量子力学

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 量子力学
科目番号 0011 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は特に用意せず,自製の演習プリントを配布する。
担当教員 上田 学

到達目標

・ ボーアの水素原子模型を説明できる。 
・ 位置エネルギーが一定の系でのシュレディンガー方程式を解くことができる。 
・ 量子力学における角運動量と球面調和関数との対応を理解でき,電子の存在確率分布をイメージできる。
・ 水素型原子において級数展開法を用いて動径波動関数を求めることができ,電子の軌道をイメージできる。 
・ 水素型原子模型のエネルギー準位を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1独力でボーアの水素原子模型を説明できる誘導によってボーアの水素原子模型を説明できる。誘導があってもボーアの水素原子模型を説明できない。
評価項目2位置エネルギーが一定の場合のシュレディンガー方程式を解くことができ,その運動の状態を説明できる。位置エネルギーが一定の場合のシュレディンガー方程式を解くことができる。位置エネルギーが一定の場合のシュレディンガー方程式を解くことができない。
評価項目3極座標を用いて角運動量演算子を書き表すことができ,その固有関数 (球面調和関数) との関係や電子の存在確率分布をイメージできる。量子力学における角運動量と球面調和関数との対応を理解でき,電子の存在確率分布をイメージできる。量子力学における角運動量と球面調和関数との対応を理解できないし,電子の存在確率分布もイメージできない。
評価項目4水素型原子模型において動径波動関数を独力で求めることができ,電子の軌道をイメージできる。水素型原子模型において動径波動関数を誘導によって求めることができ,電子の軌道をイメージできる。水素型原子模型において,誘導があっても動径波動関数を求めることができない。
評価項目5自然原子(多電子)のエネルギー準位も併せて説明できる。水素型原子模型のエネルギー準位を説明できる。水素型原子模型のエネルギー準位を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
量子力学は,電子が主役となる微視的現象を記述する理論である。この講義では,波動力学の立場から水素型原子模型の計算を通して量子力学の基本概念を理解する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。必要に応じて適宜,演習課題,レポート,宿題を課す。試験結果が合格点に達しない場合,再試験を行うことがある。
注意点:
成績は,試験結果75 %,演習課題・レポート・宿題の結果を 25 % で総合的に評価する。合格点は総合成績で 60 点以上である。
特に,レポート・宿題の未提出者は単位取得が困難となるので注意すること。

自学自習用として,本科在学時に使用した量子力学もしくはそれに関連した教科書が用意できればよい。もし手元にそのようなテキストが無い場合は,次の教科書を例として挙げる。
・「工学系のための量子力学」 上羽 弘 著,森北出版 
・「初等量子力学(改訂版)」 原島 鮮 著,裳華房
・「量子力学Ⅰ (改訂版)」 小出 昭一郎 著,裳華房

(講義を受ける前)
これまでに学習した数学・物理・化学の知識を広範囲で用いるので,その日に習うと予想される範囲での物理量の定義や数学の公式などを事前にチェックしておくこと。

(講義を受けた後)
授業の復習を必ず行い,理解できなかったところや不明のところを早めに解決すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス
1. 光量子
授業の進め方と評価の仕方について説明する。
光電効果, コンプトン効果を説明できる。
2週 2. 物質波とボーアの原子模型 ド・ブロイ波長を計算できる。ボーアの水素原子模型を説明できる。
3週 3. シュレディンガー方程式 その 1 進行波を用いて物質波が満たすべき式 (時間に依存するシュレディンガー方程式)の形を説明できる。
4週 3. シュレディンガー方程式 その 2 波動関数の振る舞いと存在確率の関係を説明できる。
5週 4. 箱の中の自由粒子 境界条件を利用して箱の中の自由粒子の波動関数やエネルギー準位を求めることができる。
6週 5. 極座標による微分演算子 極座標における微分演算子を書き表すことができる。
7週 6. 極座標によるシュレディンガー方程式. 極座標を用いて動径シュレディンガー方程式を書き表せる。また,それを変数分離できる。
8週 7. 交換関係 演算子の交換関係を計算することができる。
2ndQ
9週 8. 角運動量と球面調和関数 その 1 量子力学における角運動量の性質を理解できる。
10週 8. 角運動量と球面調和関数 その 2 角運動量演算子の交換関係を計算できる。
11週 8. 角運動量と球面調和関数 その 3 角運動量と球面調和関数との対応関係がわかる。
12週 9. 水素型原子 その 1 水素型原子の動径波動関数を求めることができる。
13週 9. 水素型原子 その 2 水素型原子のエネルギー準位を説明できる。
14週 10. スピン スピンをイメージできる。二電子系のスピンを合成できる。
15週 到達度試験 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する。
16週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答,本授業のまとめ,および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験小テストレポート・宿題態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75025000100
知識の基本的な理解500500055
思考・推論・創造への適用力100500015
汎用的技能150500020
態度・嗜好性 (人間力)0050005
総合的な学習経験と 創造的思考力0050005