有機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 有機化学Ⅰ
科目番号 0010 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 奥山格・石井昭彦・箕浦真生 著 「有機化学 改訂2版」 (丸善出版) 分子模型: BAS-2 基本Bセット (モル・タロウ) 参考書: 奥山格 著 「有機化学 改訂2版 問題の解き方」 (丸善出版)
担当教員 小林 みさと

到達目標

1.原子軌道、混成軌道がどのようなものか説明でき、それが共有結合を形成し有機分子が成り立っていることがわかる。
2.有機分子のひずみと、それが立体的な三次元構造に与える影響がわかる。
3.共役とは何かが説明でき、共鳴法によって共役が表せる。
4.有機化学反応の基礎として重要である酸・塩基について説明できる。
5.巻矢印を用いて、重要な有機反応の反応機構が書ける。
6.主要な有機反応の生成物の構造式が書ける。
7.分子のキラリティーが何かがわかり、キラルとアキラルなものに分類できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子軌道、混成軌道がどのようなものか正しく説明でき、分子の構造を分子軌道を用いて説明できる。原子軌道が混成して混成軌道が成り立っていることが説明でき、二種類の共有結合の違いがわかる。また分子の図を見て、結合の種類がわかる。原子軌道、混成軌道がどのようなものか説明できない。
評価項目2アルカンの立体配座とねじれひずみ、シクロアルカンの安定な立体配座について正しく説明できる上に、様々な有機分子の安定な立体構造が予想できる。アルカンの立体配座とねじれひずみ、シクロアルカンの安定な立体配座について説明ができる。アルカンの立体配座とねじれひずみ、シクロアルカンの安定な立体配座について説明ができない。
評価項目3共役とはなにかが説明でき、共役系はなぜ安定なのかが正しく説明できる。また、授業で取り上げない共鳴寄与式も、自分で予想してかくことができる。共役とはなにかが説明でき、その安定性について理解できる。共鳴寄与式がかける。共役とは何かが説明できない。共鳴法によって共役が表せない。
評価項目4酸塩基反応が完成でき、酸と塩基の共役関係を正しく示すことができる。物質の酸性度の序列を示すことができ、その序列になる理由を説明することができる。酸塩基反応が完成でき、酸と塩基の共役関係を示すことができる。物質の酸性度の序列を示すことができる。酸塩基反応が完成できず、酸と塩基の共役関係を示すことができない。物質の酸性度の序列を示すことができない。
評価項目5授業で扱わない反応も、巻き矢印を用いた反応機構を予想することができる。授業で取り上げた反応について、巻矢印を用いて、反応機構を説明することができる。巻矢印を用いて、反応機構を示すことができない。
評価項目6主要な有機反応の生成物の構造式が正しくかけ、関連反応の生成物も予想することができる。主要な有機反応の生成物の構造式が書ける。主要な有機反応の生成物の構造式がかけない。
評価項目7エナンチオマー、ジアステレオマー、メソ化合物、ラセミ体について正しく説明でき、具体例が挙げられる。分子のキラリティーが何かがわかり、キラルとアキラルなものに分類できる。分子のキラリティーが何かわからず、キラルとアキラルなものに分類できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A)(イ) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機物質は自然界に存在する基本的な構成要素であり、石油から医薬品、生物に至るまで膨大な化合物群を構成している。これらの基礎的な化合物群を理解できるよう、2年次、4年次の有機化学で展開する内容と併せて学習することにより、無理なく体系的に理解できるようにしている。3年生で実施する物質工学実験Ⅰ(有機化学実験)とも関連し、有機化学に対する理解を深めている。
授業の進め方・方法:
2年生までに学習した化学、有機化学Ⅰが基礎となっている。事前に復習しておくこと。
本科目は専門基礎科目であり、物理化学、生物工学、環境化学、材料科学、有機合成化学、高分子化学等の授業の基礎となる科目である。主体的、積極的取り組んでもらいたい。
毎回の授業後には、講義ノート等を見直して、内容を復習すること.また、次回予定の内容に関して、教科書を参考にして事前に勉強しておくこと。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 分子のかたちと混成軌道 (1) 原子軌道の形、分子軌道、混成軌道について説明ができる。
2週 分子のかたちと混成軌道 (2) 混成軌道を用い物質の形が説明できる。分子軌道を用いてσ結合とπ結合が説明ができる。アルケンの E, Z 表記法について説明ができる。
3週 立体配座と分子のひずみ (1) 分子のひずみからアルカンの立体配座が予測できる。
4週 立体配座と分子のひずみ (2) シクロアルカンの立体構造が予測できる。
5週 共役と電子の非局在化 (1) 共役とは何かが説明できる。共鳴寄与式がかける。
6週 共役と電子の非局在化 (2) 芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。
7週 中間試験
8週 酸と塩基 (1) pKa と酸性度の関係について説明ができる。
2ndQ
9週 酸と塩基 (2) 酸性度の序列に化合物を並べることができ、そうなる理由を説明できる。
10週 カルボニル基への求核付加反応 (1) アセタールの生成の反応機構と生成物の構造式がかける。
11週 カルボニル基への求核付加反応 (2) イミンの生成の反応機構と生成物の構造式がかける。
12週 カルボン酸誘導体の求核置換反応 (1) カルボン酸とその誘導体の命名が正しくできる。
13週 カルボン酸誘導体の求核置換反応 (2) カルボン酸とその誘導体の合成と反応の生成物の構造式がかける。
14週 カルボニル基のヒドリド還元とGrignard反応 ヒドリド還元、Grignard反応によるC-C結合生成の生成物の構造式がかける。
15週 期末試験
16週 総復習
後期
3rdQ
1週 立体化学 (1) 構造異性体と鏡像異性体の違いが説明できる。
2週 立体化学 (2) R, S命名法が正しくかける。ジアステレオマー、メソ化合物について説明ができる。
3週 ハロゲン化アルキル (1) ハロゲン化アルキルの求核置換反応 SN1 と SN2 の反応について説明できる。
4週 ハロゲン化アルキル (2) カルボカチオンの安定性の序列がわかる。
5週 ハロゲン化アルキル (3) ハロゲン化アルキルの脱離反応の生成物の構造式がかける。
6週 アルコール、エーテル アルコールを用いる種々の反応の、生成物の構造式がかける。
7週 中間試験
8週 アルケンとアルキンへの付加反応 (1) アルケンへの求電子付加反応の位置選択性と立体化学がわかる。
4thQ
9週 アルケンとアルキンへの付加反応 (2) Diels-Alder反応の生成物の構造式がかける。
10週 芳香族求電子置換反応 (1) ベンゼン誘導体のハロゲン化、ニトロ化、Friedel-Crafts反応の生成物の構造式がかける。
11週 芳香族求電子置換反応 (2) 置換基による求電子置換の配向が説明できる。
12週 エノラートイオンとその反応 (1) ケト-エノール互変異性について説明できる。
13週 エノラートイオンとその反応 (2) エノラートイオンとは何かが説明できる。
14週 エノラートイオンとその反応 (3) アルドール反応の生成物の構造式がかける。
15週 (期末試験)
16週 総復習

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題等合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力0000000
専門的能力70000030100
分野横断的能力0000000