人文科学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福島工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 人文科学Ⅰ
科目番号 0009 科目区分 一般 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子システム工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 哲学・倫理学概論、松島隆裕、学術図書出版社;哲学的思索への道、笠井貞、文化書房博文社;技術者倫理、松島隆裕、学術図書出版社;工学系卒論の書き方、別府俊幸・渡辺賢治、コロナ社
担当教員 笠井 哲

到達目標

①広義の「倫理」的な事象について、理解することができる。
②青年心理学を学ぶことで、「アイデンティティ」を確立することができる。
③専門職業人に必要な「職業倫理(技術者倫理・ビジネス倫理)」を確立することができる。
④現代の倫理的な諸問題について、グループディスカッションを通して、考察し判断することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基礎的能力青年心理学、東西の源流思想、日本思想、西洋近代哲学を理解し、自分のことばで説明できる。青年心理学、東西の源流思想、日本思想、西洋近代哲学を理解している。青年心理学、東西の源流思想、日本思想、西洋近代哲学を理解できていない。
専門的能力専門職業人に必要な「職業倫理(技術者倫理・ビジネス倫理)」を確立することができる。専門職業人に必要な「職業倫理(技術者倫理・ビジネス倫理)」を理解することができる。専門職業人に必要な「職業倫理(技術者倫理・ビジネス倫理)」を確立することができない。
汎用的技能グループディスカッションを通して、十分なコミュニケーションスキルを身につけることができる。グループディスカッションを通して、通常のコミュニケーションスキルを身につけることができる。グループディスカッションを通して、コミュニケーションスキルを身につけることができていない。
態度・志向性グループディスカッションを通して、十分なチームワーク力を身につけることができる。グループディスカッションを通して、通常のチームワーク力を身につけることができる。グループディスカッションを通して、チームワーク力にを身につけることができていない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (F) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
人生の諸問題を正しく判断できるようになるために、青年心理学から始め、東西の源流思想、日本思想、西洋近代哲学の基礎にある人間観、すなわち「倫理」を中心に学習する。
さらに、専門職業人に必要な「職業倫理(技術者倫理・ビジネス倫理)」の基本事項やSDGs等の現代の諸問題を考察する手法を学ぶ。
毎回、グループディスカッションを実施する。
授業の進め方・方法:
高専から始まる授業なので、まず基本事項を理解させる。
また、チームワーク力やコミュニケーションスキル、主体性や責任感といった汎用的能力を養うため、グループディスカッションを毎回実施する。
さらに、論理的思考力を高めるために、課題レポートを提出させる。
定期試験(期末のみ)を実施し、グループディスカッションやレポートと総合的に評価し、60点以上を合格とする。
ただし、再試験の受験は定められた期限内に課題を提出した者のみに認める。

注意点:
倫理という学問の性格上、知識を記憶するだけにとどまらずに、自分で考えて判断することが大切である。
自分の問題として考えたことを、自分の言葉で表現(グループディスカッションやレポート)できるようにする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 倫理とは何か 倫理に関する様々な定義について理解できる。
2週 人間とは何か 人間に関する様々な定義について理解できる。
3週 青年期の特徴 モラトリアムとアイデンティティについて理解できる。
4週 自己実現とは何か キャリア・ディヴェロップメントの意義について理解できる。
5週 日本の風土と文化 和辻哲郎の『風土』の思想について理解できる。
6週 古代日本の歴史と思想 古代の神々と清明心の意義について理解できる。
7週 中世日本の歴史と思想 日本の仏教、特に鎌倉仏教の意義について理解できる。
8週 古代ギリシア哲学(1) 自然哲学者、ソフィスト、ソクラテスについて理解できる。
2ndQ
9週 古代ギリシア哲学(2) プラトン、アリストテレス、ヘレニズムについて理解できる。
10週 キリスト教の成立と展開 イエス、パウロ、アウグスティヌスの思想について理解できる。
11週 イスラム教の成立と展開 ムハンマドの生涯と思想について理解できる。
12週 仏教思想の成立 仏陀(釈迦)の生涯と思想について理解できる。
13週 仏教思想の展開 小乗仏教と大乗仏教の思想的意義について理解できる。
14週 中国思想の成立と展開 儒家思想の意義について理解できる。
15週 まとめ 14週までを踏まえ青年心理学と倫理学を学ぶ意義を説明できる。
16週
後期
3rdQ
1週 西洋近代の成立 ルネサンスの科学技術への関与について理解できる。
2週 宗教改革と科学革命 ルターの職業召命観、ニュートンの思想について理解できる。
3週 科学技術思想の成立 ベーコンの「知は力なり」とデカルトの物心二元論について理解できる。
4週 生命倫理とは何か 脳死と臓器移植、QOLと尊厳死について理解できる。
5週 環境倫理とSDGs 世代間責任倫理、SDGsについて理解できる。
6週 職業倫理とは何か 伝統を踏まえた現代の職業倫理について理解できる。
7週 技術者倫理とビジネス倫理 製造物責任法、内部告発、説明責任について理解できる。
8週 倫理問題の事例研究 技術者倫理やビジネス倫理に関する事例を検討できる。
4thQ
9週 嘘はなぜ悪いか(1) カントの義務論について理解できる。
10週 嘘はなぜ悪いか(2) ベンサムの功利主義について理解できる。
11週 誰を助けるべきか(1) 完全義務と不完全義務について理解できる。
12週 誰を助けるべきか(2) 効用計算と平等について理解できる。
13週 危険にどう向き合うか(1) リスクの許容度について理解できる。
14週 危険にどう向き合うか(2) 科学の限界と実践的判断について理解できる。
15週 まとめ 14週までを踏まえ、倫理を身につけた専門職業人としてSDGsの達成を目指すことができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文社会科学社会社会人間と自然環境との相互作用を前提としつつ、民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。3前2,前5,前6,前7
これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにしつつ、より良いキャリア構築を含む生涯にわたる多様な自己形成に関する考え方、他者と共に生きていくことの重要性、及び望ましい社会や世界のあり方について考察できる。3前2,前3,前12,前13
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理と基礎的な政治・法・経済の仕組みを理解し、現代社会の諸課題について考察できる。3前4
現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定し、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から多面的・多角的に考察、構想し、表現できる。3前8,前9,前10,前11
工学基礎技術者倫理技術者倫理工学や科学技術が人類に果たしてきた貢献、成果について説明できる。3
科学技術の発展動向を踏まえ、現代社会における工学や科学技術の役割、意義について説明できる。3
科学技術の発達が社会、環境、人々に対して与える影響や変化について説明できる(応用倫理学を含む)。3
地域社会やわが国が直面している種々の問題について理解し、工学や科学技術の果たしうる貢献について考え、説明できる。3前5,前6,前11
国際社会や人類が直面している種々の問題について理解し、工学や科学技術の果たしうる貢献について考え、説明できる。3
現代社会の特徴を理解した上で、安全の確保、実現に向けた技術者の役割、責任について説明できる。3
専門職としての技術者の役割や責任について説明できる。3
法的責任の基本について説明できる。3
倫理的責任の基本について説明できる。3
専門職としての技術者が実務上要求される責任、配慮すべき問題に関して説明できる。3
国際的なフィールドでの実務で要求される責任、配慮すべき問題について説明できる。3
公正な研究活動の推進に向けて必要な知識や態度について説明できる。3
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解異文化、多文化について説明できる。3前8,前9,前10,前11
多様性の概念及びその重要性を説明できる。3
グローバリゼーションの進展により生じた産業、経済、政治への影響及びグローバリゼーションと科学技術との相互作用を説明できる。3
技術者としてグローバルに活動する際に求められる知識、資質、能力について説明できる。3
分野横断的能力汎用的技能コミュニケーションスキルコミュニケーションスキル他者の考えや主張を理解するために、相手を尊重し配慮する態度をとることができる。3
目的に応じた適切な方法で自分の考えや主張を伝えることができる。3
多様な他者との間で良好な人間関係を形成するための行動ができる。3
チームワークとリーダーシップチームワークとリーダーシップチーム活動において意見の相違や対立を踏まえて合意形成に向けて行動できる。3
チームの協働関係の形成、維持、向上を促すための行動ができる。3
チーム活動の目標共有を図り、目標達成に向けた行動を実践し、また、チームの協働を促進するための行動ができる。3前4
情報収集・活用・発信力情報収集・活用・発信力ディジタルツールを含む種々の手段や各種メディアを活用し、情報を収集できる。3前3
思考力思考力複合的な事象や出来事を分析できる。3
情報や主張を批判的に検証できる。3
情報や主張を説得的に提示するための方法を考えることができる。3
課題発見力・問題解決力課題発見力・問題解決力直面している事象や出来事を分析して、対応すべき問題を特定できる。3
現状を分析した上で、実現すべき理想との乖離(ギャップ)の中に含まれる課題を把握できる。3
問題の解決、理想の実現のために達成すべき目標を設定し、また、具体的な行動案を検討できる。3
基盤的資質・能力自己理解自己理解自分の経験や活動を振り返り、自分の考え方や価値観などを認知できる。3前3
自己理解に基づき必要な対応や行動を検討できる。3前3
主体性主体性自分が果たすべき役割や行動について認識できる。3
自分が果たすべき役割や行動を実践できる。3
自己管理と責任ある行動自己管理と責任ある行動自分に求められる役割や行動を把握し、確認できる。3
やるべきことを実行するための具体的行動や計画を考えることができる。3
自分に求められる役割や行動を実践し、その過程や結果の振り返りができる。3
倫理観倫理観自分の判断や行動、及びそれらがもたらす結果や影響について、倫理的観点から検討、評価できる。3前1
自分の判断や行動の基盤となる倫理観を振り返り、表現できる。3
キャリアデザインキャリアデザイン自分の体験や行動を振り返り、自分の特性や強みを把握できる。3前4
将来のキャリアについて計画を立てることができる。3前4
社会や環境、人々に対する影響などを踏まえた上で、専門職(エンジニアなど)に求められる役割について考えることができる。3
専門職(エンジニアなど)の業務内容について説明できる。3
様々な業種、職種、企業の社会的意義や責任について説明できる。3
創造性・デザイン能力創造性創造性専門分野以外の多様なものの捉え方や視点の重要性を認識し、受け入れることができる。3
多角的な視点から事象を分析し、対応すべき問題を定義できる。3
様々な知識を統合的に活用しながら、あらかじめ答えが与えられていない問題に対する解決方法を考えることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合0000000
基礎的能力0000000
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000