到達目標
この講義では, まず初めに様々な工学現象で見られる連成振動を通じ, 固体物性を理解する上で重要な分散関係を学ぶ, 次に, 凝集物質の物性を理解する上で簡潔でありながらも重要な, 結晶格子の周期性について学ぶ. さらに, 結晶格子を伝わる多くの電子や格子の振動を量子化することで, 様々な物性(固体の比熱, 電気伝導, 磁性, 超伝導)の基礎を学ぶ.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
分散関係と分散曲線 | 分散関係と分散曲線を理解し, 説明できる. | 分散関係と分散曲線が理解できる. | 分散関係と分散曲線が理解できる. |
実格子と逆格子空間
| 周期性を持つ結晶構造について, 逆格子空間に置ける回折条件を理解し, 説明できる. | 周期性を持つ結晶構造について, 逆格子空間に置ける回折条件が理解できる. | 周期性を持つ結晶構造について, 逆格子空間に置ける回折条件が理解できない |
固体の比熱 | 量子化された格子振動から固体の比熱を理解し, 説明できる. | 量子化された格子振動から固体の比熱が理解できる. | 量子化された格子振動から固体の比熱を理解できない. |
自由電子モデル | 自由電子モデルの性質を理解し, 説明ができる. | 自由電子モデルの性質が理解できる. | 自由電子モデルの性質が理解できない. |
バンド理論と電気伝導 | バンド理論の基本的概念と電気伝導の関係を理解し, 説明ができる. | バンド理論の基本的概念と電気伝導の関係が理解できる. | バンド理論の基本的概念と電気伝導の関係が理解できない. |
磁性の基礎 | 量子力学に基づき磁性の基礎概念を理解し, 説明ができる. | 量子力学に基づき磁性の基礎概念が理解できる. | 量子力学に基づき磁性の基礎概念が理解できない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
物性論は基礎としても応用としても重要な学術分野である. しかし, その内容は多岐にわたり, 物性論の全貌を理解することは難しい. そこで本講義では, 物性論の理解に不可欠な概念を, 連成振動を通して振動や波動現象を通じて理解し, それらを拡張しながら固体についての物性論の基礎を学んでゆく.
授業の進め方・方法:
講義形式で行い, 適宜演習を実施する. 教科書をもとに講義を進めるが, 配布資料等で発展的な内容を扱う場合がある.
注意点:
評価方法: 試験結果 70%,課題 30 % で評価する. 合格点は 60 点である.特に, 課題が未提出者は単位取得が困難となるので注意すること.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス 古典力学の復習 |
"講義の進め方と評価法を説明する. バネの振動を通し, 基準座標や基準モードという基礎概念を理解する.
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2週 |
多自由度の力学 |
古典力学から物性物理学への橋渡しとして, 連成振動から分散関係や分散曲線を学ぶ
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3週 |
摩擦力や外力の効果 |
強制振動や共鳴現象から, 物性論で重要な感受率などの基礎概念を理解する.
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4週 |
演習(1) |
これまでの内容について, 演習を行う.
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5週 |
進行波と格子振動 |
物性論の基礎となる一次元進行波や, 格子の周期に基づくブリルアン-ゾーンについて学ぶ.
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6週 |
実格子と逆格子 |
二次元空間における進行波を考え, 結晶の周期性に伴う逆格子空間を理解する.
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7週 |
固体の比熱 |
格子波を量子化することで, フォノンが生じることを学び, 固体の比熱を理解する.
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8週 |
電子や光の相補性 |
波束の概念を通じ, 電子や光の相補性を理解する.
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4thQ |
9週 |
演習(2) |
これまでの内容について, 演習を行う.
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10週 |
自由電子モデル |
フェルミ統計を復習し, 自由電子モデルを学ぶ. さらには, 電子比熱やパウリ常磁性などの基礎知識を習得する.
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11週 |
バンド理論 |
金属-絶縁体の起源を説明するエネルギー-ギャップの成因を理解する.
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12週 |
電気伝導 |
エネルギーギャップと電気伝導の関係について学ぶ.
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13週 |
磁性 |
電子間の相互作用から理解できる磁性の基礎を学ぶ.
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14週 |
演習(3) |
これまでの内容について, 演習を行う.
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15週 |
試験 |
上記項目について学習した内容の理解度を確認する.
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16週 |
試験の解答と解説 |
到達度試験の解説と解答, 本授業のまとめ. および授業アンケート.
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 25 | 10 | 35 |
専門的能力 | 35 | 10 | 45 |
分野横断的能力 | 10 | 10 | 20 |