制御システム工学

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 制御システム工学
科目番号 0080 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位II: 2
開設学科 電気電子システム工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 教科書:杉江俊治・藤田政之共著「フィードバック制御入門」(コロナ社)
担当教員 田辺 隆也

到達目標

1.ロバスト制御の概念およびロバスト制御系設計の原理を説明できる。
2.H∞制御理論の概要を説明できる。
3.状態方程式にもとづく制御理論に対する入門的理解を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ロバスト制御の概念およびロバスト制御系設計の原理を説明できる。ロバスト制御の概念およびロバスト制御系設計の原理を理解する。ロバスト制御の概念およびロバスト制御系設計の原理を理解できない。
評価項目2H∞制御理論の概要を説明できる。H∞制御理論の概要を理解する。H∞制御理論の概要を理解できない。
評価項目3状態方程式にもとづく制御理論に対する入門的理解を説明できる。状態方程式にもとづく制御理論に対する入門的理解を確立する。状態方程式にもとづく制御理論に対する入門的理解を確立できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A)(イ) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (B)(ロ) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
受講者の制御工学に関する知識の体系的拡大を意図して、制御工学の基礎理論をふたつの切り口から眺める。前半では、伝達関数による線形系の動特性表現を用いて、フィードバック制御に関するいくつかの問題を現代的視点から論じる。後半では、1階常微分方程式による動特性表現(状態方程式)にもとづく制御系の解析と設計の初歩を論じ、併せて、それが連続時間線形系を対象としたデジタル制御への有効なアプローチとなり得る様子を観察する。通信システム企業の開発部門で勤務経験のある教員が、その経験を生かして、製品の開発および製品の動作の基本となる制御について、実際に開発した装置の制御を例題として講義する。
授業の進め方・方法:
成績の評価は、定期試験の成績80%およびレポートの成績20%で行い、合計の成績が60点以上の者を合格とする。
注意点:
4年次の選択授業「制御工学」を受講していることが望ましい。予備知識として、線形代数と複素解析に関する一定の理解を期待する。予習・復習にあたっては、試験の得点にのみこだわるのではなく、学問の面白さに目を向けること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 伝達関数のベクトル軌跡 周波数応答と伝達関数の関係を理解する。伝達関数をベクトルの周波数変化に対する複素平面上の軌跡を理解する。
2週 各要素のボード線図 各基本要素のボード線図の近似的作図法と,その特性を理解する。
3週 フィードバック制御系の安定性 内部安定性,特性方程式,特性根を理解する。ボード線図による安定判別が可能なこと、およびこの場合の条件を理解する。
4週 ナイキストの安定判別法 閉じる前の周波数特性を見て閉じた後でも安定かを知る方法を理解する。
5週 制御対象の不確定性とロバスト制御 システムの不確かさの数学的表現を理解する。システムに不確かさがあるときの応答の変動例とロバスト制御の必要性を理解する。
6週 ロバスト安定性 ロバスト安定性の意味と数学的解析を理解する。また、規定されるロバスト性の実現条件について理解する。
7週 (中間試験)
8週 フィードバック制御系の設計法,PID補償 PID制御器の動作と,これによる制御系設計の概要を理解する。
4thQ
9週 位相進み遅れ補償 位相進み補償法、位相遅れ補償法による制御系の設計を理解する。位相進み遅れ補償法による制御系の設計を理解する。
10週 安定化制御器のパラメータ表現 2自由度制御系の種類と必要性を理解する。2自由度制御系のパラメータ表現による設計を理解する。
11週 H∞制御による制御系の設計 H∞制御の概念と基礎的な定理を理解する。ノミナル性能とロバスト安定性に関するH∞制御の設計を理解する。
12週 システムの状態変数表現 状態方程式と出力方程式の定式化を理解する。例として、DCサーボモーターの状態方程式、および、出力方程式を理解する。
13週 状態方程式の時間応答 状態方程式の時間応答の解法と求解を理解する。
14週 ディジタル制御 ディジタル制御の定式化、応答シミュレーションのディジタル表現を理解する。
15週 (期末試験)
16週 総復習 期末試験結果のフィードバックと制御理論の重要事項の確認する。

評価割合

試験発表レポート態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80020000100
基礎的能力0000000
専門的能力80020000100
分野横断的能力0000000