高分子材料化学

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 高分子材料化学
科目番号 0046 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 エキスパート応用化学テキストシリーズ 高分子科学-合成から物性まで
担当教員 佐藤 司

到達目標

高分子の1次構造、2次構造、高次構造が発現する科学的な要因を学び、それによって生ずる様々な機能が身の回りの高分子材料の利用に関連していることを理解する。高分子合成の分類と特徴を学び材料の高性能化に関わっていることを理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 高分子の1次、2次、高次構造1次構造、2次構造、高次構造の発現と特徴を正しく説明できる。高分子の様々な構造を理解できる。高分子の構造と分類を説明できない
評価項目2 高分子の固体構造について、それぞれの結晶構造の形成する要因を理解できる高分子の固体構造について、それぞれの結晶構造の形成と分子の形態から説明できる高分子の結晶構造の違いについて説明できる高分子の結晶構造にはどのようなものがあるか説明できない
評価項目3 高分子物質の熱的および力学的性質高分子物質の熱的、力学的性質の原因と特徴を正しく説明できる。高分子物質の性質を理解できる。高分子物質の性質を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
身の回りにある高分子材料が適切に利用されている背景には、高分子の1次構造、2次構造、高次構造の発現と深い関わりがある。授業では様々な構造の説明と測定方法について物理化学的な視点から教授する。また、高分子合成の発展によって多様な材料が提供されていることを学ぶ。
授業の進め方・方法:
教科書やスライドなどを適宜使用する。板書よりも資料やスライドを用いて様々な構造や実験データを説明し高分子の本質を理解してもらう。適宜演習問題を取り上げ理解度の確認を行う。
注意点:
資料説明やスライド投影による説明と演習問題が主となる。補足的に板書をするが黒板に書いたことだけを暗記するのでは理解したことにならない。高分子がなぜそのような構造や性質を示すのか考えながら学ぶこと。

事前・事後学習、オフィスアワー

学修単位科目であり授業30時間,事前学習・事後展開学習60時間とする(具体的内容については授業毎に指示する)
本科で学んだ有機化学(3,4年)、材料化学(4年)の高分子分野をしっかり理解しておくこと。
オフィスアワーは授業実施日の16:00~17:00。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 高分子序論 高分子と低分子の違いと特徴を説明できる
高分子説の確立に至る実験の説明ができる
2週 高分子の分子形態
 高分子の一次構造、コンフィグレーション
立体規則性、共重合体の構造について理解し高分子材料の性質との関りを説明できる
コンフォメーションの意味について理解できる
3週 高分子の二次構造
 回転ポテンシャルエネルギー、コンフォメーション
回転ポテンシャルエネルギーの状態から、らせん構造など安定なコンフォメーション形成の過程を説明できる
4週 高分子の分子量と分子量分布
 平均分子量、分子量測定法
それぞれのモデルに基づいて鎖の広がり(末端間距離、慣性半径)を計算できる
理想鎖と実在鎖の広がりの違いをモデルの計算により再現できる
5週 高分子の高次構造1
 理想鎖、末端間距離、慣性半径、ガウス鎖
結晶構造の形と分類が説明できる
球晶の発生機構や結晶化度の求め方について説明できる
6週 高分子の高次構造2
 実在鎖、排除体積効果、溶媒の効果(ビリアル係数、シータ溶媒)
理想鎖と実在鎖の違いを説明できる
7週 高分子溶液、ブレンド
 溶解度パラメータ、フローリー‐ハギンスの相互作用パラメータ、相溶性と非相溶性 
高分子が溶媒に溶解する現象を熱力学的に説明できる
高分子の相溶性を熱力学的に説明できる
8週 中間試験
4thQ
9週 高分子ゲル
 膨潤の理論
 
ゲルの化学的、物理的構造と膨潤度の関係を説明できる
10週 高分子の固体構造、結晶構造1
 房状ミセルモデル、単結晶、結晶弾性率
それぞれの結晶構造の成り立ちを説明できる
ポリエチレンとポリプロピレンの結晶弾性率の違いを説明できる
11週 高分子の固体構造、結晶構造2
 球晶、結晶化度と熱分析法
球晶のでき方や構造を説明できる
熱分析等により結晶化度を求めることが出来る
12週 高分子の固体物性1
 融点、化学構造・物理構造との関係
融点の熱力学的な説明ができ、耐熱性高分子に適する分子設計が可能である
13週 高分子の固体物性2
 ガラス転移温度、化学構造・分子量との関係
ガラス転移の本質を理解し化学構造や分子量による影響を説明できる
14週 高分子の固体物性3
 ゴム弾性
ゴム弾性の本質はエントロピー弾性であることを熱力学的に説明できる
15週 バイオプラスチック カーボンニュートラルや廃棄物処理問題に対してどのような貢献ができるか説明できる
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

中間試験期末試験課題合計
総合評価割合404020100
専門的能力404020100