分析化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 分析化学Ⅰ
科目番号 0018 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 国際創造工学科 化学・生物・環境系 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:齋藤勝裕「わかる×わかった分析化学」(オーム社)
担当教員 澤井 光

到達目標

1.溶液の濃度、溶液pH、化学平衡定数などの基本的事項についての諸計算ができる。
2.基本的な計算力を応用して、酸塩基滴定や酸化還元滴定・沈殿重量分析の定量分析においてデータ解析ができ、物質量を求めることができる。
3.水溶液内における金属イオンの沈殿生成反応や錯体生成反応等の化学反応を理解し、化学反応式を正確に記述できる。
4.金属イオンの化学的性質を理解し、系統的な分離分析ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
溶液濃度濃度表現の単位換算が正確にできる。物質量と液量から指定された単位濃度の計算かできる物質量と溶液量から指定された単位濃度の計算が理解できない。
化学平衡定数複雑な化学反応式から平衡定数を計算できる。単純な化学反応式と平衡定数の関係が理解でき、平衡定数が求められる。化学反応式と平衡定数の関係が理解できず、計算ができない
水溶液のpH濃度、電離度、平衡定数とpHの関係を理解し、それらを用いて、水溶液のpHを求められる。水素イオン濃度とpHの関係を理解し、濃度、電離度を用いて水溶液のpHを計算できる。水素イオン濃度とpHの関係を理解できず、、濃度および電離度を用いて水溶液のpHを計算できない。
中和滴定分析法中和滴定の実験方法を理解し、実験結果から正確に目的の物質量を求めることができる。中和滴定の原理を理解し、酸と塩基の量的関係の計算ができる。中和滴定の原理を理解し、酸と塩基の量的関係の正確な計算ができない。
酸化還元滴定分析法酸化還元滴定の実験方法を理解し、実験結果から正確に目的の物質量を求めることができる。酸化還元滴定の原理を理解し、酸化剤と還元剤の量的関係の計算ができる。酸化還元滴定の原理が理解できず、酸化剤と還元剤の量的関係の計算ができない。
キレート滴定分析法キレート滴定の実験方法を理解し,実験結果から正確に目的の物質量を求めることができる。キレート滴定の原理を理解し、金属イオンとキレート試薬の量的関係の計算ができる。キレート滴定の原理が理解できず、金属イオンとキレート試薬の量的関係の計算ができない。
金属イオンの系統的定性分析金属イオンの性質を十分に理解し、沈殿試薬との化学反応式が書け、複雑な混合イオン溶液においても系統的な分離法を示すことができる。金属イオンの性質を理解し、沈殿試薬との化学反応式が書け、単純な混合イオン溶液においても系統的な分離法を示すことができる。金属イオンの性質を理解不足で、沈殿試薬との化学反応式が書けず、単純な混合イオン溶液においても系統的な分離法を示すことができない
沈殿重量分析法沈殿重量分析法の原理を十分に理解し、異なった実験法の実験データから計算ができる。沈殿重量分析法の原理を理解し、特定の実験法の実験データから計算ができる。沈殿重量分析法の原理が理解不足で、簡単な実験法の実験データから計算ができない。
沈殿平衡難溶性塩の沈殿平衡を十分に理解し、溶解度積や共存イオン濃度に基づいて沈殿の溶解度を計算できる。難溶性塩の沈殿平衡を理解し、溶解度積に基づいて単純な沈殿の溶解度を計算できる。難溶性塩の沈殿平衡について理解不足で、溶解度積に基づいて沈殿の溶解度を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
分析化学に必要な基礎的な化学の知識を復習し、その知識を使って行われる中和滴定法や酸化還元滴定法の原理を理解し、実際に行われる分析法を学ぶ。そして、実験結果から得られる数値データを用いて計算する方法を理解する。
金属イオンの化学的性質や特定の試薬との反応性を学び、その知識を用いて混合している金属イオンを系統的に分離分析する方法について学ぶ。併せて金属イオンと試薬との化学反応式を作成できるようにする。
授業の進め方・方法:
授業は教科書および配布資料を用いて行い,授業の進度に合わせて配布する演習問題プリントを適時解きながら進める。授業内容は物質工学実験Ⅰの内容とリンクしており,講義内容を実験で理解しながら進めるので,予習・復習を十分に行うこと。
注意点:
第1学年において学んだ化学の内容を十分に復習しておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 溶液の濃度と計算 モル濃度、%濃度など濃度計算方法について理解する。
2週 化学平衡
化学平衡とは何かの概念について理解する。
3週 化学平衡定数 質量作用の法則と平衡定数の計算方法について理解する。
4週 弱酸・弱塩基の電離平衡
酸と塩基の化学平衡と電離定数を用いた計算方法について理解する。
5週 酸・塩基とpH
溶液の酸性・塩基性について・溶液のpHの計算方法について理解する。
6週 塩溶液の液性 中和反応において生成した塩に関して、中性の塩・酸性の塩・塩基性の塩になる理論を理解する。
7週 中間試験
8週 中和滴定法について 中和反応とは何か、その本質と滴定という分析法について理解する。
2ndQ
9週 中和滴定曲線
酸と塩基の化学反応による溶液のpH変化について理解する。
10週 中和滴定の実際と計算(1)
中和滴定の実際の方法・実験結果からの計算方法を理解する。
11週 中和滴定の実際と計算(2)
同上
12週 中和滴定の実際と計算(3)
同上
13週 酸化と還元について
酸化・還元反応と電子のやりとり・酸化数の概念について理解する。
14週 酸化還元反応と反応式
電子のやりとりに基づく酸化還元反応式の作成方法について理解する。
15週 期末試験
16週 総復習 前期に学んだ水溶液内の化学反応と平衡の概念を復習し,それらを利用した定量分析の手法について確認する。
後期
3rdQ
1週 酸化還元滴定法の実際とその計算(1)
酸化還元滴定の諸方法について学び、実験結果からの計算方法を理解する。
2週 酸化還元滴定法の実際とその計算(2)
同上
3週 キレート滴定の実際とその計算
キレート滴定の方法と原理について学び,実験結果からの計算方法を理解する。
4週 金属イオンの定性分析(第1属) 第1属の銀・鉛・水銀の各イオンの性質について各試薬との反応性を理解する。
5週 金属イオンの定性分析(第2属その1)
第2属(銅族)の銅・カドミウム・ビスマスの各イオンの性質について各試薬との反応性を理解する。
6週 金属イオンの定性分析(第2属その2)
第2族(スズ族)のスズ・ヒ素・アンチモン・水銀の各イオンの性質について各試薬との反応性を理解する。
7週 中間試験
8週 金属イオンの定性分析(第3属)
第3属の鉄・アルミニウム・クロムの各イオンの性質について各試薬との反応性を理解する。
4thQ
9週 金属イオンの定性分析(第4属)
第4属の亜鉛・ニッケル・コバルト・マンガンの各イオンの性質について各試薬との反応性を理解する。
10週 金属イオンの定性分析(第5・6属)
第5属のバリウム・カルシウム・ストロンチウム、第6属のナトリウム、カリウム、マグネシウムの各イオンの性質について各試薬との反応性を理解する。
11週 沈殿重量分析法について 重量を測定して物質量を測定する定量分析法について理解する。
12週 沈殿重量分析の実際とその計算 重量を測定して物質量を測定する定量分析法について,実験結果からの計算方法を理解する。
13週 沈殿平衡 難溶性塩の沈殿生成と溶解に関する化学平衡について学ぶ。
14週 溶解度積と溶解度 難溶性塩の溶解度積と溶解度の関係を学ぶ。
15週 期末試験
16週 総復習 酸化還元反応やキレート生成反応について理論を復習するとともに,金属塩の沈殿の生成・分離と溶解平衡の関係を確認する。

評価割合

試験発表相互評価態度レポートその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力0000000
専門的能力80000200100
分野横断的能力0000000