応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 0089 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(機械コース) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 「基礎物理学シリーズ 力学」(原康夫著)東京教学社
担当教員 吉木 宏之,岩岡 伸之,大西 宏昌

到達目標

機械系技術者に関連する物理現象を科学的/論理的/数理的に捉えることのできる応用力を涵養する。物理Ⅰ、Ⅱおよび応用物理Ⅰの知識をもとに,工学基礎としての物理学(特に力学に纏わる分野)を学び,物理現象を解析するための数理技術を身に付ける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1機械系技術者に関連する物理現象に関して基本法則を用いて数理的に説明する事ができる。機械系技術者に関連する物理現象に関して基本法則を用いて定性的に説明できる。左記ができない。
評価項目2ニュートンの運動の法則を理解し,質点の運動方程式を解き,物理現象を数理的に数理的に説明することができる。ニュートンの運動の法則を理解し,質点の運動方程式から物理現象を定性的に説明できる。左記ができない。
評価項目3基本的な振動系(単振動・減衰振動)の運動に対して運動方程式を解く事で数理的に説明することができる。単振動の運動に対して,運動方程式から物理現象を定性的に説明できる。左記ができない。
評価項目4基本的な剛体系に対して慣性モーメント,力のモーメント,剛体のつり合い,回転の運動方程式を数理的に取扱い,運動を定量的に説明することができる。簡単な剛体系に対して慣性モーメント,力のモーメント,剛体のつり合いが計算でき,回転の運動方程式から運動を定性的に説明できる。左記ができない。

学科の到達目標項目との関係

(C) 機械工学の基礎としての数学,自然科学の基礎学力を身につける。 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械工学技術の基礎となる物理学(特に力学分野)の方法論を科学的/論理的/数理的に捉える応用力を養う。
授業の進め方・方法:
講義・自学自習を通して,微積分などの工学技術としての基礎数学的手法を活用し,力学分野の諸法則及びその物理現象への応用方法を学ぶ。主に,「質点系の力学」「振動論」「剛体の力学」について学ぶ。
質点系・剛体の力学では,ニュートンの運動方程式を立て,数学的手法を用いて様々な力学現象を解析する技術を学ぶ。振動論では,単振動の基本事項を学んだ後,単振動の運動方程式(二階線形微分方程式)とその一般解を数理的に解く方法を身につけ,さらに減衰振動・強制振動について学ぶ。
注意点:
【評価方法】前期末試験35%,学年末試験35%,レポート・小テスト20%,取組姿勢10%により総合的に評価し,総合評価60点以上を合格とする。
【留意事項】本講義は学修単位であるため,講義(30時間)+自学自習(60時間)の前提で講義を進め,適宜レポート課題を出題するので、その点に十分に留意して受講すること。
【オフィスアワー】講義日の16:00-17:00,その他随時受付

事前・事後学習、オフィスアワー

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 運動学と数学的準備 ・物体の運動とは,物体の位置・速度の時間的な変化であることを理解する。
・運動の記述に必要な基礎数学(ベクトル,微積分)を復習する。
2週 運動の法則 ・質点の運動を数式で捉え,物体の運動がニュートンの運動方程式で決まることを説明できる。
・落下運動する質点の運動方程式を立て,数理的にその解を求めることができる。
3週 運動方程式による運動の解析I ・放物運動する質点の運動方程式を立て,数理的にその解を求めることができる。
・垂直抗力や摩擦力を受けて拘束運動する質点の運動方程式を立て,数理的にその解を求めることができる。
4週 運動方程式による運動の解析II ・落下運動や放物運動で空気抵抗などの時間に依存した力を受けて運動する質点の運動方程式を立て,数理的にその解を求めることができる。
5週 運動量と力積 ・物体の質量と速度から運動量を求めことができる。
・運動量の変化量が力積に等しいことを理解できる。
・運動量保存則から様々な物理量を計算できる。
6週 単振動Ⅰ ・単振動の運動方程式(二階線形微分方程式)から,三角関数の微積分法や複素数などを適用して,その一般解を数理的に導くことができる。
7週 単振動Ⅱ ・単振動の力学的エネルギー保存則を理解して物理量を計算できる。
・単振り子の運動方程式を解いて周期を求め,「振り子の等時性」を説明できる。
8週 前期末試験 ・質点系の運動に関する基本的な問題を物理的・数学的に解くことができる。
2ndQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週
後期
3rdQ
1週 減衰振動と強制振動 ・減衰振動の運動方程式を立て,その一般解を導くことができる。
・強制振動の運動方程式を立て,共振現象を定性的に説明する事ができる。
2週 力学的エネルギー保存則 ・運動する質点が満たす力学的エネルギー保存則を,運動方程式を積分することで導出できる。
・力学的エネルギー保存則の成立条件を説明できる。
3週 仕事と力学的エネルギー保存則 ・保存力とポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)の関係を理解して,力学的エネルギー保存則から諸物理量を計算できる。
・非保存力(摩擦力など)がする仕事と力学的エネルギーの関係を用いて諸物理量を計算できる。
4週 回転運動と角運動量 ・回転運動における角運動量の意味を理解し,ベクトルの外積を利用して角運動量を計算できる。
・角運動量保存則を理解し,導出できる。
5週 剛体の運動法則 ・剛体の運動は,重心の並進運動と重心まわりの回転運動に分けられることを理解できる。
・剛体の回転の運動方程式を理解できる。
6週 剛体のつり合い ・剛体に働く力のモーメントについて説明できる。
・剛体に作用する力のモーメントとつり合いの条件式を導出することができる。
7週 固定軸まわりの剛体の回転 ・固定回転軸に関する剛体の慣性モーメントを理解し,基本的な形状の剛体(一様な棒や平板など)の慣性モーメントが計算できる。
・固定回転軸まわりの基本的な剛体の運動を,回転の運動方程式を立てて解析することができる。
8週 学年末試験 ・質点系や剛体系の力学,振動論に関する基本的な問題を物理的・数理的に解くことができる。
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。4
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。4
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。4
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。4
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。4
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。4
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。4
物体に作用する力を図示することができる。4
力の合成と分解をすることができる。4
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。4
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。4
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。4
慣性の法則について説明できる。4
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。4
運動方程式を用いた計算ができる。4
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。4
運動の法則について説明できる。4
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。4
最大摩擦力に関する計算ができる。4
動摩擦力に関する計算ができる。4
仕事と仕事率に関する計算ができる。4
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。4
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。4
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。4
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。4
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。4
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。4
力のモーメントを求めることができる。4
角運動量を求めることができる。4
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。4
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。4
重心に関する計算ができる。4
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。4
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。4
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。4
振動の種類および調和振動を説明できる。3
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。3
減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。3

評価割合

前期末試験学年末試験レポート・小テスト取組姿勢合計
総合評価割合35352010100
基礎的能力2525151075
専門的能力10105025
分野横断的能力00000