有機化学(3年)

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 有機化学(3年)
科目番号 0101 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(電気・電子コース) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー 有機化学概説
担当教員 佐藤 貴哉

到達目標

有機化合物の命名法や構造、専門用語、各種の反応について理解し、各反応の生成物を予想できるようになる。また、専門用語や反応経路について説明できるようになる。
比較的単純な構造の飽和炭化水素(アルカン)の命名法を習得し、構造が書けるようになる。次いで不飽和炭化水素(アルケンやアルキン)について命名法を習得し、それらの付加反応や脱離反応を理解できるようになる。さらに芳香族化合物の命名法を習得し、有機化合物の立体化学について理解し、代表的な有機反応について例をあげて説明出来る様に成ることを目的とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化合物の命名法を理解し使いこなせること 専門用語について正確に説明できること有機化合物の名称と構造を相互に変換できること 専門用語の意味を理解できること有機化合物の名称や構造が書けない 専門用語が理解できない
評価項目2化学反応の生成物を予想し、簡単な有機化合物の合成法を提案できること化学反応の生成物を予想できること化学反応の生成物が予想できない
評価項目3有機化合物の社会との関わりを理解していること有機化合物の性質を理解していること有機化合物の種類が区別できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
有機化学は炭素化合物に関する学問である。有機化合物の名称や構造、専門用語、各種の反応について詳細に解説する。アルカン・アルケン・アルキンについて解説した後、芳香族化合物について学び、最後に立体化学について解説する。最終的に代表的な有機反応について例をあげて説明出来る様に成ることを目指す。
授業の進め方・方法:
始めに比較的単純な構造の飽和炭化水素(アルカン)の命名法や構造を学び、有機化合物の基礎的な事項を理解し習得する。次いで不飽和炭化水素(アルケンやアルキン)を取り上げ、命名法を学んでから付加反応や脱離反応を学ぶ。後半は、芳香族化合物の命名法と置換反応や有機化合物の立体化学について理解し、代表的な有機反応について例をあげて説明する。試験は前期中間(20%)、前期末(20%)、後期中間(20%)、学年末(30%)の四回実施する。受講態度(10%)を加味する。試験問題レベルはテキストの問題程度である。試験結果の良くない学生には特別に補習と再試験を実施することがある。
注意点:
練習問題を解くことによって講義の内容に対する理解を深めること。指示された教科書の問題はすべて自分で解いてみること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子の構造について学ぶ 化学反応は電子のやり取りであることを理解する
2週 メタンの構造と混成軌道とσ-結合について学ぶ 共有結合が説明できる
3週 エチレンの構造と混成軌道とπ-結合について学ぶ σ-結合とπ-結合の違いを説明できる。
4週 アセチレンの構造と混成軌道について学ぶ 分子の形と混成軌道の関係を理解する
5週 酸と塩基について学ぶ Lewisの酸と塩基の定義が説明できる。
6週 飽和炭化水素(アルカン)の命名法について学ぶ 炭素の数と命名の関係を説明できる
炭素数10個までのアルカンの名称を答えられる。
7週 アルカンの構造 について学ぶ
官能基について学ぶ
アルカンの構造異性体を書くことが出来、それらに命名できる
官能基の構造と名称を判別できる。
任意のアルカンの名称と構造式を相互変換できる。
8週 シクロアルカンと立体構造について学ぶ シクロアルカンに命名でき、その立体構造を説明できる。
2ndQ
9週 中間試験
10週 不飽和炭化水素(アルケン)について学ぶ アルケンまでの名称と構造式を相互変換できる。
11週 アルケンのE-, Z-異性体について学ぶ アルケンのE-, Z-異性体を判別できる。
12週 アルケンへの付加反応とMarkovnikov則について学ぶ Markovnikov則を使って、アルケンの反応の主生成物を予想できる。
13週 付加反応生成物の立体構造と反応機構について学ぶ アルケンへの付加反応生成物の立体構造を反応機構を使って説明できる。
14週 アルケンの酸化反応・Diels-Alder反応・ラジカル重合について学ぶ
共役ジエンと共鳴について学ぶ
種々のアルケンの酸化反応の違いを区別できる。
Diels-Alder反応の生成物を予想できる。
ラジカルラジカル重合の仕組みを理解し、アルケンポリマーの種類と原料が判別できる。
共鳴の考え方を理解する。
15週 アルキンの命名、構造、反応について学ぶ アルキンまでの名称と構造式を相互変換できる。
アルキンまでの反応の主生成物を予想できる。
16週
後期
3rdQ
1週 芳香族化合物について ベンゼンの特別な安定性について理解する
2週 芳香族化合物(o-, m-, p-異性体)について学ぶ 芳香族化合物の名称と構造式を相互変換できる。
3週 芳香族求電子置換反応について学ぶ なぜ、付加反応ではなく置換反応が起こるのかを芳香族性と関係付けながら説明できる。
4週 その他の芳香族求電子置換反応について学ぶ 種々の芳香族求電子置換反応の主生成物を予想できる。
5週 Friedel-Crafts反応(アルキル化とアシル化)について学ぶ Friedel-Crafts反応の仕組みを理解し、芳香族求電子置換反応の主生成物を予想できる。
6週 芳香族求電子置換反応の機構について学ぶⅠ 芳香族性と芳香族求電子置換反応の機構との関係を理解する。
7週 芳香族求電子置換反応の機構について学ぶⅡ 芳香族求電子置換反応の反応機構を説明できる。
8週 置換基効果と配向性について学ぶ 1置換芳香族化合物への求電子置換反応の主生成物を予想できる。
4thQ
9週 芳香族化合物の酸化と還元について学ぶ 芳香族求電子置換反応以外の反応の主生成物を予想できる。
10週 中間試験
11週 多環式芳香族化合物について学ぶ 多環式芳香族化合物の構造と名称を関連付けて説明できる。
12週 立体化学のキラリティーと光学活性について学ぶ 立体化学の用語を理解し、説明できる。
13週 絶対配置とR-, S-異性体について学ぶ 絶対配置(R-, S-異性体)を判別できる。
14週 ジアステレオマーについて学ぶ ジアステレオマーが例を挙げて説明できる。
15週 メソ化合物とラセミ体について学ぶ メソ化合物とラセミ体が例を挙げて説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。4
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3前3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4
σ結合とπ結合について説明できる。4
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4
共鳴構造について説明できる。4
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4
高分子化合物がどのようなものか説明できる。3
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。3
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4
無機化学基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90001000100
基礎的能力6000100070
専門的能力300000030
分野横断的能力0000000