到達目標
1.共有結合の性質を理解し、置換基効果がどのようにして化学反応に影響を及ぼしているのかを説明できること。
2.反応機構の各段階でどのように電子が移動するのか、その理由を考え、正しく記述できるようになること。
3.実際に観測される実験結果から、その反応機構を推定できるようになる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 共有結合の構造に基づいて、置換基効果が化学反応に及ぼす影響を例を挙げて説明できること | 共有結合の性質を理解し、置換基効果がどのようにして化学反応に影響を及ぼしているのかを説明できること | σ‐結合とπ‐結合の違いが説明できず、置換基効果と化学反応との関係が理解できない |
評価項目2 | 反応機構の各段階でどのように電子が移動するのか正しく記述し、その理由を説明できる | 反応機構の各段階でどのように電子が移動するのか、正しく記述できる | 反応機構の各段階でどのように電子が移動するのか正しく記述できない |
評価項目3 | 実際に観測される実験結果から、その反応機構を推定し、その理由を説明できる | 実際に観測される実験結果から、その反応機構を推定できる | 実際に観測される実験結果の反応機構が推定できない |
学科の到達目標項目との関係
(D) 専門分野の知識と情報技術を身につける。
説明
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教育方法等
概要:
この講義では、いくつか有機反応の機構について、関係する電子の動きを中心に解説し、その法則性や考え方を解説する。講義の前半は、始めに化学結合について復習した後に、誘起効果と共鳴効果の2つの置換基効果とその関連事項について学び、後半は、いくつかの反応例を題材として、どのような過程を経て生成物に到達しているかについて、電子の動きだけでなく、立体的な効果も含めながら解説する。
授業の進め方・方法:
化学結合についてより詳しい説明をした後、化学反応における電子の移動に注目して、有機化合物の様々な反応について、その反応機構を詳しく解説する。また、どのようにしてそれらの反応機構が明らかにされてきたのかを説明する。
注意点:
電子の動きを表す「矢印」の書き方を規則に沿って正しく書けるようにすること。
本講義の最終成績が不合格となった学生のうち、一部のレポートに未提出がある学生に対しては再試験を実施しない。
事前・事後学習、オフィスアワー
各講義の後に学習内容に関するレポート(A4・1枚程度)を次講義までにメールで提出する。
オフィスアワー:講義日前日と講義日と講義日の翌日の16:00~17:00
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
化学結合「原子から分子へ」 |
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2週 |
化学結合Ⅰ「イオン結合と共有結合」 |
イオン結合と共有結合を説明できる
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3週 |
化学結合Ⅱ「σ‐結合とπ‐結合」 |
σ‐結合とπ‐結合を説明できる
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4週 |
酸と塩基 |
酸や塩基の定義を理解し、それらの強さを定性的に判別できる。
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5週 |
置換基効果Ⅰ「誘起効果」 |
誘起効果について説明できる。
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6週 |
置換基効果Ⅱ「共役と共鳴」 |
共役や共鳴を例を挙げて説明できる。
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7週 |
置換基効果Ⅲ「共鳴効果と超共役」 |
共鳴効果を説明できる。 超共役を例を挙げて説明できる。
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8週 |
エステルの加水分解反応 |
エステルの加水分解反応における触媒の働きの違いについて理解し、その反応機構を書くことができる。
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4thQ |
9週 |
カルボニル基の反応とその反応機構Ⅰ「ケト‐エノール互変異性とアルドール縮合」 |
ケト‐エノール互変異性を理解し、説明できる。
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10週 |
カルボニル基の反応とその反応機構Ⅱ「α-水素が関与する縮合反応(1回目)」 |
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11週 |
カルボニル基の反応とその反応機構Ⅱ「α-水素が関与する縮合反応(2回目)」 |
カルボニル基の反応における特徴を理解し、その反応機構を書くことができる。
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12週 |
転位反応Ⅰ「ピナコール・ピナコロン転位(1回目)」 |
ピナコール・ピナコロン転位反応について、その基本的な反応機構を書くことができる。
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13週 |
転位反応Ⅰ「ピナコール・ピナコロン転位(2回目)」 |
ピナコール・ピナコロン転位反応について、反応機構の多様性を説明できる。
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14週 |
転位反応Ⅱ「Hofmann転位」 |
Hofmann転位反応について、その反応機構を書くことができる。
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15週 |
転位反応Ⅲ「その他の転位反応」 |
転位反応について、その反応機構を予想して書くことができる。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 4 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 4 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 4 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 4 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 4 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 4 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 4 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 4 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 4 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 4 | |
無機化学 | 主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 4 | |
主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 4 | |
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 4 | |
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 4 | |
金属結合の形成について理解できる。 | 4 | |
金属結合の形成について理解できる。 | 4 | |
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。 | 4 | |
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。 | 4 | |
水素結合について説明できる。 | 4 | |
水素結合について説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 中間試験 | 期末試験 | | | | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 30 | 70 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 20 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 40 |
専門的能力 | 10 | 50 | 0 | 0 | 0 | 0 | 60 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |