生物化学

科目基礎情報

学校 鶴岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生物化学
科目番号 0156 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(化学・生物コース) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 生命の化学と分子生物学(Wood, Smith, Pickering著 林・水野訳、東京化学同人)
担当教員 南 淳

到達目標

タンパク質、核酸、糖、脂質の化学構造を説明でき、それら物質の生体内での機能を化学構造と結びつけて説明することができること。さらに解糖系、TCA回路などの代謝経路の過程を、生化学的な観点(酵素、エネルギー)から説明できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1タンパク質、核酸、糖、脂質の化学構造を説明でき、それら物質の生体内での機能を化学構造と結びつけて説明することができるタンパク質、核酸、糖、脂質の化学構造を説明することができるタンパク質、核酸、糖、脂質の化学構造がわからない
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物化学の基礎を修得する。前半は生体物質の構造と機能について学習し、後半はそれらの代謝について学習する。
授業の進め方・方法:
講義および質疑応答により進める。前期末、学年末のほか前期一回、後期一回のテストを行う。随時、ホームワークおよび小テストを行う。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物化学とは何か? 生物化学がどのように応用されるかを理解している。
2週 生体に含まれる分子 タンパク質、核酸、炭水化物がそれぞれ、アミノ酸、ヌクレオチド、単糖のポリマーが脱水縮合で結合したポリマーであることを説明できる。
3週 炭水化物の機能と化学構造 炭水化物の生体内における役割について説明できる。糖の種類と基本的な化学構造について説明できる。
4週 単糖の化学 アルドースとケトースの違いについて説明できる。単糖の鏡像異性体について説明できる。糖の構造異性体について説明できる。グルコース、フルクトース、リボースの化学構造式を書くことができる。
5週 グリコシド結合と二糖 グリコシド結合について説明できる。マルトース、スクロース、ラクトースの構造を説明できる。アミノ酸の各アミノ酸の1.タンパク質中での役割、2.アミノ酸単体での役割について理解している。
6週 多糖 アミロース・アミロペクチンとセルロースの化学構造と性質について説明できる。グリコーゲンの化学構造の機能について説明できる。
7週 トリアシルグリセロールの機能と化学 トリアシルアルコールの機能を説明できる。ステアリン酸、グリセリンの構造式を書ける。 飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸とは何か説明でき、物質名を2つずつ挙げることができる生体分子に関する基本的な事柄、タンパク質の構造と機能について総合的に理解している。
8週 リン脂質と生体膜 リン脂質の化学構造を説明できる。脂質二重層の役割と構造を説明できる。
2ndQ
9週 糖、脂質のまとめとテスト 糖、脂質の機能と化学について総合的に理解し、説明できる。
10週 タンパク質の機能 タンパク質が生体機能に中心的な役割を果たしていることを理解し、生体内におけるタンパク質の機能を数個の例をあげて説明することができる。
11週 アミノ酸の機能と化学 タンパク質の一次構造の決定方法を知っている。遺伝子コードとアミノ酸配列の関係を説明できる。 遺伝子にコードされる20種類のアミノ酸を列挙できる。
12週 ペプチド結合とタンパク質の二次構造 ペプチド結合について化学構造式を用いて説明できる。α-ヘリックスとβ-シートについて説明できる。
13週 タンパク質の三次構造と四次構造
タンパク質の三次構造が形成されるしくみを説明できる。ファンデルワールス力、水素結合、イオン結合(静電的相互作用)、疎水性相互作用の原理について簡単な説明をできる。タンパク質の変性と酵素の失活の原因を説明できる。四次構造をつくるタンパク質を列挙できる。
14週 タンパク質のまとめとテスト タンパク質の構造と機能について総合的に理解している。糖の構造と機能について総合的に理解している。
15週 核酸 核酸の種類と働きについて説明できる。ヌクレオチドの化学構造について説明できる。DNAの二重らせん構造を図示することができる。ホスホジエステル結合について説明できる。塩基間の相補的な水素結合について説明できる。
16週 染色体、ゲノムとDNA 細胞周期とDNA量変化について説明できる。ゲノムについて説明できる。ヒトゲノムなどゲノムプロジェクトについて説明できる。
後期
3rdQ
1週 DNAの複製 DNAの複製の機構の概要について理解できる。
2週 遺伝暗号 トリプレットについて説明できる。コドン表を利用し、コドンをアミノ酸配列に変換できる。終止コドンと開始コドンについて説明できる。
3週 RNAの働きとタンパク質合成 タンパク質合成の過程の概略を説明できる。
4週 テスト 核酸の構造とDNA複製、タンパク質合成について説明できる。
5週 酵素 酵素と基質の結合について説明できる。活性部位について説明できる。
6週 酵素の種類 Enzyme Committeeの分類による6種類の酵素の働きについて説明でき、それぞれ例を挙げることができる。
7週 補酵素と酵素活性の調節 ナイアシンなど補酵素の機能について説明できる。ビタミンと補酵素の関係を説明できる。アロステリック酵素について説明できる。アロステリック酵素と代謝の調節について説明できる。
8週 代謝とATP 代謝とATPの合成・分解について説明できる。
4thQ
9週 呼吸の概要と解糖系 グルコースからピルビン酸にいたる解糖系の概略を説明できる。
10週 発酵 アルコール発酵と乳酸発酵とは何か説明できる。
11週 TCA回路 TCA回路の概略を説明できる。
12週 化学浸透説と電子伝達系 電子伝達系の概略を説明できる。
13週 光合成の概要と光合成色素 光合成色素の名称と働きを説明できる
14週 光合成:光化学反応 光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。
15週 光合成:炭酸固定 炭酸固定の過程を理解している。
16週 テスト 酵素、呼吸、光合成について総合的に理解している。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前1,前2,前10
タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前1,前2,前10
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前3,前4,前9
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前3,前4,前9
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前4,前9
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前4,前9
グリコシド結合を説明できる。4前5,前6,前9
グリコシド結合を説明できる。4前5,前6,前9
多糖の例を説明できる。4前6,前9
多糖の例を説明できる。4前6,前9
脂質の機能を複数あげることができる。4前7,前8,前9
脂質の機能を複数あげることができる。4前7,前8,前9
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4前7,前9
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4前7,前9
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前8,前9
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前8,前9
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前10,前14
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前10,前14
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前11,前14
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前11,前14
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前11,前12,前14
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前11,前12,前14
タンパク質の高次構造について説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14
タンパク質の高次構造について説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前15,後1,後4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前15,後1,後4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前15,後1,後4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前15,後1,後4
DNAの半保存的複製を説明できる。4後1,後2,後4
DNAの半保存的複製を説明できる。4後1,後2,後4
RNAの種類と働きを列記できる。4後3,後4
RNAの種類と働きを列記できる。4後3,後4
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4後2,後4
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4後2,後4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4後5,後6
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4後5,後6
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4後5,後6,後7
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4後5,後6,後7
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4後7
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4後7
解糖系の概要を説明できる。4後9
解糖系の概要を説明できる。4後9
クエン酸回路の概要を説明できる。4後9,後11
クエン酸回路の概要を説明できる。4後9,後11
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4後9,後12,後14
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4後9,後12,後14
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4後9,後10
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4後9,後10
各種の光合成色素の働きを説明できる。4後13,後14,後16
各種の光合成色素の働きを説明できる。4後13,後14,後16
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4後13,後14,後16
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4後13,後14,後16
炭酸固定の過程を説明できる。4後13,後15,後16
炭酸固定の過程を説明できる。4後13,後15,後16

評価割合

試験レポート・ホームワーク小テスト・受講態度合計
総合評価割合701020000100
基礎的能力100500015
専門的能力60101500085
分野横断的能力0000000