環境化学

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 環境化学
科目番号 0044 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科一般科目・共通専門科目 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 J.E.アンドリューズ他(渡辺正訳) 「地球環境化学入門」丸善出版
担当教員 阿部 達雄

到達目標

地球的規模の環境において、陸水の化学・海の化学・化学物質の移動、循環および環境への影響について理解できる。陸水(河川・湖沼・地下水)・海洋における環境やそれぞれの環境における化学物質の挙動の違いを理解できる。環境汚染物質の発生起源とその対策、環境保全の方策、環境に優しい化学技術のあり方を考察できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1陸水の化学についての知識があり、応用的に考察できる。陸水の化学についての知識がある陸水の化学についての知識がない
評価項目2海の化学についての知識があり、応用的に考察できる。 があり、応用的に考察できる。海の化学についての知識がある海の化学についての知識がない
評価項目3化学物質の循環についての知識があり、応用的に考察できる。化学物質の循環についての知識がある化学物質の循環についての知識がない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
地球的規模の環境について、陸水の化学・海の化学・化学物質の移動、循環および環境への影響の視点から講義する。この講義を通して、環境汚染物質の発生起源とその対策、環境保全の方策について理解を深めて、環境に優しい化学技術のあり方を考える。
授業の進め方・方法:
期末試験70%、レポート30%、をもって総合的に評価して60点以上を合格とする。
期末試験のレベルは達成目標に則した内容とする。レポートは地球環境化学についての知識を問う内容とする。
注意点:
*本講義は、Blackboardを用いて行われます。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 陸水の化学
・元素の溶けやすさ
・イオン組成を決めるもの
アルカリ度、炭酸水素イオン、緩衝作用が説明できる。
2週 陸水の化学
・アルミニウムの溶解性と酸性
土壌の酸性化、鉱山廃水の酸性化、三元相図が説明できる。
3週 陸水の化学
・水の成分と生物活動
生物の栄養、富栄養化が説明できる
4週 陸水の化学
・重金属汚染
金鉱山の水銀汚染が説明できる
5週 陸水の化学
・地下水の汚染
地下水の人為汚染例、ヒ素汚染が説明できる。
6週 海の化学
・河口で起こる現象
コロイド物質の沈殿、淡水と海水の混ざり合い、平衡化とイオン交換、微生物の活動が説明できる
7週 海の化学
・海水の特徴
海水の特徴が説明できる
8週 海の化学
・主要イオンの循環
海から大気に出る成分、海水の蒸発で沈殿する成分、イオン交換で失われる成分、海底に沈む炭酸カルシウム・ケイ素、硫酸還元菌で増減する成分、熱水噴出孔で増減する成分、カリウムイオンの収支について説明できる。
2ndQ
9週 海の化学
・海水の微量成分
溶存気体、溶存イオン、不活性な成分、栄養塩になる成分、吸着除去されやすい成分が説明できる
10週 海の化学
・海の生物を育てる鉄
生物を育てる鉄について説明できる
11週 海の化学
・海水循環と元素
海水循環と元素について説明できる
12週 海の化学
・海の化学と人間活動
人間活動が変える海水成分について説明できる
13週 変わりゆく地球
・炭素の循環
二酸化炭素を中心とした炭素の循環が説明できる
14週 変わりゆく地球
・硫黄の循環
硫黄と人間活動、大気、雨、気候の関係を説明できる
15週 変わりゆく地球
・残留性有機汚染物質(POPs)
POPsと生物濃縮について説明できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス太陽系を構成する惑星の中に地球があり、月は地球の衛星であることを説明できる。4
地球は大気と水で覆われた惑星であることを説明できる。4
陸地および海底の大地形とその形成を説明できる。4
地球の内部構造を理解して、内部には何があるか説明できる。4
マグマの生成と火山活動を説明できる。4
地震の発生と断層運動について説明できる。4
地球科学を支えるプレートテクトニクスを説明できる。4
プレート境界における地震活動の特徴とそれに伴う地殻変動などについて説明できる。4
地球上の生物の多様性について説明できる。4
生物の共通性と進化の関係について説明できる。4
生物に共通する性質について説明できる。4
大気圏の構造・成分を理解し、大気圧を説明できる。4
大気の熱収支を理解し、大気の運動を説明できる。4
大気の大循環を理解し、大気中の風の流れなどの気象現象を説明できる。4
海水の運動を理解し、潮流、高潮、津波などを説明できる。4
植生の遷移について説明でき、そのしくみについて説明できる。4
世界のバイオームとその分布について説明できる。4
日本のバイオームの水平分布、垂直分布について説明できる。4
生態系の構成要素(生産者、消費者、分解者、非生物的環境)とその関係について説明できる。4
生態ピラミッドについて説明できる。4
生態系における炭素の循環とエネルギーの流れについて説明できる。4
熱帯林の減少と生物多様性の喪失について説明できる。4
有害物質の生物濃縮について説明できる。4
地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。4
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。1
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。1
σ結合とπ結合について説明できる。1
混成軌道を用い物質の形を説明できる。1
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。1
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。1
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。1
共鳴構造について説明できる。1
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。1
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。1
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。1
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。1
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。1
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。1
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。1
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。1
高分子化合物がどのようなものか説明できる。1
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。1
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。1
高分子の熱的性質を説明できる。1
重合反応について説明できる。1
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。1
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。1
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。1
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。1
反応機構に基づき、生成物が予測できる。1
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。1
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。1
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。1
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。1
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。1
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。1
イオン結合と共有結合について説明できる。1
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。1
金属結合の形成について理解できる。1
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。1
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。1
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。1
配位結合の形成について説明できる。1
水素結合について説明できる。1
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。1
錯体の命名法の基本を説明できる。1
配位数と構造について説明できる。1
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。1
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。2
分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。1
電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。1
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。1
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。1
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。1
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。1
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。1
錯体の生成について説明できる。1
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。1
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。1
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。1
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。1
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。1
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。1
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。2
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。1
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。1
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。1
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。1
物理化学放射線の種類と性質を説明できる。2
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。1
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。1
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。1
気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。1
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。1
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。1
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。1
混合気体の分圧の計算ができる。1
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。1
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。1
束一的性質を説明できる。1
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。1
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。1
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。1
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。1
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。1
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。1
エンタルピーの温度依存性を計算できる。1
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。1
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。1
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。1
均一および不均一反応の平衡を説明できる。1
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。1
純物質の絶対エントロピーを計算できる。1
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。1
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。1
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。1
平衡定数の温度依存性を計算できる。1
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。1
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。1
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。1
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。1
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。1
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。1
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力3000001040
専門的能力2000001030
分野横断的能力2000001030