生物物理化学

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 生物物理化学
科目番号 0091 科目区分 専門 / 選択必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(化学・生物コース) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 吉村悦郎「基礎生物無機化学」丸善/今井弘「生体関連元素の化学」培風館
担当教員 阿部 達雄

到達目標

生物化学における熱力学および速度論的理論をもとに、生体反応におけるエネルギーの流れや生体分子の構造と機能、さらに酵素反応機構について理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各種生体物質の構造と機能を具体的に例示して説明できる。各種生体物質の構造と機能を説明できる。各種生体物質の構造と機能を理解してない。
評価項目2分子間に働く様々な力によって生体分子が構築されることを説明できる。分子間に働く力の種類とその内容を説明できる。分子間に働く力の種類とその内容を理解していない。
評価項目3具体的な酵素の構造と機能を説明でき、ミカエリス-メンテン式から速度パラメータを算出できる。酵素の機能を理解し、ミカエリス-メンテン式を理解し説明できる。酵素の機能を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

(D) 専門分野の知識と情報技術を身につける。 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生体反応における重要な水中での酸−塩基の化学とその熱力学を復習し、タンパク質や核酸などの生体分子の物理化学的性質を演習を交えながら行う。さらに、生体分子の構造と機能に深く関わる分子間の相互作用と酵素の動力学について詳しく学ぶ。
授業の進め方・方法:
期末試験70%、レポート30%で評価し、総合評価60点以上を合格とする。
試験問題のレベルは、レポート課題とした問題と同程度とする。
注意点:
本講義は、WebClassを利用する。
原則として遠隔で実施するが、初回、最終回は対面で実施する予定である。

事前・事後学習、オフィスアワー

この科目は学修単位科目であるため、事前・事後学習として課題レポートをほぼ毎週実施します。
【オフィスアワー】授業日に対応する。それ以外の日ではメールによる対応を行う。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 分子の構造と反応:
分子構造
ルイス構造、酸化数、共鳴を理解する。
2週 分子の構造と反応:
化学反応
反応の方向性、熱力学量の変化、反応速度を理解する。
3週 金属錯体の化学:
金属錯体の構造と特性
金属イオンの電子配置、結合場理論、配位子場理論が説明できる。
4週 金属錯体の化学:
金属錯体の反応
HASB則、代表的な金属イオンの配位構造が説明できる。
5週 加水分解:
加水分解の反応形式、反応機構
金属イオンによる加水分解反応の促進、金属酵素による加水分解反応を説明できる。
6週 加水分解:
加水分解酵素の例
カルボキシペプチダーゼ、アルカリホスファターゼの構造と機能を説明できる。
7週 電子伝達:
電子伝達体の種類
電子伝達体を説明できる。
8週 電子伝達:
金属タンパク質
金属タンパク質の式量電位と機能が説明できる。
2ndQ
9週 電子伝達:
呼吸と光合成
呼吸と光合成が説明できる。
10週 酸素分子:
酸素分子の化学
酸素分子の電子配置、活性酸素、酸素分子と有機化合物の反応が説明できる。
11週 酸素分子:
酸素運搬体
酸素運搬体、酸素貯蔵体、酸素結合の分子機構を説明できる。
12週 酸化還元酵素:
ペルオキシダーゼ、カタラーゼ
ペルオキシダーゼ、カタラーゼを説明できる。
13週 酸化還元酵素:
モノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ
モノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼを説明できる。
14週 酸化還元酵素:
スーパーオキシドディスムターゼ、モリブデンを含むもの
スーパーオキシドディスムターゼを説明できる。
15週 官能基の転位と転移:
コバラミン、転位反応
コバラミン、転位反応を理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4前2
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4前2
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4前2
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4前2
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4前2,前3
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4前2,前3
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4前1
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4前1
物理化学化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4前4
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4前4
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4前4,前5
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4前4,前5
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4前14
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4前14
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4前14
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4前14
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4前14
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4前14
基礎生物酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前5
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前5
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前6
タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前6
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前9
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前9
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前8
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前8
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前8
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前8
グリコシド結合を説明できる。4前8
グリコシド結合を説明できる。4前8
多糖の例を説明できる。4前8
多糖の例を説明できる。4前8
脂質の機能を複数あげることができる。4前8
脂質の機能を複数あげることができる。4前8
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4前8
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4前8
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前11
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前11
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前6
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前6
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前6
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前6
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前6
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前6
タンパク質の高次構造について説明できる。4前6
タンパク質の高次構造について説明できる。4前6
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前7
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前7
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前7
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前7
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前13,前14
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前13,前14
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前13,前14
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前13,前14

評価割合

試験課題レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力401050
専門的能力201030
分野横断的能力101020