無機化学基礎

科目基礎情報

学校 福島工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 無機化学基礎
科目番号 0038 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 化学・バイオ工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 (1) 坪村太郎ら,無機化学の基礎,化学同人 (2) M. Almond and M. Spillman,演習で学ぶ無機化学 基礎の基礎,化学同人
担当教員 加藤 健

到達目標

① 原子の構造,元素の性質と周期性について理解し,それらについて説明できる。
② 電子構造および化学的結合,分子の構造についての基礎概念を修得する。
③ 酸塩基反応や酸化還元反応など,物質の変化に関する基礎について理解を深める。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子・分子の基本的構造や物質の変化に関する基礎概念を理解し,応用できる。原子・分子の基本的構造や物質の変化に関する基礎概念を理解している。原子・分子の基本的構造や物質の変化に関する基礎概念を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
無機化学は有機化合物を除いたあらゆる物質,およびそれを構成する元素の構造,反応,物性を扱う学問分野である。
本科目では,単体や無機化合物の性質を理解する上で必要な事項,特に基礎化学の学習内容に基づき,原子の構造,元素の性質,化学結合,分子の構造,固体の構造,ならびに平衡概念について学ぶ。
授業の進め方・方法:
中間試験は50分の試験を実施する。期末試験についても50分の試験を実施する。
定期試験の成績を80%,課題,実技,小テストや授業へ取り組みなどの平素の学習状況を20%として総合的に評価し,60点以上を合格とする。
注意点:
物理,数学,化学で履修した基本的内容について十分に復習しておくこと。参考書などを学習に取り入れ,授業ごとの予習と復習を行うことで理解に努めること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 序論(1) 元素と原子の起源,原子量,質量数
2週 序論(2) 同位体,放射性崩壊,核反応
3週 序論(3) 周期表,元素の性質と周期律,電気陰性度
4週 原子構造(1) 原子模型,水素原子スペクトル,エネルギー準位
5週 原子構造(2) ボーアモデル,物質波
6週 原子構造(3) 波動関数,量子数
7週 中間試験
8週 原子構造(4) 原子軌道
2ndQ
9週 原子構造(5) 電子配置,Hundの規則,Pauliの排他則
10週 化学結合(1) 共有結合と軌道,ルイス構造
11週 化学結合(2) 共鳴構造,VSEPRモデル
12週 化学結合(3) 原子価結合法
13週 化学結合(4) 混成軌道
14週 化学結合(5) 分子軌道法
15週 まとめ 試験の解説と前期の総括
16週
後期
3rdQ
1週 固体の構造(1) 固体の基礎,結晶構造と単位格子
2週 固体の構造(2) イオン結晶,共有結合結晶
3週 固体の構造(3) 電子のバンド構造
4週 固体の構造(4) 合金,格子欠陥
5週 固体の構造(5) 磁性体,固体表面の性質
6週 固体の構造(6) ボルン・ハーバーサイクル
7週 中間試験
8週 物質の変化(1) 平衡状態
4thQ
9週 物質の変化(2) 平衡移動の法則
10週 物質の変化(3) 水素イオン濃度とpH
11週 物質の変化(4) ブレンステッドの酸と塩基
12週 物質の変化(5) ルイスの酸・塩基
13週 物質の変化(6) 酸化還元反応の定義
14週 物質の変化(7) 電池のしくみ,実用電池
15週 まとめ 試験の解説と総括
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。3
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。3
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。3
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3
イオン結合と共有結合について説明できる。3
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。3
金属結合の形成について理解できる。3
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。3
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。3
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。3
配位結合の形成について説明できる。3
水素結合について説明できる。3
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。3
錯体の命名法の基本を説明できる。3
配位数と構造について説明できる。3
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。3
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。3
物理化学放射線の種類と性質を説明できる。3
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。3
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。3
気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。3
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。3
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。3
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。3
混合気体の分圧の計算ができる。3
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。3
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。3
束一的性質を説明できる。3
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。3
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。3
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。3
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。3
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。3
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。3
エンタルピーの温度依存性を計算できる。3
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。3
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。3
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。3
均一および不均一反応の平衡を説明できる。3
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。3
純物質の絶対エントロピーを計算できる。3
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。3
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。3
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。3
平衡定数の温度依存性を計算できる。3
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。3
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。3
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。3
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。3
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。3
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。3
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。3

評価割合

試験課題等相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力6015000075
専門的能力205000025
分野横断的能力0000000