機器分析

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 機器分析
科目番号 0034 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 国際創造工学科 化学・生物・環境系 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:加藤、内山、鈴木共著「基礎からわかる機器分析」(森北出版)、 参考書:保母、小熊 編著「理工系 機器 分析の基礎」(朝倉書店)、庄野、脇田編著「入門機器分析化学」(三共)、Silversteinら著、荒木ら訳「有機化合物 のスペクトルによる同定法」(東京化学同人)
担当教員 岩浪 克之

到達目標

<前期>①各機器の利用法について、概要を理解できるようになること。②機器を用いた分析法の基本概念である「直線性」について理解できるようになること。③物質の存在量と機器の出力との直線関係(検量線)から、未知濃度を求める概念を理解できるようになること。
<後期>①各種スペクトルの概要と原理を理解できること。②各種スペクトルから得られる構造決定に関する基本的な情報を理解できること。③未知試料に関する各種スペクトルから、その化合物の構造決定に活かすことができること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各機器の概要と、それから得られる情報をしっかり理解することができる。各機器の概要と、それから得られる基本的な情報を理解できる。各機器の概要も、それから得られる基本的な情報も理解できない。
評価項目2機器を用いた定性・定量法の概念をしっかりと理解することができる。機器を用いた定性・定量法の基本概念を理解することができる。機器を用いた定性・定量法の基本概念を理解することができない。
評価項目3各種スペクトルの解析を行え、有機化合物を同定することができる。各種スペクトルの解析を行え、有機化合物を同定に活かすことができる。各種スペクトルの解析を行うことができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
前期は、主に機器を用いた定性・定量分析法について解説する。また、その共通手法である検量線法を含め、機器分析の基礎力の養成を図る。
後期は、有機化合物の可視・紫外吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルの一般論を解説し、各種スペクトルと分子構造の関係を説明する。また、有機未知試料のこれらのスペクトルから、その化合物の構造決定を行う方法を解説する。
授業の進め方・方法:
授業は主に黒板による板書で行う。授業内容の理解に繋げるため、資料配付も行う。
注意点:
機器分析は、有機,無機をはじめ化学全般の基礎であり,実際に広い分野で利用される応用化学である。4年生以降で選択する専門分野に関係なく、しっかりと理解し、各自の専門分野で活かして欲しい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 機器分析の概要(1) 化学分析と機器分析の違い、機器分析の特徴について理解する。
2週 機器分析の概要(2) 検量線法などの定量法の基本概念を理解する。
3週 吸光光度分析法(1) 波長による光の区分と機器分析法の分類について理解する。
4週 吸光光度分析法(2) Lambert-Beer則とその式の内容について理解する。
5週 吸光光度分析法(3) 可視吸収スペクトル法の光吸収原理と、その定性・定量法について理解する。
6週 吸光光度分析法(4) 紫外吸収スペクトル法の原理と共役二重結合との関係について理解する。
7週 (中間試験)
8週 吸光光度分析法(5) 赤外吸収スペクトル法の原理について理解する。
2ndQ
9週 吸光光度分析法(6) 赤外吸収スペクトルの測定法について理解する。
10週 蛍光分析法(1) 蛍光分析の原理を理解する。
11週 蛍光分析法(2) 蛍光分析の応用、長所、短所について理解する。
12週 原子吸光分析法 原子スペクトルおよびフレーム、フレームレス原子吸光について理解する。
13週 クロマトグラフィー(1) クロマトグラフィーの分類と原理を理解する。
14週 クロマトグラフィー(2) ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーの原理を理解する。
15週 (期末試験)
16週 総復習 機器を用いた定性法・定量法の総まとめとして復習する。
後期
3rdQ
1週 1.有機化合物の体系 官能基による有機化合物の大まかな分類について理解する。
2週 2.定性実験による有機物の構造決定 C=C検出法、CHO検出法、ヨードホルム試験、ルーカス試薬について理解する。
3週 3.可視・紫外吸収スペクトル
(1)スペクトルの概要
共役二重結合と分子軌道法による取り扱いについて理解する。
4週 (2)得られる構造情報 共役系の長さと第1吸収帯の吸収極大との関係について理解する。
5週 4.赤外吸収スペクトル
(1)スペクトルの概要
分子の振動エネルギー準位、振動モード、官能基の特性吸収帯について理解する。
6週 (2)得られる構造情報と演習 有機化合物の構造と赤外スペクトルの吸収パターンについて理解する。
7週 (中間試験)
8週 5.核磁気共鳴スペクトル
(1)スペクトルの概要
核磁気共鳴の原理、化学シフト、積分値、スピン結合について理解する。
4thQ
9週 (2)得られる構造情報 いろいろな有機化合物の核磁気共鳴スペクトル解析について理解する。
10週 (3)理論的取り扱い 高磁場・低磁場、電子密度と化学シフト、環電流効果、スピン結合について理解する。
11週 (4)演習問題 いろいろな有機化合物の核磁気共鳴スペクトルの予想パターンについて理解する。
12週 6.質量スペクトル 分子イオンピーク、窒素ルール、同位体ピーク、フラグメントピークについて理解する。
13週 7.スペクトルによる構造決定
(1)有機構造決定法のまとめと演習
有機構造決定法の作業手順について理解する。
14週 (2)演習問題 実際のスペクトルによる有機構造決定法について理解する。
15週 (期末試験)
16週 総復習 後期分期末試験の解説と、これまでの総復習を行う。

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力700000070
専門的能力300000030
分野横断的能力0000000