ゲノム工学

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 ゲノム工学
科目番号 0001 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 ゲノム第3版 新しい生命情報システムへのアプローチ T.A BROWN著; 村松正實、木南凌 監訳; メディカル・サイエンス・インターナショナル
担当教員 斎藤 菜摘,佐藤 貴哉

到達目標

ゲノム分子生物学は21世紀の生物学を担う学問の一つである。生命科学を専攻する学生のみならず、全学生にとって概要を知るべき学問分野である。次を達成目標とする。
1)ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームの定義、意義、研究方法を理解する
2)地球上に存在する種々の生物のゲノムの特徴を理解する

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームを定義し、これらの意義の違いを説明し、ゲノム発現過程とどうつながっているかを述べることができるゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームを定義し、これらがゲノム発現過程とどうつながっているかを述べることができるゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームを説明できない
評価項目2DNAクローニング、ゲノム配列解析、ゲノム機能解析について、例をあげて詳細に説明できるDNAクローニング、ゲノム配列解析、ゲノム機能解析について、概要がわかるDNAクローニング、ゲノム配列解析、ゲノム機能解析について、何も説明できない
評価項目3原核生物、真核生物、ウィルスのゲノムについて、特徴と違いを詳しく説明できる原核生物、真核生物、ウィルスのゲノムについて、特徴と違いの概要を説明できる原核生物、真核生物、ウィルスのゲノムについて、特徴と違いを何も説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
ゲノム分子生物学は21世紀の生物学を担う学問の一つである。生命科学を専攻する学生のみならず、全学生にとって概要を知るべき学問分野である。本授業は、該当分野の基本的な事象から最先端の議論にまで触れることになる。授業は教科書「ゲノム第3版」にそって行われ、講師が分子生物学やゲノム研究に従事してきた経験からより具体的な解説を行う。ゲノム機能を理解するために基本となる事象を学び、原核生物、真核生物、ウィルスなどのゲノムについて理解することを目指す。
授業の進め方・方法:
教科書「ゲノム第3版」の図を示したパワーポイントを用いて、教科書の内容を解説する。
注意点:
評価は、期末テスト、授業の最初に毎回行う小テスト、出席で行う。小テストの受講を出席とみなす。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンスおよび「ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム」について概説。 ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームの定義を説明できる。
2週 ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム 遺伝子はDNAでできている、DNAの構造、RNAとトランスクリプトーム、タンパク質とプロテオーム、を理解する。
3週 DNA研究法 組み換えDNA技術に用いられる酵素類の役割、クローニングベクターの性質と使用法を理解する。
4週 DNA研究法 ポリメラーゼ連鎖反応の原理と応用を理解する
5週 ゲノム地図の作成 ゲノム解析におけるゲノム地図、遺伝地図の重要性と概要を理解する。
6週 ゲノム配列解析 様々な塩基配列決定法の原理を理解する。
7週 ゲノム配列解析 ヒトゲノムプロジェクトを中心に、様々なゲノムプロジェクトについて知る。
8週 ゲノム配列の理解 遺伝子機能を調べるための、コンピューターによる機能解析、実験的な遺伝子不活性化による機能解析手法の概要を理解する。
4thQ
9週 ゲノム機能解析 ゲノム機能解析方法として、トランスクリプトームとプロテオームの研究方法を説明できる。
10週 ゲノム機能解析 ゲノム機能解析方法として、トランスクリプトームとプロテオームの研究方法を説明できる。
11週 真核生物ゲノム 真核生物ゲノムに見られる、多重遺伝子、偽遺伝子、反復DNA配列などの特徴を理解する。
12週 原核生物ゲノムと真核生物の細胞小器官ゲノム 細菌が持つゲノム構造を理解し、細胞小器官の起源となった細胞内共生説を説明できる。
13週 ウィルスゲノムと動く遺伝子 バクテリオファージやウィルスゲノム構造を理解する。トランスポゾンなどゲノム上を移動する遺伝子について説明できる。
14週 期末テスト これまでの講義の理解を確認する。
15週 講義まとめ ゲノム工学の講義をまとめる。関連分野の紹介を行う。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。5
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。2
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。1
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。5
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。5
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。2
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。5
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。5
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。3
細胞周期について説明できる。3
分化について説明できる。3
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。5
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。1
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。1
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。1
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。1
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。5
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。1
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。1
グリコシド結合を説明できる。1
多糖の例を説明できる。1
脂質の機能を複数あげることができる。1
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。1
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。1
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。5
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。5
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。5
タンパク質の高次構造について説明できる。5
ヌクレオチドの構造を説明できる。5
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。5
DNAの半保存的複製を説明できる。5
RNAの種類と働きを列記できる。5
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。5
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。1
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。1
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。1
解糖系の概要を説明できる。2
クエン酸回路の概要を説明できる。2
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。2
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。2
各種の光合成色素の働きを説明できる。1
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。1
炭酸固定の過程を説明できる。1
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。3
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。2
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。2
微生物の育種方法について説明できる。1
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。1
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。1
食品加工と微生物の関係について説明できる。1
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。1
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合600010040110
基礎的能力600010040110
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000