応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 0086 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(電気・電子コース) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 高専の応用物理 第2版 小暮・潮・中岡(森北出版) /参考書 物理学 小出昭一郎(裳華房)
担当教員 大西 宏昌

到達目標

物理現象を系統的かつ論理的に考察し、身の回りの現象や理工学分野の課題解決に於いて応用できる能力を養う。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1物理現象を基本法則や原理に基づき論理的に考えることができる。物理現象を公式を用いて記述することができる。物理現象を系統的に説明することができない。
評価項目2微分・積分を用いて質点や剛体の運動方程式を記述することで様々な運動を論理的に考察することができる。質点や剛体の運動方程式を微分・積分を用いて記述して、その解を計算できる。質点や剛体の運動方程式を微分・積分を用いて記述することができない。
評価項目3力学系の振動・波動現象、を系統的に説明できる。力学系の運動方程式を定性的に説明できる。単振動や波動の方程式を定性的に説明できない。

学科の到達目標項目との関係

(C) 電気電子工学の基礎としての数学,自然科学の基礎学力を身につける。   説明 閉じる

教育方法等

概要:
3年次までに学習した物理・応用物理の内容を踏まえ,微分・積分等の数学的手法を活用して「質点の力学」、「単振動、減衰振動,強制振動」、「力学的エネルギー」、「剛体の回転運動」を学ぶ。
授業の進め方・方法:
授業形態は講義・問題演習を主体とする。諸物理公式の導出や、演習問題がレポートとして課される。

講義資料はBlackBoardにて,講義日の前日までに公開する.必要に応じて各自で印刷するものとする.授業中にPC, タブレットで閲覧しても良い.

本授業は「学習単位科目」である.よって,授業は自学自習を前提として設計されているので,レポート課題も踏まえ,各自で問題演習などを積極的に行うことが必須である.
注意点:
微分・積分を用いた運動方程式の記述とその解法を習得することが重要となる。したがって数学的基礎学力の定着が求められる。
総合評価60点以上を合格とする。
試験問題は各達成目標に即した内容で、問題のレベルは教科書の問題および授業中に配布する演習問題程度のものを出題する。

事前・事後学習、オフィスアワー

【オフィスアワー】講義日の16:00-17:00,その他随時受付
授業は自学自習を前提として設計されているので,レポート課題も踏まえ,講義資料に付随した問題演習などを積極的に行うことが必須である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 質点の位置・速度・加速度 質点の位置ベクトルを時間微分することで、速度・加速度ベクトルを求めることができる
2週 ニュートンの運動方程式 一定の大きさの力が加わった質点の速度、位置を求めることができる。また,時間に依存する力を受けた物体の運動方程式を与えられた初期条件の元で解くことができる。
3週 ニュートンの運動方程式の応用 時間に依存する力を受けた物体の運動方程式を与えられた初期条件の元で解くことができる。
4週 仕事と運動エネルギー 仕事と運動エネルギーについて説明でき,仕事から運動エネルギーの変化についての計算ができる.
5週 保存力と位置エネルギー及び,力学的エネルギー保存則 ポテンシャルとは保存力に対する位置エネルギーであることを理解できる。また、ポテンシャルから保存力を導出できる。力学的エネルギー保存則から質点の位置や速度を求めることができる。
6週 質点系の運動量と角運動量 内力と外力の違いを踏まえて,運動量と角運動量について基本的な計算ができる.
7週 試験1 1-6週の内容について,基本的な問題を解く事が出来る.
8週 剛体の慣性モーメント 剛体の運動を記述する方程式を説明できる。
2ndQ
9週 剛体の運動方程式 剛体の平面運動の方程式を導出できる。坂道を転がる物体や、滑車の回転運動を記述できる。
10週 剛体の平面運動 剛体の平面運動の方程式を導出できる。坂道を転がる物体や、滑車の回転運動を記述できる。
11週 単振動 弾性力が働く質点の運動方程式を立て、任意の初期条件における単振動の解を求めることができる。
12週 減衰振動と強制振動 速度に比例する抵抗力を受けた減衰振動の解を求めることができる。また,駆動力を受けた振動系の振舞いを定性的に説明できる。また、共鳴・共振現象について例を挙げて説明できる。
13週 波動現象と波動方程式 横波・縦波の概念や、媒質の運動方程式に関して理解できる。
14週 波動方程式とその解 媒質の横振動(弦の振動)を記述する波動方程式の物理的意味を理解し、その解(正弦波の式)を求めることができる。
15週 総合問題演習                                                                       8-14週の学習内容について理解し,基本的な問題が解ける.
16週 試験2 8-14週の学習内容について理解し,基本的な問題が解ける.(付随的に1-7週の内容についても理解している.)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
ホイヘンスの原理について説明できる。3
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
電場・電位について説明できる。3
クーロンの法則が説明できる。3
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。4
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。4
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。4
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。4
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。4
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。4
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。4
静電エネルギーを説明できる。4
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。4
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。4
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
電力電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。4
計測SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。4

評価割合

試験1試験2定期課題合計
総合評価割合353530100
基礎的能力20202060
専門的能力15151040
分野横断的能力0000