有機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福島工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 有機化学Ⅰ
科目番号 0063 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義・演習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科(R2年度開講分まで) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー有機化学概説 第7版、マクマリー、伊東、児玉訳、東京化学同人
担当教員 梅澤 洋史

到達目標

①混成軌道に基づき有機化合物の立体構造を描ける。
②脂肪族化合物の分子構造と性質、ならびに反応性との関係を修得する。
③芳香族化合物の分子構造と性質、ならびに反応性との関係を修得する。
④立体異性体の化学を修得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各授業項目の内容を理解し、応用できる。各授業項目の内容を理解している。各授業項目の内容を理解していない。
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
高校化学の基礎の上に、炭素を中心とする化合物である有機物質を化学結合から解説し、分子構造に基づき前期は脂肪族化合物(アルカン、アルケン、ならびにアルキン)を、後期は芳香族化合物(ベンゼン誘導体)を系統的に学習する。
授業の進め方・方法:
中間試験は50分間の試験を実施する。期末試験は50分間の試験を実施する。
定期試験の成績を70%、小テストや課題の総点を30%として総合的に評価し、60点以上を合格とする。
注意点:
有機化学Iは、3年次の生化学Ⅰ、4年次の有機化学Ⅱ、有機化学演習、有機合成化学、生物有機化学、生化学Ⅱ、ならびに高分子化学の基礎科目となるので、確実な知識となるよう学習に励むこと。基礎的事項を理解し、覚え、身につける訓練を自主的にすること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 基礎有機化学(1)  一般化学で学習した有機化学の復習
2週 基礎有機化学(2)  一般化学で学習した有機化学の復習
3週 基礎有機化学(3)  一般化学で学習した有機化学の復習
4週 構造と結合(1) 原子の電子配置
5週 構造と結合(2) 化学結合
6週 構造と結合(3) 混成軌道と電気陰性度
7週 構造と結合(4) 酸、塩基の定義と性質
8週 中間試験の解説、アルカン(1) 命名法、立体配座
2ndQ
9週 アルカン(2) アルカンの性質と反応性
10週 アルカン(3) シクロアルカンの立体配座
11週 アルケン(1) アルケンの構造、性質、命名法
12週 アルケン(2) シス-トランス異性、E,Z命名法
13週 アルケン(3) 有機反応の機構と付加反応
14週 問題演習 これまでの学習事項の復習
15週 前期期末試験の解説
16週
後期
3rdQ
1週 アルケンとアルキンの反応(1) 前期の復習、ハロゲン化水素の付加とMarkovnikov則
2週 アルケンとアルキンの反応(2) ハロゲン化、水素化、酸化
3週 アルケンとアルキンの反応(3) 共役ジエンの性質と共鳴構造
4週 アルケンとアルキンの反応(4) アルキンの命名法と反応
5週 芳香族化合物(1) ベンゼンの構造と共鳴、反応性
6週 芳香族化合物(2) 命名法
7週 芳香族化合物(3) Friedel-Craftアルキル化反応、アシル化反応
8週 中間試験の解説、芳香族化合物(4) 芳香族求電子置換反応における置換基効果
4thQ
9週 芳香族化合物(5) 芳香族求核置換反応
10週 芳香族化合物(6) 芳香族化合物の合成
11週 立体化学(1) 不斉炭素原子と鏡像異性体
12週 立体化学(2) 比旋光度の計算、R,S表記、Fisher投影式
13週 立体化学(3) ジアステレオマー、メソ化合物
14週 問題演習 これまでの学習事項の復習
15週 後期末試験の解説
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4前1,前2
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4
σ結合とπ結合について説明できる。4
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4
共鳴構造について説明できる。4
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4
高分子化合物がどのようなものか説明できる。4
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4
高分子の熱的性質を説明できる。4
重合反応について説明できる。4
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。4
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。4
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。4
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4
イオン結合と共有結合について説明できる。4
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4
金属結合の形成について理解できる。4
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4
配位結合の形成について説明できる。4
水素結合について説明できる。4
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。4
錯体の命名法の基本を説明できる。4
配位数と構造について説明できる。4
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。4
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4

評価割合

試験小テスト等相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力70300000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000