生物化学

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 生物化学
科目番号 0065 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(化学・生物コース) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 生命の化学と分子生物学(Wood, Smith, Pickering著 林・水野訳、東京化学同人)
担当教員 南 淳

到達目標

タンパク質、核酸、糖、脂質の化学構造を説明でき、それら物質の生体内での機能を化学構造と結びつけて説明することができること。さらに解糖系、TCA回路などの代謝経路の過程を、生化学的な観点(酵素、エネルギー)から説明できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
生体物質の機能と化学構造タンパク質、核酸、糖、脂質の化学構造を説明でき、それら物質の生体内での機能を化学構造と結びつけて説明することができるタンパク質、核酸、糖、脂質の化学構造を説明することができるタンパク質、核酸、糖、脂質の化学構造がわからない
代謝の化学的理解異化と同化での生物のはたらきについて化学に基づいて理解し説明できる。異化と同化での生物のはたらきについて化学に基づいて理解している。異化と同化での生物のはたらきのあらましを理解していない。

学科の到達目標項目との関係

(D) 専門分野の知識と情報技術を身につける。 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生物化学の基礎を修得する。前半は生体物質である糖、脂質、タンパク質、核酸の構造と機能について学習し、後半は酵素と代謝について学習する。
授業の進め方・方法:
各事項について背景、基礎的概念、生物学的、化学的な理論・知識の説明を講義形式で進める。
注意点:
3年次基礎生物学、有機化学での学修を前提として授業を進める。自学自習時はこれらの教科書も参照すること。
オフィスアワー:授業実施日の16:00〜17:00

事前・事後学習、オフィスアワー

本科目は学修単位であるので事前事後学習として毎週、ホームワーク(問題演習)を課す。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生体に含まれる分子と代謝 生体物質の化学構造の特徴について説明できる。様々な代謝について理解している。
2週 炭水化物の機能と化学構造 炭水化物の生体内における役割について説明できる。糖の種類と基本的な化学構造について説明できる。アルドースとケトースの違いについて説明できる。単糖の鏡像異性体について説明できる。糖の構造異性体について説明できる。グルコース、フルクトース、リボースの化学構造式を書くことができる。
3週 グリコシド結合と二糖、多糖 グリコシド結合について説明できる。マルトース、スクロース、ラクトースの構造を説明できる。アミロース・アミロペクチンとセルロースの化学構造と性質について説明できる。グリコーゲンの化学構造の機能について説明できる。
4週 脂質の機能と化学 脂質の生物的機能を説明できる。トリアシルアルコールの機能を説明できる。ステアリン酸、グリセリンの構造式を書ける。 飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸とは何か説明でき、物質名を2つずつ挙げることができる生体分子に関する基本的な事柄、脂質二重層の役割と構造を説明できる。
5週 タンパク質の機能、アミノ酸 タンパク質が生体機能に中心的な役割を果たしていることを理解し、生体内におけるタンパク質の機能を数個の例をあげて説明することができる。アミノ酸の各アミノ酸の1.タンパク質中での役割、2.アミノ酸単体での役割について理解している。
6週 ペプチド結合とタンパク質の二次構造 ペプチド結合について化学構造式を用いて説明できる。α-ヘリックスとβ-シートなど二次構造について説明できる。
7週 タンパク質の三次構造と四次構造 タンパク質の三次構造が形成されるしくみを説明できる。ファンデルワールス力、水素結合、イオン結合(静電的相互作用)、疎水性相互作用の原理について簡単な説明をできる。タンパク質の変性と酵素の失活の原因を説明できる。四次構造をつくるタンパク質を列挙できる。
8週 DNAの構造とDNA複製 ヌクレオチドの構造を説明できる。DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。DNAの半保存的複製を説明できる。
2ndQ
9週 酵素の構造と性質 酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる
10週 酵素のはたらき 酵素が触媒する化学反応について、6つに大別し、それぞれ理解している。それらの例について挙げられる。
11週 代謝とエネルギー 同化、異化とエネルギーの出入りについて理解している。ATPの構造について理解している。ATP加水分解と共役について理解している。
12週 解糖系と嫌気呼吸 解糖系および嫌気呼吸の概要を説明できる。これら代謝経路・各酵素反応をエネルギー代謝の観点から理解している。
13週 クエン酸回路と脂質代謝 クエン酸回路の概要を説明できる。この代謝経路・各酵素反応をエネルギー代謝の観点から理解している。
14週 電子伝達系 電子伝達系の概要を説明できる。化学浸透説と酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。これら代謝経路・各酵素反応をエネルギー代謝の観点から理解している。
15週 まとめと演習 1週〜14週の到達目標
16週 期末試験 1週〜14週の到達目標

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前1,前2,前4,前10
タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前1,前2,前4,前10
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前1,前16
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前1,前16
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前3,前4,前9
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前3,前4,前9
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前4,前9
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前4,前9
グリコシド結合を説明できる。4前5,前6,前9
グリコシド結合を説明できる。4前5,前6,前9
多糖の例を説明できる。4前3,前6,前9
多糖の例を説明できる。4前3,前6,前9
脂質の機能を複数あげることができる。4前3,前7,前8,前9
脂質の機能を複数あげることができる。4前3,前7,前8,前9
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4前7,前9
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4前7,前9
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前8,前9
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前8,前9
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前10,前14
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前10,前14
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前11,前14
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前11,前14
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前11,前12,前14
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前11,前12,前14
タンパク質の高次構造について説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14
タンパク質の高次構造について説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前15
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前15
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前8,前15
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前8,前15
DNAの半保存的複製を説明できる。4
RNAの種類と働きを列記できる。4
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前10,前11
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前10,前11
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前11
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前11
解糖系の概要を説明できる。4前12
解糖系の概要を説明できる。4前12
クエン酸回路の概要を説明できる。4前13,前14
クエン酸回路の概要を説明できる。4前13,前14
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4前13
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4前13
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4前13
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4前13
各種の光合成色素の働きを説明できる。4前15
各種の光合成色素の働きを説明できる。4前15
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4前15
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4前15
炭酸固定の過程を説明できる。4前16
炭酸固定の過程を説明できる。4前16

評価割合

試験ホームワーク合計
総合評価割合5050100
基礎的能力5510
専門的能力454590
分野横断的能力000