物理化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理化学Ⅱ
科目番号 0060 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 国際創造工学科 化学・生物・環境系 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:秋貞英雄他「化学熱力学中心の基礎物理化学」(学術図書出版社)  参考書:渡辺啓「化学熱力学」(サイエンス社)
担当教員 宮下 美晴

到達目標

1.熱力学第一法則、熱容量、内部エネルギー、エンタルピーの定義と適用方法を説明でき、内部エネルギー変化やエンタルピー変化を計算できる。
2.気体の等温、定圧、定容、および断熱変化におけるエネルギーの出入りを計算できる。
3.熱力学第二法則、第三法則の定義と適用方法を説明でき、エントロピー変化を計算できる。
4.自由エネルギー変化の計算ができる。また、自由エネルギーと平衡定数の関係を説明でき、自由エネルギー変化から平衡定数およびその温度依存性を計算できる。
5.電池の起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係を説明でき、それらを計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
熱力学第一法則、熱容量、内部エネルギー、エンタルピーの定義と適用方法を説明でき、それを利用して、状態変化や化学反応に伴う内部エネルギー変化とエンタルピー変化を計算できる。熱力学第一法則、熱容量、内部エネルギー、エンタルピーの定義と適用方法を概ね説明でき、内部エネルギー変化とエンタルピー変化を概ね計算できる。熱力学第一法則および熱容量を定義できず、内部エネルギー変化とエンタルピー変化の計算ができない。
気体の等温、定圧、定容、断熱変化における仕事、熱の出入りならびに内部エネルギー変化、エンタルピー変化を計算できる。気体の等温、定圧、定容、および断熱変化における仕事、熱、内部エネルギー変化を概ね計算できる。気体の等温、定圧、定容、および断熱変化におけるエネルギーの出入りを計算できない。
熱力学第二法則、第三法則の定義と適用方法を説明でき、それを利用して、状態変化や化学反応に伴うエントロピー変化を計算できる。熱力学第二法則、第三法則の定義と適用方法を概ね説明でき、エントロピー変化を概ね計算できる。熱力学第二法則、第三法則の定義ができず、エントロピー変化の計算ができない。
状態変化や化学反応に伴う自由エネルギー変化を計算できる。自由エネルギーと平衡定数の関係を説明できる。自由エネルギー変化から平衡定数およびその温度依存性を計算できる。自由エネルギー変化を概ね計算できる。自由エネルギーと平衡定数の関係を概ね理解し、計算できる。自由エネルギー変化の計算ができない。自由エネルギーと平衡定数の関係を説明できない。
電池の起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係を説明でき、それらを相互に計算できる。電池の起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係を概ね説明できる。電池の起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
熱力学第一法則、第二法則、第三法則を中心に、化学熱力学の基本を学ぶ。仕事、熱、内部エネルギー、エンタルピー、エントロピー、自由エネルギーといった熱力学の基本概念を用い、種々の変化・反応を、エネルギーの出入りという観点から理論的に解釈できるようにする。
授業の進め方・方法:
講義を中心に授業を行う。まず、熱力学の考え方について黒板やスライドを用いて説明する。その後、学んだ内容に関連する演習を行い、解法を解説する。毎回、授業内容に関する課題を課す。
注意点:
基本的な計算、微分積分は物理化学を学ぶ上で必要なので、理解していること。
演習、課題のために計算が必要となるので電卓を携行すること。
毎回の授業後には、ノートの内容や教科書の対応部分を見直して復習すること。また、次回予定の内容に関して教科書や参考書を利用して予習すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 いろいろな系 エネルギーおよび物質の出入りの観点からの系の分類について説明できる。
2週 熱力学第一法則 熱力学第一法則の定義と適用方法を説明できる。また、この法則に基づいて、熱、仕事、内部エネルギーの関係を説明できる。
3週 理想気体の等温膨張・圧縮1 一定外圧下での理想気体の等温膨張・圧縮における、仕事、熱、内部エネルギー変化を計算できる。
4週 理想気体の等温膨張・圧縮2 理想気体の等温可逆的な膨張・圧縮における、仕事、熱、内部エネルギー変化を計算できる。
5週 ジュールの法則 ジュールの法則の定義と適用方法を説明できる。
6週 熱容量とエンタルピー 熱容量およびエンタルピーの定義と適用方法を説明できる。熱容量を用いてエンタルピー変化と内部エネルギー変化を計算できる。
7週 中間試験
8週 マイヤーの関係式 マイヤーの関係式の導出を理解し、その式の適用方法を説明できる。
2ndQ
9週 エネルギー等分配則 分子の運動の自由度と内部エネルギーの関係を理解し、エネルギー等分配則について説明できる。また、それに基づいて、理想気体の熱容量について説明できる。
10週 理想気体の断熱変化1 ポアッソンの式を使って、理想気体の断熱可逆変化に伴うエネルギーの出入りを計算できる。
11週 理想気体の断熱変化2 理想気体の断熱不可逆的な変化に伴うエネルギーの出入りを計算できる。
12週 反応熱 定圧下および定積下での反応熱(化学反応に伴うエンタルピー変化と内部エネルギー変化)の違いを理解し、それらを計算できる。
13週 標準生成エンタルピーとヘスの法則 標準生成エンタルピーおよびヘスの法則を説明でき、それらを利用して化学反応に伴うエンタルピー変化を計算できる。
14週 反応熱の温度依存性 種々の温度における反応熱を計算できる。
15週 期末試験
16週 前期の復習 前期に学習した内容のまとめと復習
後期
3rdQ
1週 熱力学第二法則1 熱力学第二法則の定義と適用方法を説明できる。
2週 熱力学第二法則2 カルノーサイクルと仕事効率を理解し、熱力学第二法則の正当性を説明できる。
3週 エントロピー エントロピーとは何かを理解できる。温度変化、相転移、等に伴うエントロピー変化を計算できる。
4週 エントロピー変化の計算 気体の膨脹・圧縮、気体の混合、等に伴うエントロピー変化の計算ができる。
5週 エントロピーの分子論的意味と熱力学第三法則 ボルツマンの関係式とエントロピーの分子論的意味を理解できる。熱力学第三法則の定義と適用方法を説明できる。物質の標準エントロピーを用いて化学反応のエントロピー変化を計算できる。
6週 エントロピー増大則 エントロピー増大則およびクラウジウスの不等式を説明できる。
7週 中間試験
8週 自由エネルギー 自由エネルギーの定義を説明できる。自由エネルギーを用いて平衡条件を説明できる。
4thQ
9週 自由エネルギー変化の計算 標準生成自由エネルギーを説明できる。また、種々の変化や化学反応に伴う自由エネルギー変化を計算できる。
10週 自由エネルギーと相変化1 クラウジウス-クラペイロンの式を導出し、相図における相境界線を説明できる。
11週 自由エネルギーと相変化2 クラウジウス-クラペイロンの式を応用して、相変化を説明できる。
12週 化学平衡と自由エネルギー 平衡定数と自由エネルギー変化の関係を説明でき、それらを相互に計算できる。
13週 平衡定数の温度依存性 平衡定数の温度依存性と、自由エネルギー、エンタルピー、エントロピーの関係を説明でき、それらを相互に計算できる。
14週 起電力と自由エネルギー 電池の起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係を説明でき、それらを相互に計算できる。
15週 期末試験
16週 後期の復習 後期に学習した内容のまとめと復習

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000