概要:
本講義では3年次で学んだ有機化学の知識に基づき、官能基ごとに分類された有機分子の特性を理解し、それらに特徴的な反応に関する知識を習得する。前期ではハロゲン化アルキル・アルコール類・エーテル類・アルデヒドとケトンの命名法や構造と求核置換反応を学ぶ。後期ではカルボン酸類・カルボニル化合物・アミンについて命名法・性質・反応性を学ぶ。これら種々の官能基を有する化合物群を取り上げる過程で、グリニャール試薬やウィティッヒ反応、SN2反応やE2脱離、クライゼン縮合などの専門的事項を身に付ける。
授業の進め方・方法:
【授業の進め方】官能基の種類ごとに最初は化合物命名法と構造式について説明し、次にそれぞれの反応の特徴や反応機構について説明する。単元ごとに復習プリントを配布し、内容の理解度を確認しながら進める。【授業方法】主にスライドを用いて講義する。また適宜、問題演習を行い理解度を高める。【教科書の範囲】「マクマリー有機化学概説」第7版、p.217~433 (第7章~第12章)。
注意点:
3年次の講義からの継続であるので過去の内容を復習すること。試験問題レベルはテキストの問題程度とし、基礎・基本を重視する。総合評価の割合のうち前期末試験 (30%)、学年末試験 (40%) で全体の70%を占めるので成績管理を怠らぬこと。復習プリントについては次週授業にて一時回収&返却する。なお、復習プリントの提出実績は総合評価の「レポート・課題 (30%)」に計上される。
【事前学習】授業の最後に次週の学習範囲 (教科書のページ) を示すので予め通読してくること。【事後学習】授業の終わりに復習プリントを配布する。【オフィスアワー】講義日の16:00~17:00。ただしMicrosoft Teamsのチャットによる質疑応答は随時受け付ける。章末問題の解答なども問合せ&質問できる。各試験期間中 (年4回) に本校「自学自習スペース」にて質疑応答コーナーを設けるので有効利用すること。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス・3年の復習 |
本講義内容の概観を把握する。アルカン・アルケン・アルキンの構造・性質と命名法を高度に使いこなせる。
|
2週 |
ハロゲン化アルキル①:命名法・製法 |
ハロゲン化アルキルの名称と構造式を相互変換できる。ハロゲン化アルキルの製法が説明できる。
|
3週 |
ハロゲン化アルキル②:グリニャール試薬・求核置換反応 |
グリニャール試薬の製法と求核性アルキル化剤の有用性を理解する。ハロゲン化アルキルに対する求核置換反応と反応メカニズムを理解する。
|
4週 |
ハロゲン化アルキル③:置換 (SN1反応・SN2反応) |
ハロゲン化アルキルの求核置換反応・SN1,SN2反応の違いを説明できる。
|
5週 |
ハロゲン化アルキル④:脱離 (E2反応・E1およびE1cB反応) |
ハロゲン化アルキルの脱離反応について説明できる。 E1,E2反応の違いを説明できる。
|
6週 |
アルコールとエーテル①: 命名法・アルコールとフェノールの性質 |
アルコール類の名称と構造式を相互変換できる。アルコールとフェノールの性質を説明できる。
|
7週 |
アルコールとエーテル②:アルコールの合成・アルコールの反応 |
アルコール類の合成法を説明できる。アルコール系化合物の反応の主生成物を予想できる。
|
8週 |
アルコールとエーテル③:フェノールの反応・エーテルの反応・環状エーテル・チオールとスルフィド |
フェノール類・エーテル類の反応の主生成物を予想できる。
|
2ndQ |
9週 |
ハロゲン化アルキル・アルコールとエーテル (総まとめ) |
第2週から第8週までの内容を復習することにより標準的な理解到達度に達する。
|
10週 |
アルデヒドとケトン①:カルボニル化合物の性質・命名法 |
カルボニル化合物の性質を理解し、名称と構造式を相互変換できる。
|
11週 |
アルデヒドとケトン②:アルデヒドとケトンの合成・アルデヒドの酸化・求核付加反応 |
アルデヒドとケトンの合成方法が説明できる。アルデヒドの酸化反応・求核付加反応の主生成物を予想できる。
|
12週 |
アルデヒドとケトン③:ヒドリド試薬とグリニャール試薬の求核付加・水の求核付加・アルコールの求核付加 |
アルデヒド・ケトン類の反応の主生成物を予想できる。アルデヒドとケトンに対する様々な求核付加生成物を予想できる。
|
13週 |
アルデヒドとケトン④:アミンの求核付加 (ウィティッヒ反応)・共役求核付加反応 |
ウィティッヒ反応の機構を説明できる。不飽和アルデヒド/ケトンの1,4-付加の機構を説明できる。
|
14週 |
アルデヒドとケトン (総まとめ) |
第10週から第13週までの内容を復習することにより標準的な理解到達度に達する。
|
15週 |
前期の総まとめ |
前期の内容 (ハロゲン化アルキル・アルコールとエーテル・アルデヒドとケトン) について標準的な理解到達度に達する。
|
16週 |
|
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
カルボン酸の誘導体①:酸ハロゲン化物の合成と反応 |
酸ハロゲン化物の反応の主生成物を予想できる。
|
2週 |
カルボン酸の誘導体②:酸無水物の合成と反応 |
酸無水物の反応の主生成物を予想できる。
|
3週 |
カルボン酸の誘導体③:エステルの合成と反応 |
エステル類の反応の主生成物を予想できる。
|
4週 |
カルボン酸の誘導体④:アミドの合成と反応 |
アミド類の反応の主生成物を予想できる。
|
5週 |
カルボン酸の誘導体⑤:ニトリルの合成と反応 |
ニトリル類の反応の主生成物を予想できる。ケト-エノール互変異性について理解する。
|
6週 |
カルボニル化合物の置換反応と縮合反応①:ケト-エノール互変異性とα-置換反応 |
カルボニル化合物の置換反応の主生成物を予想できる。
|
7週 |
カルボニル化合物の置換反応と縮合反応②:アルドール縮合反応 |
カルボニル化合物の縮合反応の主生成物を予想できる。
|
8週 |
カルボニル化合物の置換反応と縮合反応③:Claisen 縮合反応・Dieckmann 環化反応 |
カルボニル化合物の縮合反応の主生成物を予想できる。
|
4thQ |
9週 |
カルボニル化合物の置換反応と縮合反応④:Michael 反応 |
カルボニル化合物の縮合反応の主生成物を予想できる。
|
10週 |
カルボニル化合物の置換反応と縮合反応 |
アルドール縮合・クライゼン縮合・マイケル付加について例をあげて説明できる。
|
11週 |
アミン①:命名法・アミンの塩基性度 |
アミン類の名称と構造式を相互変換できる。アミンの基本的な性質を説明できる。
|
12週 |
アミン②:アミンの合成と反応 |
アミン類の反応の主生成物を予想できる。
|
13週 |
アミン③:ジアゾニウム塩とSandmeyer反応 |
ジアゾ化反応・サンドメイヤー反応について説明できる。
|
14週 |
後期の総まとめ① |
後期の到達目標についての振り返り、簡単な有機化合物の合成法を反応式で書ける。
|
15週 |
後期の総まとめ② |
後期の内容について標準的な到達レベルの理解を得る。
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。 | 3 | |
代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。 | 3 | |
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。 | 3 | |
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。 | 3 | |
物質が原子からできていることを説明できる。 | 3 | |
物質が原子からできていることを説明できる。 | 3 | |
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
純物質と混合物の区別が説明できる。 | 3 | |
純物質と混合物の区別が説明できる。 | 3 | |
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。 | 3 | |
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。 | 3 | |
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。 | 3 | |
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。 | 3 | |
水の状態変化が説明できる。 | 3 | |
水の状態変化が説明できる。 | 3 | |
物質の三態とその状態変化を説明できる。 | 3 | |
物質の三態とその状態変化を説明できる。 | 3 | |
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。 | 3 | |
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。 | 3 | |
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。 | 3 | |
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。 | 3 | |
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。 | 3 | |
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。 | 3 | |
同位体について説明できる。 | 3 | |
同位体について説明できる。 | 3 | |
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。 | 3 | |
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。 | 3 | |
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。 | 3 | |
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。 | 3 | |
価電子の働きについて説明できる。 | 3 | |
価電子の働きについて説明できる。 | 3 | |
原子のイオン化について説明できる。 | 3 | |
原子のイオン化について説明できる。 | 3 | |
代表的なイオンを化学式で表すことができる。 | 3 | |
代表的なイオンを化学式で表すことができる。 | 3 | |
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。 | 3 | |
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。 | 3 | |
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。 | 3 | |
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。 | 3 | |
イオン式とイオンの名称を説明できる。 | 3 | |
イオン式とイオンの名称を説明できる。 | 3 | |
イオン結合について説明できる。 | 3 | |
イオン結合について説明できる。 | 3 | |
イオン結合性物質の性質を説明できる。 | 3 | |
イオン結合性物質の性質を説明できる。 | 3 | |
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。 | 3 | |
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。 | 3 | |
共有結合について説明できる。 | 3 | |
共有結合について説明できる。 | 3 | |
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。 | 3 | |
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。 | 3 | |
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。 | 3 | |
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。 | 3 | |
金属の性質を説明できる。 | 3 | |
金属の性質を説明できる。 | 3 | |
原子の相対質量が説明できる。 | 3 | |
原子の相対質量が説明できる。 | 3 | |
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。 | 3 | |
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。 | 3 | |
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。 | 3 | |
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。 | 3 | |
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。 | 3 | |
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。 | 3 | |
気体の体積と物質量の関係を説明できる。 | 3 | |
気体の体積と物質量の関係を説明できる。 | 3 | |
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。 | 3 | |
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。 | 3 | |
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。 | 3 | |
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 4 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 4 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 4 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 4 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 4 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 4 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 4 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 4 | |