物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0043 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 国際創造工学科 化学・生物・環境系 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:秋貞英雄,井上亨,杉原剛介「化学熱力学中心の基礎物理化学」(学術図書出版社)  教科書:セミナー化学基礎+化学(第一学習社)
担当教員 依田 英介

到達目標

1.理想気体や実在気体の状態方程式を用いて正しく計算ができる。
2.束一的性質を説明でき、蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下、浸透圧より、溶質の分子量を正しく計算できる。
3.化学平衡について理解し、気体反応についても平衡計算ができるようにする。
4.反応速度が温度や濃度によりどのような影響を受けるかを理解し、簡単な反応について解析ができるようにする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.理想気体や実在気体の状態方程式を用いて正しく計算ができる。理想気体の方程式において、圧力、体積の単位を気体定数にあわせて正しく計算できる。理想気体の方程式において、圧力、体積の単位を気体定数にあわせなければならないことを理解している。理想気体の方程式において、圧力、体積の単位を気体定数にあわせなければならないことを理解していない。
1.理想気体や実在気体の状態方程式を用いて正しく計算ができる。実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。実在気体の特徴と状態方程式を理解している。実在気体の特徴と状態方程式を理解していない。
2.束一的性質を説明でき、蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下、浸透圧より、溶質の分子量を正しく計算できる。Raoultの法則を理解し、蒸気圧降下より、溶質のモル質量等を計算できる。蒸気圧降下より、溶質のモル質量等を計算できることを理解している。蒸気圧降下より、溶質のモル質量等を計算できることを理解していない。
2.束一的性質を説明でき、蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下、浸透圧より、溶質の分子量を正しく計算できる。沸点上昇、凝固点降下と浸透圧より、溶質のモル質量等を計算できる。沸点上昇、凝固点降下と浸透圧より、溶質のモル質量等を計算できることを理解している。沸点上昇、凝固点降下と浸透圧より、溶質のモル質量等を計算できることを理解していない。
3.化学平衡について理解し、気体反応についても平衡計算ができるようにする。平衡定数を濃度や圧力で表すことができ、ルシャトリエの法則を説明できる。平衡定数を濃度や圧力で表すことができ、ルシャトリエの法則を理解している。平衡定数を濃度や圧力で表すことができず、ルシャトリエの法則を理解していない。
3.化学平衡について理解し、気体反応についても平衡計算ができるようにする。平衡移動の量的関係を理解し、平衡移動における濃度等の変化を計算できる。平衡移動の量的関係や、平衡移動における濃度等の変化を計算できることを理解している。平衡移動の量的関係を理解しておらず、平衡移動における濃度等の変化を計算できない。
4.反応速度が温度や濃度によりどのような影響を受けるかを理解し、簡単な反応について解析ができるようにする。反応速度定数、反応次数の概念を理解して、微分形速度式を立てることができる。反応速度定数、反応次数の概念をや、微分形速度式を理解している。反応速度定数、反応次数の概念を理解しておらず、微分形速度式を立てることができない。
4.反応速度が温度や濃度によりどのような影響を受けるかを理解し、簡単な反応について解析ができるようにする。連続反応、可逆反応、併発反応、定常状態近似等を説明できる。連続反応、可逆反応、併発反応、定常状態近似等を理解している。連続反応、可逆反応、併発反応、定常状態近似等を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
気体や液体の性質を定量的に取り扱ったり、化学反応において、反応に関わる物質の量がどのように変化するかを学ぶ。さらに、化学反応の速度について、その定義、式の誘導、反応機構との関係等を学ぶ。
授業の進め方・方法:
板書による講義形式を中心に授業を進めていく。
教科書(セミナー化学を含む)の演習問題を解くことがあるので、教科書や電卓は必ず授業開始前に用意しておくこと。
タブレット(スマートフォン)やノートパソコンを使用することがあるので、使えるように準備しておくこと。
注意点:
法則や式自体は簡単なものが多いが、それらを使いこなせなければ意味がない。式や法則がどのように導かれたのかを理解した上で、正しく使える(計算できる)ようにして欲しい。
講義ノートの内容を見直し、講義に関係する例題・演習問題を解いておくこと。
化学反応速度では、簡単な微分・積分を使うので、復習しておくこと。
電卓の使用可。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション 前期の授業の流れを理解する。
2週 単位と有効数字 SI基本単位、SI誘導単位を理解する。常用単位とSI単位間の換算をできるようにする。有効数字を理解する。
3週 ボイルの法則、シャルルの法則 ボイルの法則、シャルルの法則を理解する。ボイルの法則の温度変化、シャルルの法則の圧力変化を理解する。
4週 理想気体の状態方程式  理想気体の方程式において、圧力、体積の単位を気体定数にあわせて正しく計算できるようにする。
5週 理想混合気体 Daltonの分圧の法則、モル分率を理解し、混合気体の分圧の計算ができるようにるする。
6週 実在気体の状態方程式 分子間引力、排除体積を理解し、van der Waalsの状態方程式を理解する。圧縮因子を理解する。
7週 (中間試験)
8週 臨界現象と臨界点近傍の特徴 臨界現象と臨界点近傍の特徴を理解する。相応状態を理解する。
2ndQ
9週 気体分子運動論 気体分子の運動モデルから圧力を定義して、理想気体の方程式を説明できる。
10週 分子の速度とGrahamの法則 根平均2乗速度とGrahamの法則を理解し、計算できる。
11週 純物質の物理的性質 純物質の状態図と蒸気圧曲線を理解する。相律の定義を理解して、自由度を計算できる。蒸気圧降下を理解し、溶質のモル質量等を計算できる。
12週 混合物の物理的性質 Raoultの法則、理想溶液を理解し、混合溶液の液体・気体組成を算出できる。2成分の状態図と、気液平衡を理解する。
13週 沸点上昇 沸点上昇を理解し、溶質のモル質量等を計算できる。
14週 凝固点降下、浸透圧 冷却曲線、凝固点降下を理解し、溶質のモル質量等を計算できる。浸透を理解し、溶質のモル質量等を計算できる。溶液の束一的性質を理解する。
15週 (期末試験)
16週 総復習 前期の重要ポイントを理解する。
後期
3rdQ
1週 可逆反応と化学平衡 可逆反応と不可逆反応、化学平衡の概念を理解する。
2週 平衡定数の表し方 平衡定数を濃度や圧力で表すことができる。
3週 ルシャトリエの原理 濃度や圧力、温度変化による平衡の移動を説明できる。
4週 平衡の量的関係 反応開始時と平衡時の濃度から平衡定数を計算できる。解離度を理解し、平衡定数等を計算できる。
5週 濃度平衡定数と圧平衡定数 濃度平衡定数と圧平衡定数の関係を理解する。
6週 特に名前のついている平衡定数 酸・塩基解離定数、溶解度積を理解し、濃度やpHの計算ができる。
7週 (中間試験)
8週 化学反応速度の表し方と実験的決定法 反応速度の定義、反応速度に影響する因子を理解する。反応速度の実験的決定法を理解する。
4thQ
9週 速度式と反応次数 素反応を理解する。反応速度の濃度依存性を理解し、微分形速度式を立てることができる。反応次数を求めることができる。
10週 1次反応 1次反応の微分形速度式から、積分形速度式を導出できる。
11週 2次反応 1種類の分子による2次反応の微分形速度式から、積分形速度式を導出できる。2種類の分子による2次反応の微分形速度式から、積分形速度式を導出できる。
12週 半減期 1次反応と2次反応の半減期を求めることができる。
13週 擬1次反応、反応速度の温度依存性 擬1次反応を理解する。アレニウスの式、活性化エネルギー、頻度因子を理解する。
14週 一連の反応の速度式 可逆反応や逐次反応の素反応の速度式を立てることができるようになり、積分形速度式の求め方を理解する。律速段階を理解し、定常状態近似を理解する。
15週 (期末試験)
16週 総復習 後期の重要ポイントを理解する。

評価割合

試験小テスト・宿題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000