反応速度論(1・2年)

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 反応速度論(1・2年)
科目番号 0030 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 アトキンス 物理化学要論 第6版(東京化学同人)
担当教員 飯島 政雄,佐藤 司

到達目標

反応速度式の定義や速度定数の意味を説明でき、一次および二次反応の微分速度式から積分速度式を誘導し、積分速度式を駆使して様々な速度パラメータを計算できること。さらに、反応機構と速度式の関係を理解し、衝突理論や遷移状態理論から反応速度を熱力学的に説明できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 反応速度式の意味、積分速度式の誘導ができる 反応速度定数の意味を説明でき、一次および二次反応の微分速度式から積分速度式を誘導できる。反応速度定数の意味を説明でき、一次および二次反応の微分形速度式や積分速度式を理解できる。反応速度定数の意味を説明できず、一次および二次反応の微分形速度式や積分速度式を理解できない。
評価項目2 速度式を用いて濃度計算ができる速度定数を駆使してある時刻や平衡時での濃度計算ができる。速度データから速度定数や半減期を算出できる。速度データから速度定数や半減期を算出できない。
評価項目3 衝突理論と遷移状態理論を説明できる衝突理論と遷移状態理論における速度定数と熱力学的パラメータの関係を説明できる。複雑な反応系のいくつかについて、速度式と複雑な反応系の一例について、速度式と反応機構の関係を説明できる。衝突理論と遷移状態理論の概略を説明できる。複雑な反応系の一例について、速度式と反応機構の関係を説明できる。衝突理論と遷移状態理論を説明できない。複雑な反応系の一例について、概要を説明できない。
評価項目4 均一系触媒反応の機構と反応速度の特徴を説明できる均一系触媒反応機構をモデルを用いて説明でき、反応速度の計算を正確に行える均一系触媒反応機構を説明でき、反応速度の計算を行える均一系触媒反応機構を説明ない。反応速度の計算ができない。
評価項目5 不均一系触媒反応の機構と吸着モデルを説明できる不均一系触媒反応の機構と吸着モデルを用いた説明が正確にできる不均一系触媒反応の機構と吸着モデルの意味が分かる不均一系触媒反応と吸着モデルの説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

③専門分野に加えて基礎工学をしっかり身につけた生産技術に関る幅広い対応力 説明 閉じる

教育方法等

概要:
反応速度の定義とおよびその測定方法を説明し、反応速度が微分方程式で表されることを確認する。その積分によって任意の時間における物質の濃度を計算できるようにする。また、素反応や律速段階という概念から反応機構と速度式の関係を理解し、衝突理論や遷移状態理論から反応速度を熱力学的に説明できるようにする。
授業の進め方・方法:
前半は、演習を交えながら微分および積分速度式について反応速度論の基礎的な部分をしっかりと身につける。後半では複雑な反応や触媒反応に関する速度式について学び、反応速度定数や各種熱力学的パラメータの値から反応機構が推察できることを理解する。なお、単元毎に与えられた課題をレポートとして提出する。
なお、事前・事後学習として課題レポートを提出してもらいます。
注意点:
授業中に演習問題にも取組み、理解度を確認する。

事前・事後学習、オフィスアワー

受講前の準備学習として、物理化学で学んだ反応速度について復習しておくこと.
本科目は学修単位科目であり、授業時間30時間,事前学習・事後展開学習60時間とする(内容についてはその都度指示する).
【オフィスアワー】授業実施日の16:00~17:00とするがそれ以外の日時でも可能な限り対応する.


授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 反応速度の定義と速度測定法 反応速度の定義を濃度の時間変化から説明できること。反応速度の測定法を例示できること。
2週 速度式
 速度定数、反応次数、速度式の求め方
速度定数、反応次数の意味を理解し反応の特徴を説明できること。
3週 積分速度式
 0次反応、一次反応、二次反応
与えられた反応式から微分形速度式を示し、反応の積分速度式を誘導できること。
4週 半減期と時定数 積分形速度式から半減期の誘導ができる事。半減期、時定数から濃度の時間変化を計算できること。
5週 反応速度の温度依存性
アレニウス式を用いて活性化エネルギーを算出できること。温度による速度定数の変化を計算できること。
6週 遷移状態理論
アイリングの遷移状態理論を理解し、反応速度定数と熱力学的パラメータの関係を説明できること。
7週 中間試験 前半部分の達成度を試験する。
8週 いろいろな反応の速度式 平衡反応や逐次反応などの複雑な反応の濃度変化を計算できること。
4thQ
9週 触媒反応の定義と分類 触媒反応の意味と反応系の違いによる分類を説明できること。
10週 均一系触媒作用
 酵素触媒反応
溶液中での均一系の酵素触媒反応の速度式と反応機構を説明できること。
11週
 ミカエリス‐メンテン機構
ミカエリスーメンテン機構を理解し、酵素反応の速度式を説明できること。
12週
 酵素触媒反応の速度の解析
ラインウイーバー‐バークのプロットにより反応の特徴を説明できること。
13週 不均一系触媒作用
 化学吸着、物理吸着
基本的な吸着理論を理解し、化学吸着、物理吸着の違いを説明できること。
14週
 吸着等温式、ラングミュア等温式
固体表面での吸着作用を理解し、不均一系触媒反応の速度式と反応機構を説明できること。
15週  
 BETの等温式

吸着モデルの考え方を理解し、吸着の特徴を説明できる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。5後1
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。5後2
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。5後3,後4
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。5後8
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。5後11

評価割合

中間試験期末試験演習問題(発表)合計
総合評価割合404020100
基礎的能力0000
専門的能力404020100