有機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 有機化学Ⅰ
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 国際創造工学科 化学・生物・環境系 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 教科書:「有機化学 改訂第2版」奥山格、石井昭彦、箕浦真生(丸善出版)。加えて適宜参考書を紹介する。分子模型:HGS分子模型を購入することを強く勧める。
担当教員 小林 みさと

到達目標

1.原子軌道、混成軌道がどのようなものか説明でき、それが共有結合を形成し有機分子が成り立っていることがわかる。
2.有機分子のひずみと、それが立体的な三次元構造に与える影響がわかる。
3.共役とは何かが説明でき、共鳴法によって共役が表せる。
4.有機化学反応の基礎として重要である酸・塩基について説明できる。
5.巻矢印を用いて、重要な有機反応の反応機構が書ける。
6.主要な有機反応の生成物の構造式が書ける。
7.分子のキラリティーが何かがわかり、キラルとアキラルなものに分類できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子軌道、混成軌道がどのようなものか正しく説明でき、分子の構造を分子軌道を用いて説明できる。原子軌道が混成して混成軌道が成り立っていることが説明でき、二種類の共有結合の違いがわかる。また分子の図を見て、結合の種類がわかる。原子軌道、混成軌道がどのようなものか説明できない。
評価項目2アルカンの立体配座とねじれひずみ、シクロアルカンの安定な立体配座について正しく説明できる上に、様々な有機分子の安定な立体構造が予想できる。アルカンの立体配座とねじれひずみ、シクロアルカンの安定な立体配座について説明ができる。アルカンの立体配座とねじれひずみ、シクロアルカンの安定な立体配座について説明ができない。
評価項目3共役とはなにかが説明でき、共役系はなぜ安定なのかが正しく説明できる。また、授業で取り上げない共鳴寄与式も、自分で予想してかくことができる。共役とはなにかが説明でき、その安定性について理解できる。共鳴寄与式がかける。共役とは何かが説明できない。共鳴法によって共役が表せない。
評価項目4酸塩基反応が完成でき、酸と塩基の共役関係を正しく示すことができる。物質の酸性度の序列を示すことができ、その序列になる理由を説明することができる。酸塩基反応が完成でき、酸と塩基の共役関係を示すことができる。物質の酸性度の序列を示すことができる。酸塩基反応が完成できず、酸と塩基の共役関係を示すことができない。物質の酸性度の序列を示すことができない。
評価項目5授業で扱わない反応も、巻矢印を用いた反応機構を予想することができる。授業で取り上げた反応について、巻矢印を用いて、反応機構を説明することができる。巻矢印を用いて、反応機構を示すことができない。
評価項目6主要な有機反応の生成物の構造式が正しくかけ、関連反応の生成物も予想することができる。主要な有機反応の生成物の構造式が書ける。主要な有機反応の生成物の構造式がかけない。
評価項目7エナンチオマー、ジアステレオマー、メソ化合物、ラセミ体について正しく説明でき、具体例が挙げられる。分子のキラリティーが何かがわかり、キラルとアキラルなものに分類できる。分子のキラリティーが何かわからず、キラルとアキラルなものに分類できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機物質は自然界に存在する基本的な構成要素であり、石油から医薬品、生物に至るまで膨大な化合物群を構成している。これらの基礎的な化合物群を理解できるよう、2年次、4年次の有機化学で展開する内容と併せて学習することにより、無理なく体系的に理解できるようにしている。3年生で実施する物質工学実験Ⅰ(有機化学実験)とも関連し、有機化学に対する理解を深めている。
授業の進め方・方法:
スライドおよびプリントを用いた講義形式で行う。学生の理解力確認および内容定着のために課題を課す。また、講義中に学生に発問することがある。主体的に講義に参加してもらいたい。
毎回の講義後には、該当箇所周辺を参考書・専門書で確認し自己学習をすること。およびプリントや講義中とったメモ、自己学習した内容をノートにまとめること。そのようにして自分だけの教科書をつくることを切望してやまない。
この一連の講義を通じ、自力で参考書や専門書を読破できる基礎力を身に着けてもらいたい。
質問はオフィスアワーに限らず、随時受け付ける。
注意点:
口頭説明などもプリントなどに必ずメモすること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 分子のかたちと混成軌道 原子軌道の形、分子軌道、混成軌道について説明ができる。混成軌道を用い物質の形が説明できる。分子軌道を用いてσ結合とπ結合が説明ができる。
2週 共役と電子の非局在化 (1) 共役とは何かが説明できる。共鳴寄与式がかける。
3週 共役と電子の非局在化 (2) 芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。
4週 酸と塩基 (1) pKa と酸性度の関係について説明ができる。
5週 酸と塩基 (2) 酸性度の序列に化合物を並べることができ、そうなる理由を説明できる。
6週 カルボニル基への求核付加反応 (1) カルボニル基の性質がわかる。カルボニルと求核剤の反応の生成物の構造式がかける。
7週 中間試験
8週 カルボニル基への求核付加反応 (2) カルボニル基と求核剤の反応の反応機構がかける。
2ndQ
9週 カルボン酸誘導体の求核置換反応 (1) カルボン酸とその誘導体の命名が正しくできる。
10週 カルボン酸誘導体の求核置換反応 (2) カルボン酸とその誘導体の反応性の序列がわかる。カルボン酸誘導体の一般的な反応形式がわかる。
11週 カルボン酸誘導体の求核置換反応 (3) カルボン酸誘導体の合成と反応の、生成物の構造式がかける。
12週 カルボン酸誘導体の求核置換反応 (4) カルボン酸誘導体の合成と反応の、生成物の構造式がかける。
13週 立体配座と分子のひずみ (1) 分子のひずみからアルカンの立体配座が予測できる。
14週 立体配座と分子のひずみ (2) シクロアルカンの立体構造が予測できる。
15週 期末試験
16週 総復習 総合課題で間違えた問題を自分で解けるようにする。
後期
3rdQ
1週 立体化学 (1) 構造異性体と鏡像異性体の違いが説明できる。
2週 立体化学 (2) R, S命名法が正しくかける。ジアステレオマー、メソ化合物について説明ができる。
3週 ハロゲン化アルキル (1) ハロゲン化アルキルの求核置換反応 SN1 と SN2 の反応について説明できる。
4週 ハロゲン化アルキル (2) ハロゲン化アルキルの求核置換反応 SN1 と SN2 の反応について説明できる。
5週 ハロゲン化アルキル (3) ハロゲン化アルキルの脱離反応の生成物の構造式がかける。
6週 アルケンとアルキンへの付加反応 (1) アルケンへの求電子付加反応の位置選択性と立体化学がわかる。
7週 中間試験
8週 アルケンとアルキンへの付加反応 (2) 付加反応のメカニズムがわかる。種々の求電子剤との反応の生成物がわかる。
4thQ
9週 芳香族求電子置換反応 (1) ベンゼン誘導体のハロゲン化、ニトロ化、Friedel-Crafts反応の生成物の構造式がかける。
10週 芳香族求電子置換反応 (2) 置換基による求電子置換の配向が説明できる。
11週 エノラートイオンとその反応 (1) ケト-エノール互変異性について説明できる。
12週 エノラートイオンとその反応 (2) エノラートイオンとは何かが説明できる
13週 エノラートイオンとその反応 (3) アルドール反応の生成物の構造式がかける。
14週 ペリ環状反応入門 Diels-Alder反応の生成物の構造式がかける。
15週 期末試験
16週 有機化学Ⅰの総括 有機化学Ⅰ全般の問題に関して解けるようになる。

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000