化学工学(4年)

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 化学工学(4年)
科目番号 0160 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(情報コース) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 化学工学概論 大竹伝雄 著
担当教員 松浦 由美子

到達目標

1. 熱伝導、熱交換器および蒸発装置について理解し、必要な計算ができる。
2. 蒸留および抽出の原理を理解し、必要な計算ができる。
3. 粒径、粒度分布について理解し、必要な計算ができる。
4. 吸着、膜分離の原理、目的、方法を理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱伝導、熱交換器について理解し、必要な計算が常時できる。熱伝導、熱交換器について理解し、必要な計算ができる。熱伝導、熱交換器について理解できず、必要な計算ができない。
評価項目2蒸留および抽出の原理を理解し、必要な計算が常時できる。蒸留および抽出の原理を理解し、必要な計算ができる。蒸留および抽出の原理を理解できず、必要な計算ができない。
評価項目3粒径、粒度分布について理解し、必要な計算が常時できる。粒径、粒度分布について理解し、必要な計算ができる。粒径、粒度分布について理解できず、必要な計算ができない。
評価項目4吸着や膜分離の原理、目的、方法を理解し、必要な計算が常時できる。吸着や膜分離の原理、目的、方法を理解できる。吸着や膜分離の原理、目的、方法を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学工学は化学工業を支える化学プラントに用いられる装置・機器、およびそこにおける化学反応・物理現象について学ぶための学問である。この授業を通して装置や機械がどのような構造を持ち、どのような目的で動いているか、また、工場を正確にかつ安全に運転していく技術がどのようなものであるかを学ぶ。この授業は、学科到達目標項目の「どの分野にも必要な共通の基盤技術である基礎工学を身につける」(D-1)に関連する。
授業の進め方・方法:
授業は板書による講義形式で行う。単元の区切りで演習を行う。この授業では、熱の取扱いと熱の出入りを伴う操作、物質の分離と精製、固体の取扱について解説する。まず、熱の取扱いを熱交換器で学ぶ。次に、蒸留操作、ガス吸収操作、抽出などの分離操作を解説する。さらに、固体の単位操作を理解するために、粉体、粒径分布、粉砕、沈降、濾過、集塵、粉体の固定層の流動についてその概念を解説する。化学工業分野での生産技術システムとして重要な各単位操作や各プロセスの基礎知識を習得する。
注意点:
授業中に行う演習問題を理解し、教科書の章末問題を解くことで、さらに理解を深める。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 0. ガイダンス
1. 圧力、流速、流量の測定
0. この講義の概要がわかる
1. 圧力、流量の測定方法が理解できる
2週 2. 熱の移動
2.1 伝熱の基本
2.2 フーリエの法則と熱伝導度
2.3 平板内の熱伝導
2.1 伝熱の基本機構を説明できる。
2.2 フーリエの法則が説明できる。
2.3 単層壁の熱伝導が計算できる。
3週 2.4 多層平板内の熱伝導
2.5 円筒状固体内の熱伝導
2.4 多層壁の熱伝導の計算ができる。
2.5 円筒状固体内における熱伝導の計算ができる。

2.1.6 熱伝導の計算ができる。
4週 3. 熱の移動
3.1 対流による熱の移動 
3.1 総括伝熱係数が計算できる。

 
5週 4. 熱交換器の設計
4.1 熱交換器の構造と熱収支
4.1 熱交換器の構造を理解し、熱収支が計算できる。

  
6週 演習

1~4の学習内容を演習を通して理解できる。
7週 中間テスト
8週 6. 蒸留
6.1 気液平衡関係図と蒸留操作の原理
6.2 気液平衡関係の計算
6.1 沸点-組成、x-y線図が理解できる。
6.2 ラウールの法則を用いて気液平衡関係が計算できる。
2ndQ
9週 6.3 単蒸留
6.3.1 単蒸留装置
6.3.2 単蒸留における計算
6.3 単蒸留の装置を説明できる。
6.3.1 単蒸留の原理を説明できる。
6.3.2 留出液量と平均組成を求めることができる。
10週 6.4 連続蒸留
6.4.1 連続蒸留の原理
6.4.1 連続蒸留の原理が理解できる。
11週 6.4.2 連続蒸留装置の物質収支式と操作線 6.4.2 塔全体、濃縮部、回収部、原料段での物質収支式から操作線の導き方を理解し、図示できる。
12週 6.4.3 操作線の引き方と理論段数の求め方 6.4.3 階段作図法を理解し、理論段数および原料供給段の求め方が分かる。
13週 演習 階段作図を行い、理論段数および原料供給段を求めることができる。
14週 6.4.4 還流比と理論段数の関係
6.4.4 最小還流比が計算できる。

15週 期末テスト
16週
後期
3rdQ
1週 7. ガス吸収
7.1 気体の溶解度
7.1 ヘンリーの法則が理解できる。
2週 7.2 二重境膜説による気液界面の濃度分布
7.3 物質移動係数と吸収速度
7.2 二重境膜説が説明できる。
7.3 物質移動係数を理解し、吸収速度が計算できる。
3週 7.4 気液充填塔の構造
7.4 物質収支式と操作線
7.4 気液向流充填塔の構造を理解し、物質収支式から操作線および液ガス比の導き方がわかる。
4週 7.5 最小液ガス比および最小理論水量 7.5 最小液ガス比および最小理論水量を計算できる。

   
5週 7.6 充填塔の高さ 7.6 充填塔の高さを計算できる。
6週 7.7 充填塔のローディングとフラッディング
7.8 充填塔の直径
7.7 ローディングとフラッディング現象が理解できる。
7.8 塔直径が計算できる。
7週 中間テスト
8週 8.抽出
8.1 三角線図、てこの原理
8.1 三角図、てこの原理が理解できる。
4thQ
9週 8.2 溶解度と液液平衡 8.2 溶解度曲線、対応線、プレイトポイントを図示できる。
10週 8.3 単抽出の計算 8.3 抽出液、抽残液の質量と組成および溶質の回収率が計算できる。
11週 9. 粒度分布
9.1 粉砕
9.1.2 ふるいわけ法による粒径分布
9.1.3 ふるい分けによる粒径分布
9.1 粉砕の目的や粉砕機の種類について説明できる
9.1.2 粒径分布を図示できる。
12週 9.2 粒子の沈降
9.2.1 沈降法による粒径分布
9.2. 終末速度、ストークス径を求められる
9.2.1 粒度分布を図示できる。
13週 10. 吸着 吸着の原理、目的、方法を理解できる。
14週 11. 膜分離
膜分離の原理、目的、方法を理解できる。
15週 期末試験
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4
流れの物質収支の計算ができる。4
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4
流体輸送の動力の計算ができる。4
蒸留の原理について理解できる。4
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4
基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4前1
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4後2
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。4
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力0000000
専門的能力70000030100
分野横断的能力0000000