材料化学

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 材料化学
科目番号 0067 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(化学・生物コース) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 基礎からわかる高分子材料、井上ほか(森北出版)
担当教員 佐藤 司

到達目標

1.高分子化合物の代表的な合成反応を説明できる.
2.分子量分布の特徴を理解し,平均分子量を求めることが出来る.
3.高分子の一次構造から高次構造までを理解し,それによって生じる性質について考える事が出来る.
4.高分子の一般的な熱的性質,機械的性質を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 高分子の合成反応に関するモノマーおよび高分子の化学構造や反応機構を説明できる.代表的な合成反応をモノマー,高分子の化学構造をもとに正確に説明できる.代表的な合成反応をモノマー,高分子の化学構造をもとに説明できる.代表的な合成反応をモノマー,高分子の化学構造をもとに説明できない.
評価項目2 分子量分布の特徴を説明でき,平均分子量を決定する事ができる. 分子量分布の特徴を明確に説明でき,平均分子量の計算を正確に行える.分子量分布の特徴を説明でき,平均分子量の計算を行える.分子量分布の意味が理解できない.平均分子量の計算が行えない.
評価項目3 高分子の一次・二次・高次構造の定義と具体例,性質との関りを説明できる.高分子の一次・二次・高次構造の特徴を正確に理解でき応用を提案できる.高分子の一次・二次・高次構造の特徴を理解でき基本的な性質と理解できる.高分子の一次・二次・高次構造を理解できない.
評価項目4 高分子の熱的性質や機械的性質に関する理論と応用を説明できる.高分子材料の熱的性質、機械的性質の理論と応用を正確に説明できる.高分子材料の熱的性質、機械的性質と応用を説明できる.高分子材料の熱的性質、機械的性質を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

(D) 専門分野の知識と情報技術を身につける。 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 有機材料の基本物質である高分子化合物の合成、構造、性質について学ぶ.すなわち、高分子の合成(付加重合、重縮合、重付加、開環重合、付加縮合)および、構造(一次・二次・高次構造)の具体例を解説する.構造と熱的性質、機械的性質との関係についても教授する.高分子の多様な特徴を生かし,プラスチック・ゴム・繊維といった応用に展開していることを学ぶ.
授業の進め方・方法:
教科書およびスライド、関係するプリントを使いながら進める.都度,有機化学や物理化学の振返りも交えながら授業する.
注意点:
身の回りのプラスチックやゴム,繊維の原料となる高分子については名称と構造を覚える事.
有機化合物の構造式や有機合成の視点から理解することが大切なので,有機化学を常に参照する事.
再試験は総合評価で59~40点の場合に行う.ただし課題レポートの未提出物がある場合は実施しない.

事前・事後学習、オフィスアワー

開講前の準備学習として、有機化学(特に官能基,ラジカル,エステル合成,アミド合成)を予習しておくこと.
この科目は学修単位科目であり授業30時間,事前学習・事後展開学習60時間とする(具体的内容については授業毎に指示する)。
オフィスアワー:授業日の16:00~17:00とするがそれ以外の日時でも可能な限り対応する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 高分子の概念 石油化学の概要を理解する
高分子化合物と低分子化合物の違いを理解できる
2週 高分子合成反応①
 付加重合
付加重合(モノマーからポリエチレン,ポリプロピレンなどの合成反応)を説明できる.
3週 高分子合成反応②
 重縮合,重付加
重縮合の定義と具体例(ポリエチレンテレフタレート,ナイロン66等の合成反応)を説明できる.重付加の定義と具体例(ポリウレタンの合成反応)を説明できる.
4週 高分子合成反応③
 開環重合,付加縮合
開環重合によるナイロン6,付加縮合によるフェノール樹脂の合成反応を説明できる.
5週 高分子合成反応④
 付加重合におけるラジカル,アニオン,カチオン重合,チーグラー・ナッタ重合
ラジカル重合,アニオン重合,カチオン重合、チーグラー・ナッタ重合の反応機構を説明できる.
6週 分子量分布と平均分子量①
 数平均分子量,重量平均分子量,多分散度
数平均、重量平均分子量を計算によって求めることができる.
多分散度の意味を理解できる.
7週 分子量分布と平均分子量②
 GPC法,粘度測定法
分子量測定方法について原理と決定方法を理解できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 高分子の構造①
 一次構造(結合様式,立体規則性,シス‐トランス構造)
一次構造の定義と具体例(結合様式,立体規則性,シス‐トランス構造など)について説明できる.
10週 高分子の構造②
 二次構造(ランダム構造,らせん構造,折りたたみ構造)
二次構造の定義と具体例(ランダム構造,らせん構造,折りたたみ構造など)について説明できる
11週 高分子の構造③
 高次構造(ラメラ結晶,球晶,伸び切り鎖結晶)
高次構造の定義と具体例(ラメラ結晶、球晶、伸び切り鎖結晶など)について説明できる.
12週 高分子の熱的性質 ガラス転移温度,融点の意味について理解できる.プラスチックやゴムの物性との関連について理解できる.
13週 高分子の成形加工 種々の加工技術(押出成形,射出成型,紡糸など)について説明できる.
14週 高分子の機械的性質、ゴム弾性 応力-ひずみ曲線から強度,弾性率,歪の特徴を説明できる.ゴム弾性がエントロピー弾性であることを説明できる.
15週 生分解性高分子 生分解性高分子の種類と構造(結合)、生分解速度に与える要因ついて説明できる.
16週 学年末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学高分子化合物がどのようなものか説明できる。4後1
高分子化合物がどのようなものか説明できる。4後1
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4後15
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4後15
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4後9,後10,後11
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4後9,後10,後11
高分子の熱的性質を説明できる。4後12
高分子の熱的性質を説明できる。4後12
重合反応について説明できる。4後2,後3,後4
重合反応について説明できる。4後2,後3,後4
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。4後2,後3,後4
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。4後2,後3,後4
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。4後5
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。4後5
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。4後5
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。4後5
無機化学結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。3後4,後5,後6,後7
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。2

評価割合

中間試験学年末試験課題レポート合計
総合評価割合404020100
基礎的能力0000
専門的能力40401595
分野横断的能力0055