分析化学

科目基礎情報

学校 福島工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 分析化学
科目番号 0018 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 化学・バイオ工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 基礎教育シリーズ分析化学〈基礎編〉(本水昌二 ほか,東京教学社),プリント / 高等学校改訂化学基礎(山内 薫 ほか,第一学習社)
担当教員 押手 茂克

到達目標

この授業での達成目標は,以下の3点である。
① 単位や濃度を理解し,物質量や濃度の計算ができる。
② 質量作用の法則を理解し,溶液内の各成分の量的関係やpHの計算ができる。
③ 滴定を理解し,定量計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各授業項目の内容を理解し、問題(計算等)の解決に活用できる。各授業項目の内容を理解し,必要な概念・方法(式・計算法・原理:法則等)を推測できる。各授業項目の内容を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
分析化学は,自然界の物質中の成分や量を明らかにする方法・基礎理論の開発・研究をする分野である。そこで,授業では分析化学の基礎知識となる溶液内化学平衡,濃度,データの取扱いを学ぶ。平衡を利用した容量分析の理論を習得し,定量と化学反応の関係を理解する。
授業の進め方・方法:
中間試験,期末試験ともには50分の試験を実施する。
定期試験の成績80%,小テストや課題の総点を20%として総合的に評価する。60点以上を合格とする。
*再試験の範囲は,講義した分析化学の全範囲とする。
注意点:
①化学の復習,②自分の到達度を把握したシラバスと教科書での予習・復習,③返却・模範解答をした小テスト等の復習,④小テスト等の間違えた部分を解き直して分からない内容は担当教員に確認する,⑤2次式の解法や指数・対数の計算をできるように復習,以上の5つは授業前後に十分に行うこと。関数電卓を常に用意し,使い方に慣れておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 分析データの取扱い(1) 授業の概要,SI単位とSI接頭語,溶液の濃度(質量パーセント濃度)
2週 分析データの取扱い(2) 濃度の定義(モル濃度,質量モル濃度),演習
3週 分析データの取扱い(3) 有効数字,有効数字を考慮した計算
4週 分析データの取扱い(4) 誤差(相対誤差,絶対誤差,真度と精度,測定値の棄却)
5週 分析化学の基礎(1) 化学平衡,質量作用の法則,平衡定数,溶媒抽出と分配平衡,単純な系での分配係数
6週 分析化学の基礎(2-1) 活量,活量係数,イオン強度,デバイ-ヒュッケルの理論式
7週 分析化学の基礎(2-2)/復習と答案返却 前期第6週までの授業内容の復習・補足・確認,答案返却,イオン強度,デバイ-ヒュッケルの理論式
8週 分析化学の基礎(3-1) 酸・塩基の定義,酸塩基の強弱と価数,共役酸塩基対,水のイオン積
2ndQ
9週 分析化学の基礎(3-2) 酸・塩基の定義,酸塩基の強弱と価数,共役酸塩基対,水のイオン積
10週 分析化学の基礎(4) 電離平衡,電離度,pHの定義,電離度とpH,水のイオン積,演習
11週 酸塩基平衡(1) 強酸・強塩基の水溶液のpH,物質収支,電荷中和の原理,電荷中和の原理
12週 酸塩基平衡(2) 一価の弱酸(酢酸)の水溶液のpH,弱塩基の塩(塩化アンモニウム)の水溶液のpH
13週 酸塩基平衡(3) 一価の弱塩基(アンモニア)の水溶液のpH,弱酸の塩(酢酸ナトリウム)の水溶液のpH
14週 酸塩基平衡(4) 緩衝溶液,共役な酸と塩基の混合溶液のpH
15週 復習と答案返却 期末試験答案の確認,中間試験後から期末試験までの内容の復習
16週
後期
3rdQ
1週 錯体生成平衡(1) 錯体(構造・配位数・配位子の分類),逐次生成定数と全生成定数,銀イオンや銅(Ⅱ)イオンのアンモニアとの反応
2週 錯体生成平衡(2) 逐次生成定数と全生成定数,錯体の演習,イオン交換とキレート樹脂
3週 酸化還元平衡(1) 酸化数,酸化還元反応,酸化剤と還元剤,標準水素電極,電極電位,電池式
4週 酸化還元平衡(2) 電極電位,電池式,ネルンストの式,起電力の計算
5週 沈殿生成平衡(1) 沈殿平衡,溶解度積,銀イオンと塩化物イオンとの反応,水酸化物の沈殿,演習
6週 沈殿生成平衡(2) 共通イオン効果,演習
7週 容量分析 /復習と答案返却 後期第1~6週までの授業内容の復習・補足・確認,答案返却,容量器具,滴定法
8週 容量分析 容量器具,滴定法,標準物質と標準溶液,滴定曲線
4thQ
9週 酸塩基滴定(1) 滴定曲線と終点決定法,中和滴定での濃度の求め方
10週 酸塩基滴定(2) 中和滴定での濃度の求め方の演習
11週 キレート滴定(1) 金属指示薬,滴定法の分類(直接滴定法・額滴定法・置換滴定法),EDTA滴定での濃度の求め方
12週 キレート滴定(2) EDTA滴定での濃度の求め方,演習
13週 酸化還元滴定(1) 過マンガン酸塩滴定,終点決定法,濃度の求め方
14週 酸化還元滴定(2) 過マンガン酸塩滴定の濃度の求め方の演習
15週 復習と答案返却 期末試験答案の確認,中間試験後から期末試験までの内容の復習
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。2後1,後5,後6
電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。4前2,前5,前6,前7,後5
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4後5,後6
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4前5,前10,後5,後6
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4前8,前9,前10
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4前10,前11,前12,前13,前14
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4前14
錯体の生成について説明できる。4後1,後2,後11
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4前1,前2,前3,前5,前10,前11,前12,前13,前14,後2,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4後9,後10
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。4後13,後14
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。4後11,後12
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。2前1,前2,前3,前4,前5
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。2前1,前2,前3,前4,前5
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。3後2,後11
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。3前5
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。2後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。2前5,後2
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。1前5,前8,前9,後1,後2,後3,後4,後5,後6
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4前8,前9,前10,後8,後9,後10
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。4後3,後4,後8,後13,後14
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4後1,後2,後8,後11,後12
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。2後1,後5
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。1前5,前10,後1,後2,後3,後4,後5,後6
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。1前5,前10,後1,後2,後3,後4,後5,後6

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000