概要:
将来、専門職業人として求められる「職業倫理(技術者倫理・ビジネス倫理)」の基礎事項を学ぶ。
それとともに、事例に関するグループディスカッション等の模擬体験学習によって、倫理的な判断力を学習する。
授業の進め方・方法:
まず、倫理学の各種理論と方法について、功利主義、義務倫理学、徳倫理学から始め、応用倫理学である生命倫理、環境倫理、職業倫理、技術者倫理、ビジネス倫理について、概要を学習する。
次に、こうした理論を用いて、内部告発、説明責任、トレードオフ、製造物責任法に関する事例について、グループディスカッションを実施する。
グループディスカッションでは、チームワーク力、コミュニケーションスキル、主体性、責任感を磨くとともに、背景(出身学科)の異なる人たちとでも対話ができるようにする。
定期試験(期末のみ)を実施し、グループディスカッションやレポートと総合的に評価し、60点以上を合格とする。
ただし、再試験の受験は定められた期限内に課題を提出した者のみに認める。
注意点:
事例に関するグループディスカッションは、いわばロールプレイであるが、実際に自分自身の問題であると考え、積極的に参加すること。
事例は日本だけでなく、海外のものも検討する。その際、英文を読解するので、英和辞典を用意すること。
自学自習の確認方法:課題プリントを配付し提出させる。
定期試験の成績を60%、グループディスカッションへの参加状況を20%、自学自習課題の達成状況を20%として総合的に評価し、60点以上を合格とする。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
倫理学の概念と理論 |
功利主義倫理学・義務倫理学・徳倫理学について理解できる。
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2週 |
応用倫理学とは何か |
生命倫理と環境倫理の成立と意義について理解できる。
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3週 |
職業倫理とは何か(1) |
西洋における職業倫理の成立と意義について理解できる。
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4週 |
職業倫理とは何か(2) |
日本における職業倫理の成立と意義について理解できる。
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5週 |
技術者倫理とは何か |
技術者倫理成立の背景と意義について理解できる。
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6週 |
ビジネス倫理とは何か |
ビジネス倫理成立の背景と意義について理解できる。
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7週 |
専門職業人の行動規範 |
倫理綱領ないし倫理規定の成立と意義について理解できる。
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8週 |
専門職業人の三つの徳 |
正直性・真実性・信頼性について理解できる。
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2ndQ |
9週 |
事例への取り組み方 |
事例解決に必要な対処法(線引き法等)について理解できる。
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10週 |
専門職業人の責任の事例 |
公衆の安全に対する技術者の責任について理解できる。
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11週 |
内部告発に関する事例 |
組織における技術者の判断と行動について理解できる。
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12週 |
説明責任に関する事例 |
技術者の公衆への説明責任と信頼関係について理解できる。
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13週 |
安全性とコストの事例 |
コストと安全とのトレードオフについて理解できる。
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14週 |
製造物責任法の事例 |
技術者の安全への法的・倫理的責任について理解できる。
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15週 |
まとめ |
14週までを踏まえ、技術者の次世代への責任を説明できる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地理歴史的分野 | 民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。 | 4 | |
公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 4 | |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 4 | |
工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 4 | |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 4 | |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 4 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 4 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 4 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 4 | |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 4 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 4 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 4 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 4 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 4 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 4 | |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 4 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 4 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 4 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 4 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 4 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 4 | |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 4 | |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 4 | |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 4 | |
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。 | 4 | |
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。 | 4 | |
企業には社会的責任があることを認識している。 | 4 | |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 4 | |
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。 | 4 | |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 4 | |