩基の概念を理解できる.
4.アルカン類の命名法と反応を理解できる.
5.シクロアルカン類の命名法と反応を理解できる.
6.ハロアルカン類の命名法と構造,及び反応を理解できる.
7.定性分析と定量分析の違いがわかり,基本的な単位換算と濃度計算ができる.
8.化学平衡の概念を理解し,説明することができる.
9.酸塩基平衡における電荷均衡式と質量均衡式を記述でき,酸・塩基水溶液の簡単なpH計算ができる.
10.溶解度積から沈殿の有無や残濃度を計算でき,単一のイオン種の沈殿分離について定量的な説明ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化合物の定義と分類を理解でき,説明ができる.有機化合物の定義と分類を理解できる.有機化合物の定義と分類を理解できない.
評価項目2化学結合の種類とその本質を理解でき,説明ができる.化学結合の種類とその本質を理解できる.化学結合の種類とその本質を理解できない.
評価項目3酸と塩基の概念を理解でき,説明できる.酸と塩基の概念を理解できる.酸と塩基の概念を理解できない.
評価項目4アルカン類の命名法と反応を理解でき,説明できる.アルカン類の命名法と反応を理解できる.アルカン類の命名法と反応を理解できない.
評価項目5シクロアルカン類の命名法と構造を理解でき,説明できる.シクロアルカン類の命名法と構造を理解できる.シクロアルカン類の命名法と構造を理解できない.
評価項目6ハロアルカン類の命名法と構造,反応を完全理解できる.ハロアルカン類の命名法と構造,反応を理解できる.ハロアルカン類の命名法と構造,反応を理解できない.
評価項目7定性分析と定量分析の違いがわかり,種々の単位換算や濃度計算ができる. 定性分析と定量分析の違いがわかり,基本的な単位換算と濃度計算ができる. 定性分析と定量分析の違いが説明できず,基本的な単位換算や濃度計算ができない.
評価項目8化学平衡の概念を説明でき,成分濃度の量的関係から平衡式と平衡定数を表すことができる. 化学平衡の概念を理解し,説明することができる. 化学平衡の概念を説明できない.
評価項目9酸塩基平衡における電荷均衡式と質量均衡式を正確に記述でき,種々の水溶液のpHを計算することができる.酸塩基平衡における電荷均衡式と質量均衡式を記述でき,酸・塩基水溶液の簡単なpH計算ができる.酸・塩基水溶液の簡単なpH計算ができない.
評価項目10溶解度積から沈殿の有無や残濃度を計算でき,複数のイオン種の分離について定量的な説明ができる.溶解度積から沈殿の有無や残濃度を計算でき,単一のイオン種の沈殿分離について定量的な説明ができる.溶解度積から沈殿の有無や残濃度を計算できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
【前期】有機化学は炭素化合物の化学であり,有機化合物を官能基によって分類し,その構造と命名法,合成方法や反応性に関する基礎的な事項を修得し,有機化学が電子の移動を中心とした学問であることを理解することを目標とする.
【後期】分析化学は、マテリアル・プロセス工学コースおよびバイオ・アグリ工学コースのいずれのコースを選択する学生にとっても必須学問であり、本授業終了時には、分析化学の基礎事項である、溶液の性質、化学平衡とその計算方法、酸塩基とpH,沈殿生成とその計算方法について理解できていることを目標とする。分析化学に関するtechnical termの意味や概念を理解し、同時に化学計算の基礎を修得する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う.必要に応じて適宜小テストを実施し,また演習課題やレポートを課す.試験結果が合格点に達しない場合,再試験を行うことがある.
注意点:
[学習上の注意]
(講義を受ける前)化学Ⅰ,工学概論及び,基礎工学実習で学習した内容を確実に理解する事.また事前に教科書を読んでおくこと.
(講義を受けた後)基礎的概念の理解が重要である.ノート及び教科書を用いて復習し確実に理解すること.
[評価方法]
合格点は50点である.
【前期】有機化学:試験結果を70%,提出課題と受講態度を30%で評価する.
【後期】分析化学:試験結果を80%,提出課題と受講態度を20%で評価する.
学年総合評価={[(前期中間試験)+(前期末試験)]×0.35 +(提出課題など)×0.15 }+{[(前期中間試験)+(前期末試験)]×0.40 +(提出課題など)×0.10 }

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス
有機化合物とは1
授業の進め方と評価の仕方について説明する.
有機化合物の定義と分類を理解できる(1).
2週 有機化合物とは2 有機化合物の定義と分類を理解できる(2).
3週 化学結合1 イオン結合と共有結合の意味と,その本質を理解できる.
4週 化学結合2 軌道の種類と共有結合との関係を理解できる.
5週 化学結合3 結合の極性と共鳴を理解できる.
6週 酸と塩基 酸と塩基の概念と配位結合,水素結合を理解できる.
7週 到達度試験(前期中間) 上記の項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
8週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答
2ndQ
9週 アルカンとシクロアルカンの命名 アルカン類およびシクロアルカン類の命名法を理解できる.
10週 アルカンとシクロアルカンの構造 アルカン類およびシクロアルカン類の構造を理解できる.
11週 アルカンとシクロアルカンの反応 アルカン類およびシクロアルカン類の反応を理解できる.
12週 ハロアルカンの命名と構造 ハロアルカン類の命名法と構造を理解できる.
13週 ハロアルカンの反応1 ハロアルカン類の求核置換反応を理解できる..
14週 ハロアルカンの反応2 ハロアルカン類の脱離反応を理解できる.
15週 到達度試験(前期末) 上記の項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
16週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答,および授業アンケート
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス 授業の進め方と評価の仕方について説明する.
2週 1.分析化学の基礎
(1)分析の種類と方法
(2)化学反応の表現と単位

(1)分析の種類と方法
(2)化学反応の表現と単位 分析化学の概要と種々の手法がわかり,反応に影響を及ぼす基本的なパラメータを理解できる.
3週 (3)モルと濃度
2.化学平衡
(1)可逆反応と平衡定数Ⅰ
化学反応の定量的な表現がわかる.また,化学平衡の概念を理解できる.
4週 2.化学平衡
(2)可逆反応と平衡定数Ⅱ
(3)平衡状態の変化と色々な平衡
化学平衡の概念を理解でき,平衡の移動と平衡定数がわかる.
5週 3.酸塩基平衡と中和滴定
(1)電解質の分類と電離度
電解質,酸,塩基の定義がわかる.
6週 (2)水の解離平衡と酸-塩基の尺度Ⅰ 解離平衡がわかり,溶液のpHを計算できる.
7週 到達度試験(後期中間) 上記の項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
8週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答
4thQ
9週 (3)水の解離平衡と酸-塩基の尺度Ⅱ
(4)電離平衡と電荷均衡Ⅰ
解離平衡がわかり,溶液のpHを計算できる.また,電荷均衡と質量均衡を理解できる.
10週 (5)電離平衡と電荷均衡Ⅱ 電荷均衡と質量均衡を理解できる.
11週 (6)緩衝液と共通イオン効果Ⅰ 緩衝液の意味を理解でき,pHを求めることができる.
12週 (7)緩衝液と共通イオン効果Ⅱ 緩衝液の意味を理解でき,pHを求めることができる.
13週 4.沈殿平衡と分別沈殿
(1)沈殿平衡と溶解度積Ⅰ
溶解度積から沈殿の有無を導くことができる
14週 (2)陽イオンの系統的定性分析 沈殿平衡を利用したイオン種の分離が理解できる
15週 到達度試験(後期末) 上記の項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
16週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答,および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合750010015100
基礎的能力750010015100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000