物理化学(4年)

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 物理化学(4年)
科目番号 0152 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 _創造工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 P.W.Atkins他,アトキンス物理化学要論第6版(東京化学同人)
担当教員 佐藤 司

到達目標

1.非電解質溶液についてヘンリーの法則,ラウールの法則および束一的性質を説明でき,蒸気圧や浸透圧の計算ができる.また2成分混合物の相図を理解できる.
2.標準反応ギブズエネルギーから平衡定数を求めることができる.ルシャトリエの原理を理解し平衡定数の温度変化を求めることができる.
3.反応速度の表し方と濃度・温度依存性について説明・計算ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1非電解質溶液についてヘンリーの法則,ラウールの法則および束一的性質を詳しく説明でき,蒸気圧や浸透圧の計算ができる.また2成分混合物の相図を正しく理解できる.非電解質溶液についてヘンリーの法則,ラウールの法則および束一的性質を説明でき,蒸気圧や浸透圧の計算ができる.また2成分混合物の相図を理解できる.非電解質溶液についてヘンリーの法則,ラウールの法則および束一的性質を説明できず,蒸気圧や浸透圧の計算ができない.また2成分混合物の相図を理解できない.
評価項目2標準反応ギブズエネルギーを求め平衡定数を導くことができる.またルシャトリエの原理を正しく理解し応用できるとともに平衡定数の温度変化を求めることができる.標準反応ギブズエネルギーから平衡定数を求めることができる.またルシャトリエの原理を理解し平衡定数の温度変化を求めることができる.標準反応ギブズエネルギーから平衡定数を求めることができない.ルシャトリエの原理を理解し平衡定数の温度変化を求めることができない.
評価項目3反応速度の表し方と濃度・温度依存性について詳しく説明でき正しく計算することができる.反応速度の表し方と濃度・温度依存性について説明・計算ができる.反応速度の表し方と濃度・温度依存性について説明・計算ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学のもとになっている物理的な原理を理解するとともに,物質の状態変化,化学平衡および反応速度について理解を深める.ギブズエネルギーや化学ポテンシャルを学習し,混合物の状態変化や化学平衡を予測するための計算手法を習得する.さらに反応速度式について学ぶ.
授業の進め方・方法:
3年次に履修した物理化学の復習を交えながら,各項目について教科書および板書をもとに解説をおこなう.適時例題や章末問題等の解説をおこない,より理解を深める.試験は定期試験のほか適時実施する.
注意点:
必要に応じて3年次に履修した物理化学の内容を復習すること.章末問題等に積極的に取り組むこと.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 混合物の熱力学的記述 化学ポテンシャルを理解できる,
2週 自発的な混合 混合にともなうギブズエネルギー変化を理解できる.
3週 理想溶液 ラウールの法則を説明でき,蒸気分圧を求めることができる.
4週 理想希薄溶液 ヘンリーの法則を説明でき,揮発性溶質のモル分率と蒸気圧の関係を理解できる.
5週 実在溶液および朿一的性質1 活量を理解できる.沸点上昇と凝固点降下を理解し計算ができる.
6週 朿一的性質2 浸透圧に関するファントホフの式を理解できる.
7週 朿一的性質3 朿一的性質を用いて溶質のモル質量を求めることができる.
8週 中間試験 60点以上
2ndQ
9週 混合物の相図 混合物の相図を理解し,各相の存在比を求めることができる.
10週 反応ギブズエネルギー 反応ギブズエネルギーを理解できる.
11週 平衡定数 平衡定数を計算できる.
12週 標準反応ギブズエネルギー 標準反応エンタルピーと標準反応エントロピーの値から,または標準生成ギブズエネルギーの値から標準反応ギブズエネルギーを求めることができる.
13週 平衡組成 平衡にある系の平衡組成を求めることができる.
14週 諸条件による平衡移動1 ルシャトリエの原理を理解できる.
15週 諸条件による平衡移動2 平衡定数の温度変化を求めることができる.
16週
後期
3rdQ
1週 プロトン移動平衡1 プロトン移動平衡を理解できる.
2週 プロトン移動平衡2 酸(解離)定数および塩基(解離)定数を理解できる.
3週 多プロトン酸 多プロトン酸の挙動を理解できる.
4週 両プロトン性を示す化学種および塩の水溶液1 両プロトン性塩の水溶液のpHを求めることができる.ヘンダーソンーハッセルバルクの式を理解できる.
5週 塩の水溶液2 ヘンダーソンーハッセルバルクの式を用いてpHを算出できる
6週 溶解度平衡 溶解度定数から溶解度を求めることができる.
7週 中間試験 60点以上
8週 実験的な反応速度の求め方 反応速度を求めるための実験的手法を理解できる.
4thQ
9週 速度式,速度定数および反応次数 反応速度の定義を理解し,速度式を説明できる.また速度式より反応次数を求めることができる.
10週 速度式の求め方1 与えられた反応の微分速度式を書くことができる.
11週 速度式の求め方2 積分速度式から反応次数や速度定数を求めることができる.
12週 半減期と時定数 半減期を求めることができ,時定数を説明できる.
13週 反応速度の温度依存性 アレニウス式を理解でき,活性化エネルギーを求めることができる.
14週 衝突理論および遷移状態理論 衝突理論および遷移状態理論を理解できる.
15週 反応速度のまとめ
章末問題解説
教科書を参照しながら章末問題を解くことができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。4
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4前9
束一的性質を説明できる。4前5,前6
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4前5
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4前5,前6,前7
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4前11,前13
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4前14,前15
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4前11,前13
平衡定数の温度依存性を計算できる。4前15
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4後8,後9
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4後9,後11
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。4後10,後11,後12
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000