概要:
永井荷風『あめりか物語』をはじめとする日本近現代文学のテクストを、同時代の社会的・文化的な問題を踏まえながら解釈し、日本近現代文学・文化における「アメリカ」や「移民」をめぐる問題を考える。
授業の進め方・方法:
・授業は基本的に講義形式で行うが、受講者一人ひとりがテクストを読み、その解釈や考察を他の受講者と共有することが求められる。
・中間試験、期末試験ともに50分の試験を実施する。定期試験の成績を80%、課題等の提出率及びその内容を20%で評価し、60点以上を合格とする。
注意点:
受講者は予め議論の対象となるテクストを読んでから授業に望むこと。また、授業内の議論に積極的に参加すること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
イントロダクション:現代の「移民」問題と比較文学 |
現代の「移民」問題に端を発し、比較文学研究の知見を踏まえ、近代日本における「渡航」の問題について理解できる。
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2週 |
船の文学:「船室夜話」他 |
近代日本における「洋行」「渡航」の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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3週 |
在米日本人のコミュニティ:「野路のかえり」他 |
近代日本における「渡米」の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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4週 |
コニー・アイランドの光と影:「暁」他 |
近代日本における「渡米」と祝祭的空間の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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5週 |
「愛」「家」「夢」:「岡の上」「市俄古の二日」他 |
近代日本における「愛」「家」の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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6週 |
女性たちへのまなざし:「酔美人」「夜の女」他 |
女性表象の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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7週 |
ニューヨークの「移民」たち:「夜半の酒場」「支那街の記」他 |
日本人以外の「移民」と主体の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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8週 |
フランス憧憬:「おち葉」「夜あるき」他 |
フランス文学の引用の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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4thQ |
9週 |
浅草と「アメリカ」①:谷崎潤一郎「浅草公園」他 |
浅草表象とアメリカ表象の類似性を踏まえ、テクストを解釈できる。
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10週 |
浅草と「アメリカ」②:川端康成『浅草紅団』他 |
浅草表象に関連するセクシュアリティの問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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11週 |
占領と「アメリカ」①:小島信夫「アメリカン・スクール」他 |
占領期という時代の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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12週 |
占領と「アメリカ」②:大江健三郎「人間の羊」他 |
占領期という時代におけるセクシュアリティの問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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13週 |
現代文化における「アメリカ」①:村上龍『限りなく透明に近いブルー』他 |
「基地」文化の問題を踏まえ、テクストを解釈できる。
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14週 |
現代文化における「アメリカ」②:村上春樹『同時代としてのアメリカ』他 |
1980年代文化とその論じられ方を踏まえ、テクストを解釈できる。
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15週 |
現代の「移民」問題:ドラマ『MIU404』他 |
これまでの授業内容を踏まえた上で、映像作品を解釈し、現代における「移民」問題について考えることができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 国語 | 国語 | 論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。 | 3 | |
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。 | 3 | |
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。 | 3 | |
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。 | 3 | |
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。 | 3 | |
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。 | 3 | |
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。 | 3 | |
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。 | 3 | |
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。 | 3 | |
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。 | 3 | |
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。 | 3 | |
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。 | 3 | |
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。 | 3 | |
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。 | 3 | |
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。 | 3 | |