概要:
機械工学技術の基礎である物理学(特に力学分野)の方法論を科学的・論理的・数理的に捉える応用能力を養う。
授業の進め方・方法:
講義・問題演習を通じて、微分・積分・三角関数等の数学的手法を活用し、力学分野の諸法則及びその物理現象への応用方法を重点的に学ぶ。主に、「質点系・剛体の力学」と「振動論」について学ぶ。
注意点:
質点系・剛体の力学では、ニュートンの運動方程式を立て、数学的手法により、様々な力学問題を解く演習を重点的に学ぶ。振動論では、単振動の基本を学んだ上で、単振動の運動方程式(二階微分方程式)とその一般解を数理的に解く方法を身につけ、基本的な振動系(単振動・減衰振動・強制振動)について重点的に学ぶ。
【評価方法・基準】
前期中間試験20%、前期末試験20%、学年末試験30%、その他(課題レポート20%、出席・態度10%)で達成度を総合的に評価する。総合評価60点以上を合格とする。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
運動の法則(ニュートンの法則) ・位置・速度・加速度の時間変化 ・ニュートンの運動方程式 |
・物体の運動とは、物体の位置の時間的な変化であり、運動の法則を説明できる。 ・質点の運動を数式で捉え、物体の運動がニュートンの運動方程式で決まることを説明できる。
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2週 |
微積分を用いた簡単な運動の解析Ⅰ ・落体の運動(鉛直投げ上げ運動;重力のみ) ・放物体の運動(重力のみ) |
・落下運動や放物運動などの時間に依存した力を受けて運動する質点の運動方程式を立て、数理的にその解を求めることができる。
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3週 |
微積分を用いた簡単な運動の解析Ⅱ ・斜面と摩擦力の運動 |
・斜面をすべる物体の運動を制限する力(重力、垂直抗力、摩擦力)を理解し、束縛運動する質点の運動方程式を立て、数理的にその解を求めることができる。
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4週 |
運動方程式の応用Ⅰ ・変数分離型微分方程式の解き方と空気抵抗の力 |
・ニュートンの運動方程式は、数学的には微分方程式と呼ばれ、その解は運動のようすを示すことを理解し、その解き方を説明できる。
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5週 |
運動方程式の応用Ⅱ ・重力と空気抵抗の力のもとでの運動 ・いろんな空気抵抗の力と終端速度 |
・落下運動や放物運動で空気抵抗などの時間に依存した力を受けて運動する質点の運動方程式を立て、数理的にその解を求めることができる。
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6週 |
運動方程式の応用Ⅲ ・ばねの力と定数係数線型2階微分方程式の解法(運動方程式の変形Ⅰ) ・重力とばねの力を受ける物体の運動 |
・ばねの運動で空気抵抗などの時間に依存した力を受けて運動する質点の運動方程式と二階の線型微分方程式の解法について理解できる。
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7週 |
§ 力学的エネルギー保存則の応用 ・位置エネルギーと仕事 ・弾性力による位置エネルギー |
・運動物体(質点)の満たす基本法則である運動方程式を変形(積分)することにより運動の間に時間が経っても決して変わらない物理量(保存量)を導き、このような保存量を与える法則(保存則)を応用して、運動系を説明することができる。
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8週 |
・「エネルギー原理」と力学的エネルギー保存則 ・演習問題の取組み |
・運動物体(質点)の満たす基本法則である運動方程式を変形(積分)することにより、仕事と力学的エネルギーの関係について理解することができる。
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験 |
・質点系の運動に関する基本的な問題を物理数学的に解くことができる。
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10週 |
§ 運動量と角運動量 ・運動量と力積、運動量保存則 (運動方程式の変形Ⅱ) ・質量中心(重心)と相対運動 |
・運動量保存則の意味を論理的に説明できる。 ・質点に働く重力効果が重心に集中することを論理的に説明できる。
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11週 |
・角運動量と角運動量保存則(運動方程式の変形Ⅲ) ・ベクトルの外積 |
・三次元における角運動量保存則の意味を理解し、ベクトルの外積(ベクトル積)の考え方を適用できる。
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12週 |
§ 剛体と平面運動 ・剛体の運動方程式 ・力のモーメント |
・剛体の運動には並進運動と回転運動がありその運動を決めるのに必要な方程式を理解できる。 ・剛体に働く力のモーメント(トルク)について論理的に説明できる。
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13週 |
・回転軸まわりの力学 ・剛体の回転運動方程式 |
・剛体に作用する力のモーメントとつり合いの条件式を導出することが出来る。 ・剛体の回転運動方程式を理解し記述することが出来る。
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14週 |
・慣性モーメントの計算 |
・剛体の回転軸に関する慣性モーメントを論理的に定義することで、一様な棒等の慣性モーメントを計算できる。
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15週 |
・斜面のころがり運動 ・滑車の回転運動 |
・剛体の平面運動における運動方程式を立てることができる。 ・剛体の運動方程式から、斜面を転がる運動や滑車の回転運動について、論理的に記述することが出来る。
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16週 |
前期末試験 |
・質点系及び剛体の力学に関する基本的な問題を数理的かつ論理的に解くことができる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
前期の復習 |
・質点系及び剛体の力学に関する基本的な物理現象を数理的かつ論理的に説明することができる。
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2週 |
§ 振動論 ・単振動と諸定数 ・単振動の運動方程式とその解 |
・単振動は最も基本的な周期性のある振動であり、複雑な振動も単振動の重ね合わせで表現することができる。単振動の諸定数を取り上げ、その特徴を理解し、その運動方程式を導くことができる。 ・単振動の運動方程式とその解について数学的に理解できる。
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3週 |
・単振動の一般解とその解の求め方 ・二階線形微分方程式の解法 |
・単振動の運動方程式(二階微分方程式)から、演算子法(複素数の展開)や三角関数の微積分法などを適用して、その一般解を数理的に導くことができる。
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4週 |
・単振動のエネルギー |
・ばねの保存力が物体に働く場合には、力学的エネルギー保存則が成り立つことを数理的に導くことが出来る。
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5週 |
・単振動の例(楕円振動、単振り子) ・LC回路と電気振動 |
・質点が平面上で位置ベクトルに比例し、原点(中心)に向かう力を受けている場合の振動運動や糸におもりを付けた単振り子の運動が単振動であることを説明できる。 ・電気的な振動も単振動であることを説明できる。
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6週 |
・減衰振動の運動方程式とその解 |
・減衰振動の運動方程式を立てて、その一般解を導くことができる。
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7週 |
・減衰振動のエネルギー収支 |
・減衰振動におけるエネルギー収支について、説明できる。
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8週 |
・強制振動の運動方程式とその解 |
・減衰振動をしている物体に周期的な外力を加えた時の振動に関する運動方程式を立てて、その一般解を導くことができる。
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4thQ |
9週 |
・強制振動のエネルギー収支 ・エネルギー共鳴 |
・強制振動のエネルギー収支について、説明できる。 ・外力の仕事率は振動子のエネルギー吸収率であり、角振動数に依存することを理解し、エネルギー共鳴(エネルギー吸収率の最大)について説明できる。
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10週 |
問題演習Ⅰ(運動方程式の応用) |
・運動方程式の応用に関する基本的な問題を物理数学的に説明することができる。
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11週 |
問題演習Ⅱ(剛体の力学) |
・剛体の力学に関する基本的な問題を物理数学的に説明することができる。
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12週 |
問題演習Ⅲ(単振動) |
・単振動に関する基本的な問題を物理数学的に説明することができる。
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13週 |
問題演習Ⅳ(減衰・強制振動) |
・減衰・強制振動に関する基本的な問題を物理数学的に説明することができる。
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14週 |
問題演習Ⅴ(質点系・剛体の力学、振動論のまとめを含む) |
・質点系・剛体の力学、振動論に関する総合的な問題を物理数学的に説明することができる。
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15週 |
学年末試験 |
・質点系・剛体の力学、振動論に関する基本的な問題を数理的かつ論理的に解くことができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 速度と加速度の概念を説明できる。 | 4 | |
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。 | 4 | |
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。 | 4 | |
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。 | 4 | |
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。 | 4 | |
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 4 | |
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 4 | |
物体に作用する力を図示することができる。 | 4 | |
力の合成と分解をすることができる。 | 4 | |
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。 | 4 | |
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。 | 4 | |
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。 | 4 | |
慣性の法則について説明できる。 | 4 | |
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。 | 4 | |
運動方程式を用いた計算ができる。 | 4 | |
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 4 | |
運動の法則について説明できる。 | 4 | |
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。 | 4 | |
最大摩擦力に関する計算ができる。 | 4 | |
動摩擦力に関する計算ができる。 | 4 | |
仕事と仕事率に関する計算ができる。 | 4 | |
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。 | 4 | |
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 4 | |
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 4 | |
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 4 | |
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。 | 4 | |
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。 | 4 | |
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 4 | |
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。 | 4 | |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 4 | |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 4 | |
力のモーメントを求めることができる。 | 4 | |
角運動量を求めることができる。 | 4 | |
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。 | 4 | |
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。 | 4 | |
重心に関する計算ができる。 | 4 | |
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。 | 4 | |
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。 | 4 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 力学 | 剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。 | 4 | |
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。 | 4 | |
振動の種類および調和振動を説明できる。 | 3 | |
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。 | 3 | |
減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。 | 3 | |