応用物理化学

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用物理化学
科目番号 0034 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造システム工学科(バイオ・アグリ工学コース) 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 材料科学者のための統計熱力学入門 志賀正幸著 内田老鶴圃/(参考書)固体物理の基礎 材料がわかる量子力学と熱統計力学 西谷滋人著 森北出版/(参考書)材料科学者のための量子力学入門 志賀正幸著 内田老鶴圃 
担当教員 丸山 耕一

到達目標

1. 古典熱力学で導入した物理量とこれらの関係を説明できる。
2. 統計熱力学によって,エントロピー,温度の意味を説明できる。 
3. 状態和(分配関数)から自由エネルギーを導出できる。
4. 自由エネルギーや化学ポテンシャルを用いて,熱平衡,拡散平衡,相平衡,相転移などを説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1古典熱力学で導入した物理量とこれらの関係を導出できる。古典熱力学で導入した物理量とこれらの関係を説明できる。古典熱力学で導入した物理量とこれらの関係を説明できない。
評価項目2統計熱力学によって,エントロピー,温度の意味を説明でき,種々現象を解釈できる。統計熱力学によって,エントロピー,温度の意味を説明できる。統計熱力学によって,エントロピー,温度の意味を説明できない。
評価項目3状態和(分配関数)から自由エネルギーを導出でき,その活用法がわかる。状態和(分配関数)から自由エネルギーを導出できる。状態和(分配関数)から自由エネルギーを導出できない。
評価項目4平衡を議論する際,自由エネルギーや化学ポテンシャルを活用することの有効性を認識できる。自由エネルギーや化学ポテンシャルを用いて,熱平衡,拡散平衡,相平衡,相転移などを説明できる。自由エネルギーや化学ポテンシャルを用いて,熱平衡,拡散平衡,相平衡,相転移などを説明できない。

学科の到達目標項目との関係

(C)専門知識の充実 C-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
統計熱力学は,物質を構成粒子の集合として微視的にとらえたとき,ある条件下で最も頻繁に現れる個々の粒子のエネルギーの組み合わせを統計的に解析する方法である。これにより,古典熱力学で導入した巨視的熱力学量間の関係を,統計熱力学では原子論や量子力学に基づき,微視的な立場から熱力学量を求める手法である。これにより,エントロピーや温度のように,統計熱力学の立場からは容易に理解できる。また,熱平衡や相平衡,相転移などの材料工学・科学に関連する現象を,自由エネルギーや化学ポテンシャルを用いて議論する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。演習問題を課題として与える。
注意点:
到達度試験の結果を80%,レポート(提出物・欠課措置を含む ※指示された期限・内容でない場合は,減点する)を20%の比率で評価する。
合格点は60点である。試験結果の平均点が合格点に達しない場合,再試験を行うことがある。
(授業を受ける前)教科書を閲読し、関係する物理や数学の基礎概念を復習する。
(授業を受けた後)量子力学や統計熱力学によって導入される物理量や,導出された関係式から,物質の微視的な性質を理解し,材料作製,材料デザインに活用することをこころがける。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス・序論ー固体の比熱ー 授業の進め方と評価の仕方について説明する。固体の比熱に熱統計理論を適用する意義がわかる。
2週 ボルツマン分布 エネルギー量子の分布が温度に依存することがわかる。
3週 エントロピー 熱力学で導入したエントロピーて理解を,統計熱力学によっ深める。
4週 温度 微視的に温度を定義できる。
5週 自由エネルギーと状態和 状態和(分配関数)から自由エネルギーを導出できる。
6週 前半のまとめ・演習 前半の学修内容を整理することで,古典熱力学で導入した物理量を,熱統計力学によって,導入,解釈しなおせる。
7週 2準位系の統計熱力学 常磁性体の磁化率を説明できる。
8週 固体の平衡蒸気圧 粒子数が変化する系の平衡を議論できる。
4thQ
9週 化学反応の平衡 定温,定圧下における平衡条件を議論できる。
10週 相平衡と相転移(1)
開放系における化学ポテンシャルから平衡を説明できる。
11週 相平衡と相転移(2) 自由エネルギーから相転移を説明できる。
12週 相平衡と相転移(3) 自由エネルギーから核生成を説明できる。
13週 2元系状態図 自由エネルギーを状態図を用いて視覚的に説明できる。
14週 後半のまとめ・演習 後半の学修内容を整理することで,自由エネルギーや化学ポテンシャルを用いて,熱平衡,拡散平衡,相平衡,相転移などを説明できる。
15週 到達度試験(前期末) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する。
16週 試験の解説と解答、授業アンケート 到達度試験の解説と解答、本授業のまとめ、および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

到達度試験レポート等提出物合計
総合評価割合8020100
知識の基本的な理解501060
思考・推論・創造への適用力10010
汎用的技能20020
総合的な学習経験と創造的思考力01010