物理化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理化学Ⅲ
科目番号 0110 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位II: 2
開設学科 国際創造工学科 化学・生物・環境系 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 教科書:上松、中村、内藤、三浦、工藤著「応用化学シリーズ6 触媒化学」(朝倉書店)  参考書:菊地、射水、瀬川、多田、服部著「新版 新しい触媒化学」(三共出版) 参考書:江口 浩一 編著「化学マスター講座 触媒化学 」(丸善出版)
担当教員 依田 英介

到達目標

1.触媒とはなにかを理解する。
2.触媒の調製法と機能評価法について理解する。
3.触媒反応場の構造と物性について理解する。
4.触媒キャラクタリゼーションの手法を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.触媒とはなにかを理解する。触媒の定義を説明できる。また、非触媒反応と触媒反応で反応経路が異なることを説明できる。触媒の定義を理解している。また、非触媒反応と触媒反応で反応経路が異なることを理解している。触媒の定義を理解できない。また、非触媒反応と触媒反応で反応経路が異なることを理解していない。
2.触媒の調製法と機能評価法について理解する。固体触媒の調製法を説明でき、その調製に必要な試薬の量などを計算できる。固体触媒の調製法を理解していて、その調製に必要な試薬の量などを計算できる。固体触媒の調製法を理解しておらず、また、その調製に必要な試薬の量などを計算できない。
2.触媒の調製法と機能評価法について理解する。触媒反応特性の評価に用いられる指標(4要素)と触媒活性の試験装置を説明できる。触媒反応特性の評価に用いられる指標(4要素)と触媒活性の試験装置を理解している。触媒反応特性の評価に用いられる指標(4要素)と触媒活性の試験装置を理解していない。
3.触媒反応場の構造と物性について理解する。固体触媒の巨視的構造及び反応場の構造を説明できる。固体触媒の巨視的構造及び反応場の構造を理解している。固体触媒の巨視的構造及び反応場の構造を理解していない。
4.触媒キャラクタリゼーションの手法を理解する。化学的方法や機器分析を用いたキャラクタリゼーションを説明できる。化学的方法や機器分析を用いたキャラクタリゼーションを理解している。化学的方法や機器分析を用いたキャラクタリゼーションを理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学反応は、分子・原子の組み換えを行うことで化学物質を創造したり変換したりするプロセスである。その化学反応の中でも、90%を超す多くの化学反応が「触媒」によって促進されている。日常生活の中で、私たちが触媒を商品として手にすることはほとんどないが、私たちが手にしている製品の多くは触媒なしではつくることができない。本講義では、触媒の歴史と役割、触媒の調製法と機能評価法、触媒反応場の構造と物性などを、固体触媒を中心に学修する。
授業の進め方・方法:
板書、スライドによる講義形式を中心に授業を進めます。タブレット、ノートパソコンなどの使用が可能です。
毎週、webで解答する宿題を出します。宿題には期限があるので、期限内に提出し、返却された際には間違えた問題を復習してください。
宿題の範囲から定期試験に出題することもあります。
注意点:
触媒化学について本格的に学ぶのはこの講義が初めてだと思う。聞いたことがない用語も出てくるので、次回予定の内容に関して教科書を読むなどして用語の確認や予習をすること。
触媒化学に必要な分野は物理化学のみならず、分析化学、無機化学、有機化学、材料化学など多岐にわたる。これまで学習してきたことを広く用いるので、講義で出てきたが忘れてしまった内容があれば、必ずすぐに見返して思い出すようにすること。特に、濃度計算や原子量が絡む計算、理想気体の状態方程式の計算などができない者は、できるようにすること。
また、毎回の授業後には、ノートの内容や教科書の対応部分を見直して復習し、分からない部分を放置しないこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 身の回りで活躍する触媒 ・身の回りでどのように触媒が利用されているのか理解する。
・グリーンケミストリーと触媒の関わりを理解する。
2週 触媒とはなにか ・触媒の概念と定義を理解する。
・非触媒反応と触媒反応で反応経路が異なることを理解する。
3週 固体触媒の調製法(1) ・固体触媒調製の戦略を理解する。
・担持触媒の調製法、展開法、沈殿法を理解する。
4週 固体触媒の調製法(2) ・固相法、ゾルゲル法、ゼオライトの合成法・修飾法、メソポーラスシリカの合成法を理解する。
5週 触媒反応特性の評価、触媒活性の試験装置 ・触媒に要求される4要素を理解する。
・転化率、選択率等の求め方を理解する。
・触媒の寿命に影響を与える要因を理解する。
・回分式反応器、連続流通式反応器を理解する。
6週 固体触媒の表面 ・モデル触媒を用いた表面観測の意義を理解する。
・単結晶表面構造モデルを理解する。
・バンド構造など表面の電子状態を理解する。
7週 (中間試験)
8週 固体触媒の反応場の構造(1) ・触媒機能を支配する因子を理解する。
・粒子径効果、形状選択性などの構造要因を理解する。
・金属酸化物表面の活性点の構造を理解する。
2ndQ
9週 固体触媒の反応場の構造(2) ・複合効果における活性点の形成を理解する。
・工業触媒の構造を理解する。
10週 触媒のキャラクタリゼーション(1) ・分散度、昇温脱離法、吸着分子の赤外スペクトル、典型的反応によるキャラクタリゼーションを理解する。
11週 触媒のキャラクタリゼーション(2) ・粉末X線回折、X線光電子分光法、電子顕微鏡、核磁気共鳴法などによるキャラクタリゼーションを理解する。
12週 環境触媒 ・自動車触媒、脱硫触媒、環境浄化型光触媒などを理解する。
13週 エネルギー関連触媒 ・燃料電池について理解する。
・水素の製造法を理解する。
・光触媒を用いた水の分解反応を理解する。
14週 触媒反応プロセス ・還元反応、酸化反応の実例を理解する。
15週 (期末試験)
16週 総復習、触媒化学の位置づけ ・本講義の重要ポイントを理解する。
・これまでの授業を振り返り、触媒化学がどのように実用と結びついているのか、基礎科目がどのように触媒化学と結びついているのか理解する。

評価割合

試験小テスト・宿題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000