物質工学実験Ⅰ(有機)

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物質工学実験Ⅰ(有機)
科目番号 0038 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 国際創造工学科 化学・生物・環境系 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 教科書:茨城高専物質工学科編「有機化学実験テキスト」   参考書:奥山格監修「有機化学」(丸善)、マクマリー「有機化学概説」(東京化学同人)
担当教員 宮下 美晴,岩浪 克之

到達目標

1.実験装置・器具・情報機器等を利用して目的を達成する手法を理解・修得する。
2.実験・演習を通じて工学の基礎に係わる知識を理解する。
3.実験から得られたデータや演習内容について工学的に考察し説明・説得できる。
4.自らの考えを論理的に記述することができる。
5.実験内容について討議やコミュニケーションをすることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
装置・器具・機器等を正確かつ安全に操作し、有機合成実験に必要な単位操作を身に付け、目的の実験を行うことができる。装置・器具・機器等を操作して目的の有機化学反応を行うことができる。装置・器具・機器等を適切に操作できず、目的の有機化学反応を行うことができない。
実験・演習を通して、講義で学んだ有機合成反応の反応機構や実験上の注意点に関して理解を深め、その反応を説明できる。実験・演習を通して、講義で学んだ有機合成反応について理解を深め、その反応を概ね説明できる。実験・演習を通して、講義で学んだ有機合成反応について理解を深めることができず、その反応を説明できない。
実験から得られたデータや演習内容について、妥当性を確かめながら工学的に考察し、説明できる。実験から得られたデータや演習内容について考察し概ね説明できる。実験から得られたデータや演習内容について考察し説明できない。
適切な文献等を参考にしながら、自らの考えを論理的に記述することができる。自らの考えを概ね論理的に記述することができる。自らの考えを論理的に記述することができない。
実験内容に関する自らの考えを論理的に述べながら、討議やコミュニケーションをすることができる。実験内容に関する討議やコミュニケーションをすることができる。実験内容に関する討議やコミュニケーションをすることができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (C) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機化学の基本的な操作・技術を習得するとともに、有機合成反応について理解を深める。また、各種分離操作により反応生成物を単離する方法、および、各種測定機器により化合物の同定を行う方法も理解する。
授業の進め方・方法:
2人から3人を1グループとして実験を行う。5つの有機合成反応をとりあげる。途中で、実験内容に関するディスカッションを実施する。実験を実施する前に、実験の目的、使用する試薬・器具、実験操作、等をまとめたプレレポートを提出する。実験終了後は、プレレポートの内容に加え、結果、考察等を記述したレポートを提出する。
注意点:
事前に実験テキストを熟読し、各実験テーマの目的と内容を十分理解して実験に臨むこと。実験実施後は、参考書等を活用して実験内容を十分に理解すること。安全のため、保護メガネおよび白衣は必ず持参し、ヒールの高い靴や滑りやすい靴は着用しないこと。なお、本実験は無機化学実験と対をなし、クラスの半数は前期に有機化学実験を、後期に無機化学実験を行い、残り半数は前期に無機化学実験を、後期に有機化学実験を行う。成績は無機化学実験と総合で評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス1 有機化学実験における安全、レポートの書き方、レポート提出方法、ディスカッション方法、などを理解する。
2週 ガイダンス2 ガラス器具の名称と取り扱い方、ならびに、ガラス器具を使った反応装置の組み立て方の基礎を理解する。
3週 エチルアセテートの合成1 エステル合成実験を通して、化学平衡反応や触媒の働きを理解する。分液ロートによる抽出・洗浄、乾燥剤による(液体の)乾燥、等の操作を習得する。
4週 エチルアセテートの合成2 ひだ付ろ紙によるろ過、常圧蒸留による精製を習得する。収率の計算ができるようになる。
5週 o-ニトロフェノールの合成1 ニトロ化反応により、フェノールの反応性や、反応に及ぼす温度の影響、等を理解する。水蒸気蒸留、吸引ろ過の操作を習得する。
6週 o-ニトロフェノールの合成2 TLCによって反応の進行を確認する方法を習得する。融点測定による生成物の同定を習得する。収率の計算ができる。
7週 ディスカッション1 エチルアセテート合成実験、o-ニトロフェノール合成実験に関する討議を行い、実験内容の重要項目に関する理解を深める。
8週 Friedel-Crafts反応によるアセトフェノン誘導体の合成1 芳香族の反応性、無水塩化アルミニウムの働きを理解する。また、有害ガス(HCl)発生の対策、分液ロートによる抽出・洗浄、乾燥剤による乾燥を習得する。
2ndQ
9週 Friedel-Crafts反応によるアセトフェノン誘導体の合成2 エバポレーターを使った溶媒除去、TLC操作、収率の計算を習得する。
10週 Grignard試薬を用いての2-フェニルヘキサン-2-オールの合成1 Grignard試薬の合成、および、Grignard試薬を用いたカルボニル化合物からのアルコール合成を理解する。加熱還流による反応を習得する。
11週 Grignard試薬を用いての2-フェニルヘキサン-2-オールの合成2 減圧蒸留による精製を習得する。収率の計算ができる。
12週 水素化ホウ素ナトリウムを用いたヒドロベンゾインの合成1 還元剤を用いたカルボニル化合物の還元を理解する。加熱還流操作を習得する。再結晶による精製を習得する。
13週 水素化ホウ素ナトリウムを用いたヒドロベンゾインの合成2 TLCによる分析、顕微鏡による結晶の観察、収率の計算を習得する。
14週 ディスカッション2 アセトフェノン誘導体合成実験、2-フェニルヘキサン-2-オール合成実験、ヒドロベンゾイン合成実験に関する討議を行い、実験内容の重要項目に関する理解を深める。
15週 総まとめ 各実験で学んだこと、および反省点などを述べることができる。
16週
後期
3rdQ
1週
2週
3週
4週
5週
6週
7週
8週
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

評価割合

取組状況レポート合計
総合評価割合5050100
基礎的能力000
専門的能力5050100
分野横断的能力000