固体物性論

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 固体物性論
科目番号 0012 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「キッテル 固体物理学入門(上)」宇野良清 津谷昇 新関駒次郎 森田章 山下次郎 共訳 丸善
担当教員 金田 保則

到達目標

固体の多くの性質は,固体の構成要素たる原子(種)とその配置が基本となり,さらにそこでの価電子の性質により決定されていると言ってよい.複雑な電子軌道の理解は保留しながらも,結晶結合の形態や,フォノン,自由電子モデルを中心とした電子構造から,種々の物性が理論的に導き出せることを理解し,自らも理論的検証ができるようになることが目標である.またこれらを通し,他の具体的な物質について,自ら科学的考察を行える能力を身につけるのがその上の目標となる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
結晶構造および結晶による波の回折結晶構造および結晶による波の回折を理解し説明ができる.結晶構造および結晶による波の回折を理解できる.結晶構造および結晶による波の回折を理解できない.
フォノンフォノンの意味・性質について理解し説明ができる.フォノンの意味・性質について理解ができる.フォノンの意味・性質について理解できない.
自由電子フェルミ気体自由電子フェルミ気体の性質について理解し説明ができる.自由電子フェルミ気体の性質について理解ができる.自由電子フェルミ気体の性質について理解できない.
エネルギーバンドエネルギーバンドの意味・性質について理解し説明ができる.エネルギーバンドの意味・性質について理解ができる.エネルギーバンドの意味・性質について理解できない.
半導体半導体における電子状態について理解し説明ができる.半導体における電子状態について理解ができる.半導体における電子状態について理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
固体物性の基礎理論を,教科書に沿って学ぶ.固体に関する諸性質(結晶構造,逆格子空間,フォノン,電子状態など)を理解し,簡単な系のモデル計算が自ら行えるようになることを目標とする.
授業の進め方・方法:
講義形式で行う.ただし,受講者が少ない場合は,ゼミ形式で行う.内容は,基本的に教科書に沿って行う.
注意点:
【注意点】必要に応じて適宜,演習課題,レポート,宿題を課す.試験結果が合格点に達しない場合,再到達度試験を行うことがある.
【評価方法】成績は,試験結果 70 %,演習課題・レポート・宿題等の結果を 30 % で評価する.合格点は 60 点である.特に,レポート・宿題の未提出者は単位取得が困難となるので注意すること.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス
1.結晶構造
授業の進め方と評価の仕方について説明する.
原子の周期的配列について学ぶ.
2週 1.結晶構造 3次元での格子型,立方格子の性質,結晶面の指数,簡単な結晶構造について学ぶ.
3週 2.波の回折と逆格子 結晶による波の回折,散乱波の振幅,ブリルアンゾーンについて学ぶ.
4週 2.波の回折と逆格子 単位構造のフーリエ解析について学ぶ.
5週 3.弾性ひずみの解析 弾性領域でのひずみ,応力,弾性コンプライアンスとスティフネス定数,立方結晶の弾性波について学ぶ.
6週 4.フォノンI: 結晶の振動 (1) 単原子結晶の振動 単原子結晶の振動について学ぶ.
7週 4.フォノンI: 結晶の振動 (2) 2原子結晶の振動 2原子結晶における音響的フォノン分枝,光学的フォノン分枝について学ぶ.
8週 5.フォノンII: 熱的性質 比熱に対するフォノンの寄与について学ぶ.
2ndQ
9週 6.自由電子フェルミ気体 3次元の自由電子気体,電子気体の比熱について学ぶ.
10週 7.エネルギーバンド 自由電子に近い電子モデル,ブロッホ関数,クローニッヒ-ペニーモデルについて学ぶ.
11週 7.エネルギーバンド 周期的ポテンシャル内の電子の波動方程式について学ぶ.
12週 7.エネルギーバンド バンド中の状態数について学ぶ.
13週 8.半導体 半導体におけるバンドギャップ,エネルギーバンド内での電子の運動方程式について学ぶ.
14週 8.半導体 不純物伝導について学ぶ.
15週 到達度試験(後期末) 上記項目について学習した内容の理解度を確認する.
16週 試験の解答と解説 到達度試験の解説と解答,本授業のまとめ,および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題/レポート等その他合計
総合評価割合70300100
基礎的能力2510035
専門的能力3510045
分野横断的能力1010020