到達目標
この講義では、ミクロな視点の分子運動論から得られる統計力学的な熱平衡状態の各種自由エネルギーが、熱力学で得られるものと等価になることを学ぶ。
統計力学上の分配関数で表現される各種自由エネルギーから、熱平衡系の物理量が計算できるようになる。
古典系および量子系の統計力学的な考え方の基礎が分かる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
熱力学の基礎 | 熱力学の観点から、第一、二法則が理解でき、各自由エネルギーの基本的な計算ができる。 | 熱力学の観点から、第一、二法則が理解できる。 | 熱力学の観点から、第一、二法則が理解できない。 |
統計力学の基礎 | 各正準集団の性質を理解し、それぞれの違いを明確に説明できる。また、各正準集団における自由エネルギーを導出し、各種物理量を計算できる。 | 各正準集団の性質を理解できる。また、各正準集団における自由エネルギーを利用し、各種物理量を計算できる。 | 各正準集団の性質を理解が理解できない。
自由エネルギーについても理解できない。 |
古典系と量子系の統計力学 | 古典系と量子系の統計力学的な違いを明確に説明することができる。また、各系の特徴を理解し、典型的な例については物理量を計算することができる。 | 古典系と量子系の統計力学的な違いが理解できる。典型的な例について、解説を読めば理解することができる。 | 古典系と量子系の統計力学的な違いがわからない。典型的な例についても理解できない。 |
相転移の基礎 | 相転移について、熱力学と統計力学のそれぞれの視点から説明することができる。発展的な問題に取り組める。 | 相転移について、熱力学と統計力学の視点の違いが分かる。基本的な問題に取り組める。 | 熱力学の視点から説明することができない。基本的な問題に取り組めない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
熱平衡状態の熱力学を復習し、熱力学第二法則に条件を付加することで、各種自由エネルギーを導出する。
その上でミクロな分子運動論の視点から古典統計力学を導入し、分配関数を利用することで各種自由エネルギーが再構築されることを確認する。
この過程で得られた分配関数を利用し、古典系並びに量子系の統計力学の基礎を解説する。
熱力学と統計力学の視点から、相転移における基本的な考え方を学ぶ。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。必要に応じて適宜,事前または事後の課題を課す。
試験結果が合格点に達しない場合,再試験を行うことがある。
自学自習時間は 60 時間。
注意点:
成績は,試験結果70 %,課題(演習、小試験含む)の結果を 30 % で総合的に評価する。
合格点は総合成績で 60 点以上である。
特に,課題の未提出者は単位取得が困難となるので注意すること。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 熱と温度 |
授業の進め方と評価の仕方について説明する。 熱力学と熱の移動について初歩的なことを学ぶ。
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2週 |
熱力学の基礎 |
熱力学第一法則を復習し、熱力学第二法則に現れる不等式について学ぶ。
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3週 |
熱力学の応用1/2 |
熱力学に関する各種自由エネルギーを整理し、その特徴を理解する。
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4週 |
熱力学の応用1/2 |
熱力学の視点から相転移を学び、相律や化学平衡について学ぶ。
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5週 |
統計とランダムウォーク
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統計力学に必要な数理統計の知識を整理し、その一例としてランダムウォークについて学ぶ。
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6週 |
統計力学の原理 |
多粒子の運動を位相空間で表現する方法を学び、熱平衡状態を表現する仮説や原理する。 その上で各正準集団の分配関数から、熱力学で得られた関係が再構築されること学ぶ。
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7週 |
相互作用のない系の統計力学1/3 |
古典系のについての多粒子系の振動について学ぶ。 量子系の入口として、固体の格子振動や二準位系の性質を学ぶ。
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8週 |
相互作用のない系の統計力学2/3 |
量子統計を考慮する際に必要な量子力学の基礎と、 ミクロな粒子の持つ回転を表す物理量の違いによって生じる二つの量子統計について学ぶ。
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2ndQ |
9週 |
相互作用のない系の統計力学2/3 |
量子統計基づく理想フェルミ気体と理想ボーズ気体の特徴を整理する。 その上で、各々の気体について具体的な物理量を計算する。
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10週 |
相互作用のある系の統計力学 |
相互作用を取り入れた不完全気体の統計力学を整理し、ジュール-トムソン効果を理解する。
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11週 |
相転移の統計力学1/3 |
気相-液相相転移について学ぶ。
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12週 |
相転移の統計力学2/3 |
2相分離について学ぶ。
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13週 |
相転移の統計力学3/3 |
二次相転移について学ぶ。
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14週 |
総合演習 |
上記内容を整理し、これまで学んだことに対し演習に取り組む。
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15週 |
試験 |
この講義で学んだ内容について試験を行う。
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16週 |
試験返却 アンケート |
試験解説を行う。 この講義に関するアンケートを実施する。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 50 | 20 | 70 |
専門的能力 | 10 | 5 | 15 |
分野横断的能力 | 10 | 5 | 15 |