化学通論Ⅱ

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 化学通論Ⅱ
科目番号 0030 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 国際創造工学科 電気・電子系 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 前期(有機化学分野)教科書:川端潤 著「ビギナーズ有機化学第2版」(化学同人); 後期(物理化学分野)教科書:特に指定しない 参考書:化学(数研出版)、セミナー化学基礎+化学(第一学習社)
担当教員 宮下 美晴,岩浪 克之

到達目標

1.描かれた有機化合物の構造式を見れば、化合物の三次元的な構造がわかるようにする。
2.基礎的な有機反応を有機電子論に立脚し、電子の巻き矢印を用い反応機構を示せるようにする。
3.分子軌道論の概略を習得する。
4.温度、圧力、組成(濃度)による気体や液体の性質の変化を理解し、その変化を定量的に扱えるようにする。
5.化学平衡に関する質量作用の法則、ルシャトリエの原理を理解し、平衡に関する定量的な計算ができるようにする。
6.反応速度が濃度や温度によりどのような影響を受けるかを理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1未知の有機化合物でも構造式を見れば三次元的な構造がわかる。講義で習った化合物について、構造式を見れば三次元的な構造がわかる。左記ができない。
評価項目2特定の官能基を有する有機化合物の性質を説明することができる。特定の官能基を有する有機化合物の性質を選択肢から選ぶことができる。特定の官能基を有する有機化合物の性質を選択肢から選ぶことができない。
評価項目3反応スキームを見れば、電子の巻き矢印を用いて反応機構をかける。講義で扱った反応であれば、電子の巻き矢印を用いて反応機構をかける。左記ができない。
評価項目4ボイルーシャルルの法則や理想気体の状態方程式を使って、気体の圧力 、体積、温度、物質量などを正しく計算できる。ボイルーシャルルの法則や理想気体の状態方程式を使って、気体の圧力 、体積、温度、物質量などを概ね計算できる。ボイルーシャルルの法則や理想気体の状態方程式を使って、気体の圧力 、体積、温度、物質量などを計算できない。
評価項目5混合気体の全圧、分圧を正しく計算できる。混合気体の全圧、分圧を概ね計算できる。混合気体の全圧、分圧を計算できない。
評価項目6Raoultの法則や溶液の束一的性質を理解して正しく説明できる。Raoultの法則や溶液の束一的性質を概ね説明できる。Raoultの法則や溶液の束一的性質を説明できない。
評価項目7化学平衡に関する質量作用の法則およびルシャトリエの原理を正しく説明できる。化学平衡に関する質量作用の法則およびルシャトリエの原理を概ね説明できる。化学平衡に関する質量作用の法則およびルシャトリエの原理を説明できない。
評価項目8反応速度を理解して正しく説明できる。反応速度を概ね説明できる。反応速度を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 前期は有機化学における有機化合物の構造、表記方法、官能基の持つ性質、有機電子論に立脚した有機反応、反応機構などを学ぶ。
 後期は物理化学における気体や液体の性質の定量的な扱い、化学反応(平衡)に関わる物質の量的変化、化学反応の速度などを学ぶ。
授業の進め方・方法:
 前期(有機化学分野)は教科書と板書を併用し進める。
 後期(物理化学分野)は補足資料を配布しつつ、スライドと板書を併用して講義を進める。
注意点:
 化学通論Ⅱは通年で行う科目であるが、前期は有機化学の分野を、後期は物理化学の分野を学び、その総合評価で合否が判定される。
 必要に応じて課題を課し、評価に加えるので必ず提出すること。
 毎回の授業後にはノート等を見直して復習すること。また、次回予定の内容に関して教科書や参考書を利用して予習すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・有機化学の基礎 有機化学の全体像について説明できる。
2週 化学結合と電子構造 結合の成り立ち、共有結合、混成軌道について説明できる。
3週 電子の動きと共鳴 電子の動きを理解して、共鳴を表記することができる。
4週 化合物の分類および命名 有機化合物の分類を理解して、簡単な化合物の命名ができる。
5週 シス-トランス異性と立体配座 構造式をもとにして構造式から化合物の3次元的把握ができる。
6週 キラル炭素と鏡像異性 構造式をもとにして構造式から化合物の3次元的把握ができる。
7週 (中間試験)
8週 有機化学反応の分類と進み方 有機化学反応の種類について理解して、反応の進み方について説明できる。
2ndQ
9週 ハロアルカンの求核置換反応 ハロアルカンの求核置換反応について説明できる。
10週 アルケンの求電子付加反応 アルケンの求電子付加反応について説明できる。
11週 ベンゼンの構造 ベンゼンの構造および芳香族性について説明できる。
12週 ベンゼンの求電子置換反応 ベンゼンの求電子置換反応について説明できる。
13週 カルボニル化合物と求核付加反応 カルボニル化合物と求核付加反応について説明できる。
14週 カルボン酸と誘導体 カルボン酸と誘導体の性質と反応について説明できる。
15週 (期末試験)
16週 総復習 前期分の総復習を行う。
後期
3rdQ
1週 Boyle-Charlesの法則 Boyle-Charlesの法則を理解する。
2週 状態方程式 気体定数、理想気体の状態方程式を理解する。
3週 演習Ⅰ 演習問題によりこれまで学習した内容の理解を深める。
4週 混合気体 気体の分圧と全圧を理解する。
5週 Raoultの法則 Raoultの法則、蒸気圧降下、沸点上昇を理解する。
6週 演習Ⅱ 演習問題によりこれまで学習した内容の理解を深める。
7週 (中間試験)
8週 化学平衡 可逆反応と不可逆反応、化学平衡の概念、質量作用の法則を理解する。
4thQ
9週 平衡定数とLe Chatelierの原理 濃度平衡定数、圧平衡定数、濃度・圧力・温度等の変化による平衡への影響を理解する。
10週 演習Ⅲ 演習問題によりこれまで学習した内容の理解を深める。
11週 反応速度とは 反応速度の定義、反応速度に影響する因子(濃度、温度、触媒など)、反応速度の濃度依存性、反応速度定数や反応次数の意味を理解する。
12週 一次反応の速度 一次反応における微分型速度式と積分型速度式を理解する。
13週 二次反応の速度 二次反応における微分型速度式と積分型速度式を理解する。
14週 演習Ⅳ 演習問題によりこれまで学習した内容の理解を深める。
15週 (期末試験)
16週 総復習 後期分の総復習を行う。

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力402060
専門的能力40040
分野横断的能力000