固体物性論

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 固体物性論
科目番号 0003 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書: "物性論ノート(名古屋大学出版会)", 佐藤憲昭. 教材: 自作配布資料.
担当教員 上林 一彦

到達目標

この講義では, まず初めに様々な工学現象で見られる連成振動を通じ, 固体物性を理解する上で重要な分散関係を学ぶ, 次に, 凝集物質の物性を理解する上で簡潔でありながらも重要な, 結晶格子の周期性について学ぶ. さらに, 結晶格子を伝わる多くの電子や格子の振動を量子化することで, 様々な物性(固体の比熱, 電気伝導, 磁性, 超伝導)の基礎を学ぶ.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
分散関係と分散曲線分散関係と分散曲線を理解し, 説明できる.分散関係と分散曲線が理解できる.分散関係と分散曲線が理解できる.
実格子と逆格子空間 周期性を持つ結晶構造について, 逆格子空間に置ける回折条件を理解し, 説明できる.周期性を持つ結晶構造について, 逆格子空間に置ける回折条件が理解できる.周期性を持つ結晶構造について, 逆格子空間に置ける回折条件が理解できない
固体の比熱量子化された格子振動から固体の比熱を理解し, 説明できる.量子化された格子振動から固体の比熱が理解できる.量子化された格子振動から固体の比熱を理解できない.
自由電子モデル自由電子モデルの性質を理解し, 説明ができる.自由電子モデルの性質が理解できる.自由電子モデルの性質が理解できない.
バンド理論と電気伝導バンド理論の基本的概念と電気伝導の関係を理解し, 説明ができる.バンド理論の基本的概念と電気伝導の関係が理解できる.バンド理論の基本的概念と電気伝導の関係が理解できない.
磁性の基礎量子力学に基づき磁性の基礎概念を理解し, 説明ができる.量子力学に基づき磁性の基礎概念が理解できる.量子力学に基づき磁性の基礎概念が理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物性論は基礎としても応用としても重要な学術分野である. しかし, その内容は多岐にわたり, 物性論の全貌を理解することは難しい. そこで本講義では, 物性論の理解に不可欠な概念を, 連成振動を通して振動や波動現象を通じて理解し, それらを拡張しながら固体についての物性論の基礎を学んでゆく.
授業の進め方・方法:
講義形式で行い, 適宜演習を実施する. 教科書をもとに講義を進めるが, 配布資料等で発展的な内容を扱う場合がある.
注意点:
評価方法: 試験結果 70%,課題 30 % で評価する. 合格点は 60 点である.特に, 課題が未提出者は単位取得が困難となるので注意すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
古典力学の復習
"講義の進め方と評価法を説明する.
バネの振動を通し, 基準座標や基準モードという基礎概念を理解する.
2週 多自由度の力学 古典力学から物性物理学への橋渡しとして, 連成振動から分散関係や分散曲線を学ぶ
3週 摩擦力や外力の効果 強制振動や共鳴現象から, 物性論で重要な感受率などの基礎概念を理解する.
4週 演習(1) これまでの内容について, 演習を行う.
5週 進行波と格子振動 物性論の基礎となる一次元進行波や, 格子の周期に基づくブリルアン-ゾーンについて学ぶ.
6週 実格子と逆格子 二次元空間における進行波を考え, 結晶の周期性に伴う逆格子空間を理解する.
7週 固体の比熱 格子波を量子化することで, フォノンが生じることを学び, 固体の比熱を理解する.
8週 電子や光の相補性 波束の概念を通じ, 電子や光の相補性を理解する.
4thQ
9週 演習(2) これまでの内容について, 演習を行う.
10週 自由電子モデル フェルミ統計を復習し, 自由電子モデルを学ぶ. さらには, 電子比熱やパウリ常磁性などの基礎知識を習得する.
11週 バンド理論 金属-絶縁体の起源を説明するエネルギー-ギャップの成因を理解する.
12週 電気伝導 エネルギーギャップと電気伝導の関係について学ぶ.
13週 磁性 電子間の相互作用から理解できる磁性の基礎を学ぶ.
14週 演習(3) これまでの内容について, 演習を行う.
15週 試験 上記項目について学習した内容の理解度を確認する.
16週 試験の解答と解説 到達度試験の解説と解答, 本授業のまとめ. および授業アンケート.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題/レポート等合計
総合評価割合7030100
基礎的能力251035
専門的能力351045
分野横断的能力101020