触媒化学特論

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 触媒化学特論
科目番号 0009 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科 産業技術システムデザイン工学専攻 応用化学コース 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:上松,中村,内藤,三浦,工藤共著「応用化学シリーズ6 触媒化学」(朝倉書店)、   参考書:真船,廣川著「反応速度論」(裳華房)、   参考書:江口 浩一 編著「化学マスター講座 触媒化学 」(丸善出版)、   参考書:田中庸裕、山下弘巳 編著「触媒化学 基礎から応用まで」(講談社)
担当教員 依田 英介

到達目標

1.均一系を中心とした一般の反応速度論を理解する。
2.固体触媒表面での吸脱着と反応を理解し、固体触媒表面の反応速度論を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.均一系を中心とした一般の反応速度論を理解する。素反応と総括反応の違いを理解し、素反応や総括反応に対して微分形速度式を立てることができる。素反応と総括反応の違いを理解し、素反応や総括反応に対して微分形速度式を立てられることを知っている。素反応と総括反応の違いを理解し、素反応や総括反応に対して微分形速度式を立てられることを理解していない。
1.均一系を中心とした一般の反応速度論を理解する。複合反応などに対して微分形速度式を立て、解くことができる。複合反応などに対して微分形速度式を立てることができる。複合反応などに対する微分形速度式を理解していない。
1.均一系を中心とした一般の反応速度論を理解する。均一系触媒反応に対して微分形速度式を立て、解くことができる。均一系触媒反応に対して微分形速度式を立てることができる。均一系触媒反応に対する微分形速度式を理解していない。
2.固体触媒表面での吸脱着と反応を理解し、固体触媒表面の反応速度論を理解する。吸着と脱離の速度式を説明できる。吸着と脱離の速度式を理解している。吸着と脱離の速度式を理解していない。
2.固体触媒表面での吸脱着と反応を理解し、固体触媒表面の反応速度論を理解する。ラングミュアーの吸着等温式などの吸着脱離平衡を説明できる。ラングミュアーの吸着等温式などの吸着脱離平衡を理解している。ラングミュアーの吸着等温式などの吸着脱離平衡を理解していない。
2.固体触媒表面での吸脱着と反応を理解し、固体触媒表面の反応速度論を理解する。定常状態近似を適用し、反応速度を説明できる。定常状態近似を適用し、反応速度を理解している。定常状態近似を適用し、反応速度を理解していない。
2.固体触媒表面での吸脱着と反応を理解し、固体触媒表面の反応速度論を理解する。反応速度式の検証法や律速過程の切り替わりを説明できる。反応速度式の検証法や律速過程の切り替わりを理解している。反応速度式の検証法や律速過程の切り替わりを理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B) (ハ) 説明 閉じる
学習・教育目標 (B) (ロ) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学反応は、分子・原子の組み換えを行うことで化学物質を創造したり変換したりするプロセスである。その化学反応の中でも、90%を超す多くの化学反応が「触媒」によって促進されている。その触媒を開発する際には、触媒を含めた反応機構や触媒の活性点を明らかにすることは、触媒を開発する際には重要な情報となる。前半では、一般的な反応速度論について学び、均一系触媒の反応速度と反応機構について学ぶ。後半では、固体触媒表面への吸脱着の速度や、固体触媒表面での反応速度を学ぶ。
授業の進め方・方法:
板書による講義形式を中心に授業を進めていくが、反応速度論では、式の導出などを演習形式で行う。
教科書を用いて説明するので、必ず教科書を持参すること。
注意点:
本科目は隔年開講となりますので、1年生の受講も可能です。
開講される年度については、授業時間割で確認してください。
次回の授業の範囲について、教科書・参考書の該当箇所をよく読んで予習してくること。毎回の授業後、ノートや配布したプリントの内容を見直して復習すること。
本科の「物理化学I」で学習した反応速度の内容を復習すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 反応速度と速度式 ・素反応と総括反応の違いを理解する。
・素反応に対して微分形速度式を立てられるようになる。
・総括反応に対して微分形速度式を立てられようになる。
2週 1次反応と2次反応 ・1次反応と2次反応について、積分形速度式を求めることができる。
・擬1次反応を理解する。
3週 複合反応 ・可逆反応、並発反応、逐次反応を理解する。
4週 定常状態近似とその応用 ・定常状態近似を理解する。
・単分子反応に対するリンデマン機構を理解する。
・連鎖反応を理解する。
5週 均一系触媒反応 ・酸-塩基触媒反応の速度を理解する。
・酵素反応の速度を理解する。
6週 反応速度の解析法 ・微分法による解析法を理解する。
・積分法による解析法を理解する。
7週 均一系の一般的な速度論のまとめ ・均一系の一般的な速度論を復習し、まとめることができる。
8週 固体触媒表面での素過程 ・表面での素過程を理解する。
・物理吸着と化学吸着を理解する。
・ラングミュアー型の吸着モデルを理解する。
4thQ
9週 吸着と脱離の速度論(1) ・ラングミュアーの吸着等温式を理解する。
・解離吸着の速度式、脱離の速度式を理解する。
10週 吸着と脱離の速度論(2) ・ラングミュアー型競争吸着を理解する。
・イーレイ・リディール機構を理解する。
11週 固体触媒反応の反応速度論(1) ・定常状態近似と予備平衡を理解する。
・定常状態近似を適用し、表面反応や吸着それぞれについて速度定数、被覆率、平衡定数の関係を理解する。
12週 固体触媒反応の反応速度論(2) ・表面反応や吸着それぞれが律速の場合について、全反応速度が速度定数、圧力、平衡定数で表されることを理解する。
13週 固体触媒反応の反応速度論(3) ・反応速度式の検証法を理解する。
・律速過程の切り替わりと見かけの活性化エネルギーについて理解する。
14週 固体触媒への吸着脱離、固体触媒反応の反応速度論のまとめ ・吸脱着から固体触媒反応の速度論までを復習し、まとめることができる。
15週 (期末試験)
16週 総復習 本授業の重要ポイントを理解する。

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
専門的能力100100